毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。このコーナーでは、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

悩む
(画像=PIXTA)

目次

  1. 金融業界ランキング
  2. 「スルー」されて当然
  3. 常日頃の準備が大切
  4. すべての行動を「最適化」せよ
  5. 「残念」がられる思考になっていませんか?
  6. あなたの説明は何流?
  7. 編集後記

金融業界ランキング

第1位:『「スルーされない人」の言葉力』(ひきたよしあき著、大和出版)
第2位:『伝える準備』(藤井貴彦著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第3位:『今日がもっと楽しくなる行動最適化大全』(樺沢紫苑著、KADOKAWA)
第4位:『脱!残念な考え方』(幸本陽平著、自由国民社)
第5位:『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学』(阿部誠監修、新星出版社)
第6位:『説明の一流、二流、三流』(桐生稔著、明日香出版社)
第7位:『45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(木下紫乃著、日経BP)
第8位:『感情マネジメント』(池照佳代著、ダイヤモンド社)
第9位:『超入門カーボンニュートラル』(夫馬賢治著、講談社)
第10位:『変える技術、考える技術』(高松智史著、実業之日本社)

※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年9月の閲覧数ランキング

「スルー」されて当然

9月の第1位は『「スルーされない人」の言葉力』でした。銀行と保険、それぞれの関連企業のビジネスパーソンに最もよく読まれています。 交渉やプレゼンの場面で発言がスルーされてしまう……。本書はそんな悩みを抱えるスーパーのバイヤーの成長の物語です。

スルーされるのは「話に私という主語が入っていないからだ」と指摘を受け、私という「自分らしさ」の視点を少し加えるようにした主人公。すると、話に興味を持ってもらえるようになる、といった成功体験の描写を通じ、スルーされないコツが豊富に紹介されていきます。

読み進めやすい軽快なストーリー構成でありながら、話力や言葉力を磨くテクニックがぎゅっと詰まった一冊となっています。ぜひ次のプレゼンや会議の場で実践してみましょう。ちょっとした工夫で大きな効果が実感できるはずです。

「スルーされない人」の言葉力
「スルーされない人」の言葉力
ひきたよしあき
出版社:大和出版
発売日:2021年07月31日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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常日頃の準備が大切

第2位は『伝える準備』でした。日本テレビのベテランアナウンサー、藤井貴彦氏による初の著作です。

凄惨な事件や事故から心温まる動物の赤ちゃん誕生といった話題まで、森羅万象を扱う報道の現場。それぞれのニュースに適した言葉、加えて声のトーンや表情さえ使い分けが求められる中、藤井アナはスタジオ以外でも、部下や同僚など相手に最適な言葉を掛ける努力を怠らないと言います。

そのために何十年も続けている日記の習慣など、藤井アナ独自のうまく伝える術が惜しみなく紹介されています。例えば、「入社3年目でこのレベルはきついぞ」などと後輩に言うのなら、「あと少しで3年目として十分なレベル」と言い換えてみる。それが藤井アナ流の伝え方です。

ぜひ百戦錬磨の言葉のプロの極意に触れてみてはいかがでしょうか。

伝える準備
伝える準備
藤井貴彦
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2021年07月21日
ジャンル:自己啓発・マインド、リーダーシップ・マネジメント、トレンド

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すべての行動を「最適化」せよ

第3位は『今日がもっと楽しくなる行動最適化大全』でした。著者はベストセラーを量産している、精神科医で作家の樺沢紫苑氏です。

ストレスや悩みを、精神的な変化ではなく、行動を変えることで解決しようと促す本書。脳科学など最新の研究結果を踏まえ、「すべての行動は最も効果が出る時間帯が決まっている」と説き、行動の最適化を提唱しています。

「日本人の体内時計は平均24時間10分ほど」といったデータに基づき、個人差も加味したうえで、太陽を浴びるべき時間、外食すべき時間、遊びや運動の時間など、朝昼晩の時間帯ごとに適した行動を取ることで、パフォーマンスはぐんと上がると強調しています。

本書を読んだうえで、普段の自分の行動を振り返ってみましょう。ストレスを低減し、最大限のパフォーマンスを引き出すために、改善できる余地がきっと見つかるはずです。

今日がもっと楽しくなる行動最適化大全
今日がもっと楽しくなる行動最適化大全
樺沢紫苑
出版社:KADOKAWA
発売日:2021年07月08日
ジャンル:生産性・時間管理、健康・フィットネス

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「残念」がられる思考になっていませんか?

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。

第4位の『脱!残念な考え方』は、保険関連の企業にお勤めの方によく読まれる結果となりました。

「日本人の多くはロジカルな思考を苦手としている」。そう聞いて、「うんうん、そうだよね」と疑問や違和感を抱かないとすれば、すでに「残念な思考」に陥ってしまっているかもしれません。

「多くは」とはどのくらいで、どう調べたのか、そもそも「ロジカルな思考が苦手」とはどのような状態か――。ツッコミの余地があるほど、その主張や考え方は「残念な思考」と言えると、本書は指摘します。

反対に、「ロジカルな思考」とは、「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」の3つの要素を満たした考え方だと言います。「AならばB、BならばC、よってAならばC」といった演繹などによって裏打ちされた論理構成です。

ぜひ残念な思考から脱却し、深く広くつながった思考を自分の血肉にしましょう!

脱!残念な考え方
脱!残念な考え方
幸本陽平
出版社:自由国民社
発売日:2021年04月27日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド

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あなたの説明は何流?

最後は第6位の『説明の一流、二流、三流』です。何かを説明する際、その方法が三流か、二流か、一流かを解説しています。

例えば、三流は思いついたまま話し、二流はモレなくダブりなく話し、一流は大胆に削って最も重要なポイントのみを話す。イメージを持っていない相手に対し、三流はあいまいに説明し、二流は詳しく長く説明し、一流は「対比」で説明する。手順を教えたい場合、三流は口頭で説明し、二流は分厚い資料で説明し、一流は図解で説明する、といった具合です。

よく言われる「結論から話す」やり方はどうでしょうか。本書によると、いつでも結論から説明するのは、一流と言えません。状況によって説明の構成は変えたほうがいいと説き、「一流なら相手の知りたいことを想像することから始める」と言います。売上の達成状況や商談結果など、結論から伝えるべき場面はたしかにあります。一方、相手が前提や背景を知らない場合は結論よりも先に詳細を聞きたがるはずです。

「説明の前に相手の頭の中を想像してみる」といった示唆に富んだ「一流の説明」が凝縮された一冊です。

説明の一流、二流、三流
説明の一流、二流、三流
桐生稔
出版社:明日香出版社
発売日:2021年07月21日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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編集後記

今回の月間ランキングでは、第1位の『「スルーされない人」の言葉力』をはじめ、第2位『伝える準備』や第6位『説明の一流、二流、三流』など、自分の考えをきちんと伝えるための極意に関する著書が多く読まれた印象です。また、第9位の『超入門カーボンニュートラル』は、ダイベストメントなどの観点から、金融業界で関心の高いテーマの著書と言えそうです。

10月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。

本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

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