すべての業種の経営者に共通する悩みとも考えられるのが、「果たして、うちの人件費は高いのか?安いのか?」である。もちろん、経営者としては、人件費に必要な金額をしっかりと費やしたうえで有能な人材を確保し、生産性を高めていく必要があるが、それと同時に会社として利益を出していかねばならない。
人件費率の適正値については、さまざまな説があり、いくらが最適なのかという判断は非常に難しい。しかし、判断ための考え方を示すことは可能だと思うので、今回は人件費についてみていきたい。
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人件費率はコストや待遇面の判断に欠かせないデータ
人件費率は、売上に対するコストの高さや、従業員の待遇を判断するために必要な指標である。財務の観点からは低いことが望ましいものの、経営全体としては適正値を意識しなければならない。
人件費率が高い場合は、そのぶん事業の利益率が低いことを意味する。売上高が少ない、または人件費の負担が大きい状態であるため、早めに何らかの対策を立てることが必要だ。
一方で、人件費率が低い企業は待遇面に問題を抱えている可能性がある。従業員のモチベーション低下や、場合によっては退職者の増加を引き起こすため、人件費率が低すぎる状態も理想ではない。
人件費率とは
人件費率とは、特定の指標に対する人件費の割合を表した指標だ。通常は売上高を基準し、この場合は「売上高人件費率」と呼ばれる。
人件費の内訳については、従業員への給与に加えて以下のものも含まれる。
<人件費に含まれるもの>
・給与や各種手当
・賞与(ボーナス)
・役員報酬(※兼務役員に支払うもののみ)
・退職金
・福利厚生費
・法定福利費(※会社負担分のみ)
・契約社員や派遣社員に支払う報酬
・現物支給による通勤定期券
・社宅などの費用 など
労働の対価として支払うものであっても、雇用形態や役職によっては人件費に含まれないものがある。例えば、専任の役員は委任契約であるため、報酬・賞与ともに人件費には含まれない。