本記事は、司拓也氏の著書『人前が苦手なら、ポーカーボイスで話せばいい。 声の悩みを解決する8つの簡単メソッド』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
人間の印象は「3つのV」が作用する
世の中の多くの人は、自分の外見に対して、非常に注意を払います。自分の体形やトレンドなどの変化に合わせて、
「最近ちょっとお腹が出てきたから、ダイエットしなくちゃ」 「季節が変わって暖かくなってきた。トレンドも変わるし、今シーズン用に、新しい洋服を買わなくては」
と意識する人は、とても多いのではないでしょうか。
でも、外見は気にしている人でも、自分の声に対して注意を払っている人は、ほんの一部です。
「なんだか最近自分の声のトーンが暗い気がするから、もっと明るくしたいんだよね」 「最近早口で話し過ぎている気がするから、ちょっと注意しなくちゃ」
などと、自分の「声」について気にする人は、ほぼいません。
でも、実は人間の「声」は、外見や服装、表情と同じくらい、他人に与える印象を決めてしまうものです。
みなさんは、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが行ったある実験をご存じでしょうか?これは、「話している内容と声のトーンやしぐさ、表情などの非言語コミュニケーションに矛盾があった場合、受け手はどう感じるのか」を検証した実験です。
これはかなり限定された状況下での法則なのですが、人が他人に与える印象を決める要素には、「3つのV」があると言われます。
・ビジュアル(視覚情報・VISUAL) ・バーバル(言語情報・VERBAL) ・ボーカル(聴覚情報・VOCAL)
たとえば、「うれしい」と言いながらも表情が曇っていたり、「悲しい」と言いなら声のトーンが高くなったり。その際、人はどういう情報から相手の感情を判断するのかというと、
・表情やしぐさ、ボディランゲージなどの視覚情報が55% ・声のトーンや明るさ、スピードなどの聴覚情報が38% ・実際の会話の中に出てきた単語などの言語情報が7%
だという結果が出ました。
好き嫌いや、喜怒哀楽といった感情は、なかなか自分でコントロールできるものではありません。いかに言葉で装っても、それが声や表情ににじみでてしまえば、相手にはうまく伝わらないのです。
逆を言えば、仮にあなたが本心から思った言葉であっても、震えた声やびくびくした声を使う限り、「この人はネガティブな意見を言っているのかな」「自分のことが嫌いなのかな」という印象を、相手に与え続けてしまうということです。
極端な話かもしれませんが、いくら信頼を得たいと思っていても、仕事で後輩から悩みを相談されたとき、パソコン画面を見ながら、横柄な態度で返事をしていたら、いくら良いアドバイスだったとしても受け手の不信感はつのるばかりです。
伝えたいメッセージの質を高めることはとても重要です。同時にそのメッセージを届ける声の質を高めることで、あなたの熱意や想いは、きちんと相手に届き、信頼を勝ちとることができるのです。
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