人件費率の計算方法

売上高に対する人件費率は、以下の計算式によって算出する。

売上高人件費率(%)=(人件費÷売上高)×100

財務省の資料によると、2015年度の人件費率(全産業)は14%弱である。2000年代初頭までは製造業の数値が高い傾向にあったが、2006年頃からは製造業・非製造業に大きな違いはない。

人件費の適正値とは? 業種別の数値と適正にする2つの方法について解説

仮に人件費を年間5,000万円、売上高を3億円とした場合、売上高人件費率は以下のように計算できる。

(5,000万円÷3億円)×100=約16.6%

どこまでを人件費に含めるかで結果が変わるため、前述の「人件費に含まれるもの」を参考にしながら慎重に計算してほしい。

売上高総利益を基準にする計算方法

人件費率には、売上高総利益を基準にする計算方法もある。

売上総利益人件費率=(人件費率÷売上総利益)×100

売上高総利益とは、売上から商品原価を差し引いた「粗利益」のことである。卸売業のように粗利益で業績を判断している場合は、売上総利益人件費率のほうが経営の実態をつかみやすい。

例として、人件費を年間5,000万円、売上高総利益を2億5,000万円として人件費率を計算してみよう。

(5,000万円÷2億5,000万円)×100=20%

前述の売上高人件費率も同様だが、人件費率は人件費以外のコストが高い業種ほど低い傾向にある。また、会社規模によって変わることもあるため、基本的には規模が同程度の競合と比較することが望ましい。

人件費率はどれくらいが適性?業種別の平均値

人件費率を計算しても、その数値が適性であるかの判断は難しい。非上場企業の場合は、同業他社のデータを取得することが難しいためだ。

ただし、上場企業のデータから業種別・業態別の傾向を分析するだけでも、役に立つ可能性がある。ここでは情報サービスの提供会社である「TKC」のデータをもとに、主な業種別の平均人件費率を紹介する。

(参考:TKCグループ「要約版・速報版 | TKC経営指標(BAST)」)

人件費の適正値とは? 業種別の数値と適正にする2つの方法について解説
(※売上高人件費率は小数点第二位以下を切り捨てた概算値)

業種別に見比べると、サービス業は全体的に人件費率の水準が高い。一方で、卸売業は仕入れのコストが多いため、いずれの業種も人件費率が低い傾向にある。

全体としては職人が作業をする業種や、対面サービスが多い業種の人件費率は高くなりやすいと言えそうだ。ただし、会社規模や業態、時期によって人件費率の傾向は変わるため、あくまで参考程度に留めてもらいたい。