多角化戦略を成功させた事例

次は、多角化戦略を成功させた3つの事例を見ていこう。

【事例1】ソニーグループ

『ソニーグループ』と言えば、エレクトロニクスや音楽、映画、ゲーム、金融など、さまざまな事業に取り組んでいる世界的企業だ。なかでも音楽や映画、ゲームなどの事業はそれぞれ関連性があり、多大なシナジー効果を生じさせている。

同社はこのように複数の事業を抱えながらも、ブランドイメージの確立やリスク分散をしっかりと行い、今では世界でも高く評価される高収益体制を実現した。

【事例2】オリックスグループ

『オリックスグループ』はもともとリース業からスタートした企業だが、祖業のノウハウを活かす形で金融業界へと進出した。今でも銀行や生命保険、不動産、資産運用など多くの金融関連事業に携わっており、グループを着実に拡大させることに成功している。

【事例3】セブン&アイ・ホールディングス

コンビニ大手の『セブン&アイ・ホールディングス』は、セブンイレブンやイトーヨーカドーといった小売業を中心にしながら、ほかの事業にも手広く取り組んできた。代表的なものとしては、プライベートブランドを手掛けるメーカーや、セブン銀行などの金融業などがあり、生活に必要不可欠な社会インフラとしての地位を築いている。

集中戦略を成功させた事例

ここからは、集中戦略を成功させた大手企業の事例を紹介していく。

【事例1】スズキ

大手自動車メーカーの『スズキ』は、国内の軽自動車市場においてトップシェアを維持している企業だ。同社が多くのシェアを獲得した要因としては、国内のニーズに合わせて軽自動車の開発に集中したことが挙げられる。

また、1983年には他社より早くインドに進出することで、海外にも「スズキブランド」の名を浸透させた。

【事例2】しまむら

大手ファッションセンターを運営する『しまむら』は、ターゲットを20~50歳の主婦に絞った集中戦略を実践している。具体的には、店舗や物流のオペレーションにかかるコストを可能な限り抑えることで、主婦層からニーズがある低価格の商品を提供してきた。

さらに、店舗運営においては従業員のマニュアルを随時更新しており、徹底的な効率化を図っている。

【事例3】ケンタッキー・フライド・チキン

『ケンタッキー・フライド・チキン』は競合が多いハンバーガーではなく、あくまでフライドチキンを主戦場として捉えてきた企業だ。幅広いメニューを用意してはいるものの、同社は経営資源をフライドチキンへ集中させることで、大手ファーストフード店としての地位を築いてきた。

また、ターゲットを若い女性に絞り、各店舗をターゲットに合わせた内装に変えるなどの施策も行っている。