アライアンスの3つの種類

アライアンスにはさまざまな形があるものの、大別すると以下の3つの形態に分けられる。

1.技術提携

アライアンスのうち、優秀な開発者や技術を共有することでイノベーションを生み出すものは技術提携と呼ばれる。自社に不足している経営資源をカバーできる方法なので、技術提携を結ぶと開発スピードが飛躍的にアップする可能性がある。

そのほか、他社の技術を吸収できる点や、開発リスクを分散できる点も技術提携の大きなメリットだ。ただし、相手側にもメリットがなければ契約には結びつかないので、技術提携を結ぶには高い技術やノウハウ、貴重な経営資源などが求められる。

2.生産提携

生産提携とは、生産性のアップを目的としてパートナー企業に製造工程の一部を委託するアライアンスのこと。不足した経営資源を補えるため、人材や高額な設備を入手できない企業にとっては貴重な経営戦略となり得る。

また、生産提携は受注側にもメリットがいくつかあり、設備稼働率が高まると売上の増加やコストダウンにつながる。ただし、発注側・受注側の連携がポイントになる手法なので、発注側が適切な指示を出せるようにしっかりと話し合うことが重要だ。

3.販売提携

3つ目の販売提携は、お互いの販売チャネルを共有し合う手法だ。例えば、日本企業が海外企業と販売提携を結ぶと、新たな市場をスムーズに開拓できる可能性が高まる。

ほかにもホームページやSNS、ECサイトを活用した販促活動など、販売提携にもさまざまな形がある。市場の開拓や拡大に役立つ手法なので、営業力や販促力が不足している企業はぜひ検討しておきたい。

企業がアライアンスを実施する目的とメリット

ここからは、企業がアライアンスを実施する主な目的とメリットを解説していく。以下の点に魅力を感じる企業は、積極的にアライアンスの計画を立てていこう。

1.新しい製品やサービスを開発しやすくなる

アライアンスを行う目的として最も多いのは、製品開発のスピードアップだ。相手企業を慎重にピックアップすれば、必要な設備や人的リソースをスムーズに獲得できるため、最近ではイノベーションを実現する手法として注目されている。

また、パートナーと共同開発の体制を整えることで、「生産性をさらに強化しよう」と考える経営者も多い。例えば、経験の少ない中小企業が大企業と提携を結ぶと、必要なノウハウを短期間で習得できる可能性がある。

2.スムーズなシェア拡大を目指せる

マーケットシェアを拡大させるために、地方企業や海外企業と販売提携を結ぶケースも多く見られる。特に海外企業との提携は、情報が不足しがちな海外進出の足がかりとなるので、アライアンスは企業のグローバル化にも役立つ戦略と言える。

ちなみに、株式の譲渡や交換が発生しないアライアンスは、業務資本提携や子会社化に比べると契約を解消しやすい。お互いにメリットがなければパートナー関係を解消できるため、もし海外進出などに失敗しても迅速に撤退できるだろう。

3.さまざまな経営コストの削減につながる

さまざまな経営コストを抑えられる点も、アライアンスの大きなメリットである。例えば、人的リソースが豊富な企業と提携を結ぶと、新たな人材を雇用するためのコストや、新入社員の教育コストなどを抑えられる。

ほかにも支店を構えるための費用や設備資金、販促費など、アライアンスによって軽減できるコストは少なくない。さらに、業務資本提携やM&Aより低コストで実現できる点も経営者にとっては大きなメリットになるだろう。