アライアンスに関するQ&A

Q.アライアンスとは?

A.アライアンスは、さまざまなシーンで使われる言葉である。ビジネスの場における「アライアンス」とは、複数の企業が経営基盤の強化やシェアの拡大などのメリットを生み出すために協力関係を築くことを指す。またアライアンスは、資本移動を伴わないことも特徴の一つだ。そのため当事者同士は、対等な協力関係(パートナー)となる。

アライアンスと比較される企業間の連携には「M&A」「請負」「業務資本提携」などがある。アライアンスとこれらの連携の違いは、契約を結ぶ企業同士の関係性だ。アライアンスは、当事者同士が対等であるのに対し、「M&A」「請負」「業務資本提携」ではどちらか一方の企業の力が強い傾向である。対等な関係を築くならば、アライアンスが最適だ。

なおアライアンスには、大別すると主に技術提携や生産連携、販売提携の3つの形態に分けられる。

Q.アライアンス契約とはどのような契約?

A.アライアンス契約とは、簡単にいうと複数の企業がアライアンスを組む際に取り交わす契約のこと。アライアンスは、お互いの企業にシェアの拡大などの多くのメリットを与えるために行うものであり、当事者それぞれにメリットがあるように行わないといけない。そのためアライアンス契約を交わす際には、どちらか一方にのみメリットがないかなどの確認が必要だ。

しかし「どこまでの業務を連携するのか」「どちらがどのような人材や資産を提供するのか」など細部にわたりさまざまな取り決めを行う必要がある。そこでアライアンスの取り決めを定め、法的な効力を持たせるために当事者同士でアライアンス契約を締結。アライアンスの契約書では「アライアンスの目的」「対象となる業務」「使用料」「守秘義務・秘密保持」「契約期間」などを定める。

Q.アライアンスのメリットは?

A.アライアンスの代表的なメリットは「新しい製品やサービスを開発しやすくなる」「スムーズなシェア拡大を目指せる」「さまざまな経営コストの削減につながる」の3つだ。

・新しい製品やサービスを開発しやすくなる
アライアンスを行えば、必要な設備や人的リソースをスムーズに獲得できる。例えば当事者同士が所有しているノウハウや技術を連携できるため、短期間で新しい製品やサービスが開発しやすくなる。

・スムーズなシェア拡大を目指せる
「得意とする分野が異なっている」「分野が同じでも事業展開している地域が異なる」といった場合などは、アライアンスをすることでスムーズなシェア拡大を目指すことが期待できる。例えば日本の企業が海外企業とアライアンスを行えば、海外進出の足がかりができ企業のグローバル化、海外へのスムーズなシェア拡大に役立つ。

・さまざまな経営コストの削減につながる
アライアンスでは、お互いの人材や設備などを提供する。そこで新たな人材を雇用するためのコストや、設備を購入するための資金、販促費などのコストを削減することが期待できるだろう。

Q.アライアンスのデメリットは?

A.アライアンスの代表的なデメリットは「成果が保証された契約ではない」「情報漏えいのリスクが高まる」「技術やノウハウが流出する可能性がある」の3つだ。

・成果が保証された契約ではない
アライアンスは、あくまで協力関係を築くための契約であり、成果が保証されたものではない。アライアンスが失敗したら費やした時間やコストが無駄になる可能性もある。

・情報漏えいのリスクが高まる
企業間でさまざまな情報を共有すると必然的に情報漏えいのリスクが高まる。パートナーに悪意がないからといっても安心できない。これらを踏まえてアライアンス契約を結ぶ前には、相手企業のセキュリティ体制などを確認しておく必要がある。

・技術やノウハウが流出する可能性がある
アライアンスでは、お互いにさまざまな技術やノウハウを提供し合うが、自社の技術などを盗用されてしまう可能性も出てくる。そのためアライアンス契約では、技術やノウハウの使用範囲なども決めておくことが必要だ。

Q.アライアンスとM&Aの違いは?

A.M&Aとは、合併と買収を表す言葉だ。ある企業がほかの企業を買収や売却をしたり、合併や分割したりすることを指す。アライアンスとM&Aの大きな違いは、その効果と資本の移動だ。それぞれの違いは、次のようになっている。

・効果の違い
アライアンスとM&Aは、どちらも実施することで経営基盤の強化などの多くの効果がある。またM&Aでは、売り手企業の後継者問題の解決ができる効果が期待できるだろう。

・資本の移動の違い
アライアンスは、資本移動を伴わない協力関係である一方、M&Aは資本の移動を伴う協力関係である。またアライアンスは資本移動を伴わないため、当事者同士は対等な協力関係であるが、M&Aでは買収会社のほうが大きい力を持つことが多い。