子どもはアデノウィルスに感染しやすくどのように対応すれば良いのかわからない親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、この記事ではアデノウィルスの症状やアデノウィルスに子どもが罹患した際にどのように対処すれば良いのか、保育園に登園する際にはどのようなところに気をつければ良いのかを紹介します。
目次
アデノウィルスとは?
アデノウィルスとは、51種類の血清型がもとになっている感染症です。51種類の血清がもとになっているので、アデノウィルスに1回感染してもほかの種類の血清型のアデノウィルスに感染することもあります。
そのため、アデノウィルス感染症は1回ではなく複数回感染することがある感染症です。
潜伏期間
アデノウィルスは咳やくしゃみなどさまざまな形で、鼻や目の粘膜から感染をします。5~7日の潜伏期間があります。
流行時期
アデノウィルスは、夏にかけて感染力が強くなるので夏にアデノウィルスに感染することが多いとされています。夏の時期にはプールの水を介して感染することもあるため、プール熱とも言われています。
しかし、夏以外の季節でもアデノウィルスに感染することはありますので基本的な感染対策は重要です
感染力
アデノウィルス感染症は、プールを介した感染も報告されているくらい感染力が強い感染症です。咳やくしゃみなどの飛沫感染で感染することも多くあります。
検査方法
アデノウィルスに感染しているかどうかは、アデノウィルス用の検査キットを用いることで簡単に調べることができます。アデノウィルスの検査キットでは、咽頭粘液を採取して検査キットを用いて20分程度で診断結果を得ることができます。保険適用ですので必要に応じて検査は可能となります。
アデノウィルスの主な症状
アデノウィルスは、血清型ごとに発生する症状が異なり感染したアデノウィルスの種類によって「プール熱」や「はやり目」と言われることがあります。ここでは、アデノウィルスの症状について詳しく紹介するので参考にしてください。
目の充血
アデノウィルスでは、目の充血が症状として現れることがあります。アデノウィルスによる目の充血は、流行性角結膜炎と言われる結膜炎の1種で「はやり目」とも言います。目やにが充血とともに発生するのが特徴で、視力低下の原因にもなり実際にアデノウィルスで視力が低下したという事例もあります。
アデノウィルスで目の充血がある場合は、完治するまでに数か月かかる場合もあるようです。
高熱
アデノウィルスでは高熱が症状として現れることもあります。高熱がでるアデノウィルス症状の代表例が、プール熱と言われる咽頭結膜熱です。40度前後の高熱が数日おきに続くこともあり、高熱のみではなく、全体の倦怠感や結膜炎の症状が高熱とともに出ることもあります。
嘔吐・下痢
アデノウィルスでは、嘔吐下痢症と言われる下痢が数日続く症状がでることもあります。嘔吐下痢症は、アデノウィルスによって胃腸が刺激されることによって発症するのが原因です。
アデノウィルスの合併症が原因で入院
アデノウィルスは、感染力が非常に強く症状も重篤なものが多いこともあります。
しかし、アデノウィルス感染症に対する特効薬はなく、対症療法で経過観察をすることになります。この過程で合併症により入院することもあります。
肺炎に似たものや嘔吐や下痢が伴うものなどさまざまなものがあるので、子どもの場合はアデノウィルスによって発症した症状が重い場合は入院して経過観察することもあります。
アデノウィルスは保育園に報告すべき?
アデノウィルスは感染力が非常に強く、小さい子どもの場合はアデノウィルスに感染することで重篤化することも考えられます。そのため、アデノウィルス感染症と診断された場合は保育園や幼稚園には必ず報告しましょう。
また、アデノウィルス感染症と診断された場合は周囲に感染させないためにも、基本的には保育園や幼稚園への登園は避けるようにしてください。
アデノウィルスから回復後に保育園に登園する際の注意点
アデノウィルス感染症は症状が消失してから4日程度で回復したといえます。しかしアデノウィルス感染症から回復したけど、このまま子どもを保育園や幼稚園に登園させても構わないのか悩んでいる親御さんも多いでしょう。
ここではアデノウィルスに感染して回復した子どもが保育園や幼稚園に登園する際に注意しなくてはいけないことも紹介します。
手洗いうがいを徹底する
アデノウィルスは血清型が51種類あり1回アデノウィルスに感染しても、再びアデノウィルスに感染することはあります。また子どもがアデノウィルスに感染しているということは、保育園や幼稚園でまだアデノウィルスの流行がおさまっていない可能性もあります。
アデノウィルスから回復したばかりで免疫力が万全とは言えない子どもは、手洗いやうがいを徹底するようにしましょう。
登園許可証をもらう
アデノウィルスは、感染力が非常に強く保育園や幼稚園のように集団で行動する施設では集団感染してしまうこともあります。
そのため、保育園や幼稚園のなかにはアデノウィルス感染症が治癒していることを医師の診察のうえ登園許可証を持参させるところもあります。
登園許可証が必要かどうかの対応は、保育園や幼稚園によって異なるので事前に先生に確認しておきましょう。
激しい運動を避ける
アデノウィルスの感染から回復したばかりの子どもは、免疫力が弱いので激しい運動をして体力を消耗してしまうことで、再びアデノウィルスに感染してしまうこともあります。
そのため、回復したばかりの子はなるべく激しい運動は避けるようにしましょう。
アデノウィルスの子どもにしてあげること
アデノウィルスに子どもが感染したけど、何をしてあげたら良いのかわからない、このように思っている親御さんに向けて、アデノウィルスに感染しているお子さんにしてあげた方が良いことを紹介します。
消化の良い食事
アデノウィルスに感染している子どもは、胃や腸など食事を消化するための器官が弱っていることも多く、食事を戻してしまうこともあります。そのため、アデノウィルスに感染している子に対してはおかゆなど消化しやすいものをあげるようにしましょう。
中には、食欲減退の症状がでていることもあります。無理をせず食べられるものをあげるようにしてください
消毒の徹底
アデノウィルスは非常の感染力が強くアデノウィルスに感染している子どもでも、違う型のアデノウィルスに感染することもあります。家族が子どもに再びアデノウィルスを移してしまう可能性もあるので、家族も消毒を徹底するようにしましょう。
国際協力機構(JICA)顧問医として7年間勤務。大学病院やナショナルセンターを基盤に小児科および感染症内科、特に熱帯感染症の臨床と研究、海外渡航者の健康管理などに長年携わる。 2020年6月にプライマリケアを行う診療所「グローバルヘルスケアクリニック」を開設。感染症に関するTV・ラジオ出演は2020-2021年だけで1000件近い。