3日、菅義偉首相が自民党の党総裁選に立候補しない意向を示した。これに伴い、菅政権は9月を持って幕を閉じる。

菅首相は党総裁選に立候補しない理由について、「新型コロナ対策に専念したい」と説明した。

首相
(画像=月刊暗号資産)

菅首相は昨年9月16日、安倍晋三前首相の後任として現職に就いた。「国民のために働く内閣」を掲げ、新型コロナウイルスへの対応や携帯料金の見直し、またデジタル庁創設などに注力した。

しかし新型コロナウイルス対応に対する批判や、自民党内における「政治とカネ」に関する問題などもあり支持率は低迷。その後、自民党内でも政権運営に不満が募るなかで党人事や内閣改造に着手する姿勢を見せていた。

また党総裁選を先送りし、9月中の衆院解散が取り沙汰されるなど、近頃は慌ただしい状況となっていたが、事態は急転直下とも言える展開を迎えた形だ。

一方、株価はこの一報を受け反発。

新たな首相のもと、さらなる経済対策が講じられるのではないかという期待や、衆院選における与党の議席減から政局が不安定化するといったリスクが軽減されるとの見方が広まり、好感視された格好だ。

暗号資産(仮想通貨)も株価が急上昇したことを受け反発した。

2日に5万ドル(約550万円)まで上昇したビットコインは達成感からか下落。米国における雇用統計の発表を控えていることもあり、日本時間3日午前には530万円を割る勢いを見せていた。しかし記事執筆時点では約545万円まで回復し、再び550万円をうかがう情勢を見せている。

菅政権では先日発足したばかりのデジタル庁など、行政を中心とした「デジタル化」に向けた議論が急加速した政権であったと言える。

現職首相による事実上の辞任表明を受け、今後政局は一層激しさを増すものとみられるが、新型コロナウイルスの感染拡大を皮切りにデジタル化の必要性が露呈したことから、次の政権においても議論が積極的に進められていくことだろう。(提供:月刊暗号資産