本記事は、司拓也氏の著書『人前が苦手なら、ポーカーボイスで話せばいい。 声の悩みを解決する8つの簡単メソッド』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
なぜ、「話し方の本」を読んでも、効果がないのか
私のボイストレーニングを受ける方の多くは、
「どもってしまうのではないかと、怖くて自分の意見が言えない」 「質問を聞き返されるのが不安で、発言することができない」 「自分では普通にしているつもりなのに、積極性がないように思われがち」
といったような悩みを抱えています。
でも、そうした方々がトレーニングを受けると、
「人と会うのが苦痛でなくなった」 「会議などで発言する機会が増えた」 「リーダーを任されるようになった」 「飲み会などに参加するのを躊躇しなくなった」
などという意見をくださることが多いです。
みなさんの中にもこれまでに「話し方」や「コミュニケーション」の本を読んだり、セミナーを受けたりといった経験をお持ちの方もいるかもしれませんね。
でも、それらを学んでうまくいったでしょうか?
なぜ、話し方やコミュニケーション術を学んでも、うまく相手に伝わらないのか。なぜ、自分の印象は改善されないのか。
それは、「声」が変わっていないからです。
いかに理路整然とした話し方をし、必要なフレーズや、すばらしいリアクションをしていたとしても、声が変わらなければ、効果も半減してしまいます。
想像してみてください。
流れるように話をするけれども、声がぼそぼそと小さくて、聞き取りづらい営業マン。
話の流れはとてもゆっくりで、必要最低限のことしか話をしないけれども、声がクリアで聞き取りやすい営業マン。
極端な例かもしれませんが、おそらく後者のほうが、「信頼できる営業マン」として、営業成績はよくなるのではないでしょうか。
反対に、暗い声や小さい声で話をする営業マンは、自信がない人、やる気がない人、声がよく聞こえなくてイライラさせられる人……などと、ネガティブな印象を抱かれてしまいます。
声というのは、言葉を伝えるためだけのツールではありません。
声とは、意志の力です。その人自身の持っているエネルギーや勢い、意志を伝える手段でもあります。小さな声では、相手に伝わらないし、軽んじられてしまうことも少なくないのです。
もちろん声を鍛えたからといっても、声だけで人を魅了するような、ものすごい効果は期待できないかもしれません。
でも、最低限、声だけで人柄をジャッジされ、自分自身の評価を下げられてしまうようなマイナスポイントになることはありません。
まず、目指すべきは「自分の声が、相手にマイナスの印象を与えないようにする」ということです。
「あの人の声はすばらしい」 「あの人の声をずっと聞いていたくなる」
というような「すばらしい評価」を求めすぎてしまうのは、運動も何もしたことがない人が、オリンピック選手に選ばれることを夢見るようなもの。まずはその前に、「ポーカーボイス」を身に着けて、勝負の舞台に立つための声を培ってほしいと思います。
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