2021年11月10日、ドラッグストアチェーン大手のウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア) <3141> の株価が一時4,390円まで買われ、年初来高値を更新した。6月2日の年初来安値3,235円から5カ月あまりで35.7%の上昇である。

ちなみに、ウエルシア株は2020年7月30日に上場来高値となる5,035円(株式分割を考慮)を記録している。当時は新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクやアルコール消毒液などの売上高が急増、株式分割(1株を2株に分割)も買い手掛かりとなり、ドラッグストアとしては初めて時価総額で1兆円を突破した。

後段で詳述する通り、日本の小売業販売額は百貨店、コンビニエンスストア(コンビニ)が伸び悩む一方で、ドラッグストアやスーパーマーケット等が堅調に推移している。今年4月12日には日経電子版で『ドラッグストアがコンビニ超える日 食品も安いインフラ』の記事が配信されるなど、高齢化が進む日本社会のインフラとして、ドラッグストアに着目する向きもある。

今回はドラッグストア業界の現状を交えながら、ウエルシアの業績も見てみよう。

小売業販売、ドラッグストアとコンビニで明暗分ける

ウエルシア,株価
(画像=OrangeMoon / pixta, ZUU online)

今年4月、経済産業省が公表した調査報告書『2020年小売業販売を振り返る』によると、2020年の小売業販売額は前年比3.2%減少の146兆4,570億円だった。業態別では百貨店が前年比25.5%減の4兆6,938億円、コンビニが同4.4%減の11兆6,423億円となる一方で、ドラッグストアは6.6%増の7兆2,841億円、スーパーマーケットが3.4%増の14兆8,112億円と売上を伸ばした。

ドラッグストアといえば医薬品や化粧品、日用品などをイメージする人も多いかもしれない。だが、先の経産省の調査報告書によると、ドラッグストアの販売額で最も大きいのは「食品」で全体の30.0%を占めている。次いで「家庭⽤品・⽇⽤消耗品・ペット⽤品」が15.7%、「ビューティケア(化粧品・⼩物)」が12.4%、「OTC医薬品」が12.2%、「トイレタリー」9.0%、「調剤医薬品」8.2%、「ヘルスケア」7.5%、「健康食品」3.1%、「その他」1.9%となっていた。

ちなみに、2020年の業態別の「食品」の前年比を見ると、ドラッグストアは12.4%増と最も高い伸びを示した。同じくスーパーマーケットも6.8%増と伸びたが、コンビニは5.8%減、百貨店は16.1%減と落ち込みが顕著だ。

冒頭で紹介した通り、ドラッグストアがコンビニを超えるとの見立ても、あながち間違っていないのかもしれない。

ウエルシア、2022年2月期も過去最高益を予想

10月6日、ウエルシアは2022年2月期中間決算(2021年3〜8月)を発表した。売上高は前年同期比6.6%増の5,082億円、本業の利益を示す営業利益は14.1%減の227億円だった。

前年同期(2020年3〜8月)は新型コロナウイルスの感染拡大で食品や感染症対策商品(アルコール消毒・空間除菌商材・ハンドソープ・マスク)などの「特需」で売上高が11.5%増、営業利益が44.0%増と急増したが、今期はその反動で営業利益がマイナスとなった。ただし、売上高は調剤併設店舗が前年同期比で236店増の1,742店と拡大、高採算の調剤売上高が16.2%増の976億円と伸びたことが下支えとなった。