結果の概要:失業率は7.3%まで低下

ユーロ圏失業率
(画像=PIXTA)

12月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。

【ユーロ圏19か国失業率(2021年10月、季節調整値)】
・失業率は7.3%、市場予想1(7.3%)と同じで、前月(7.4%)から改善した(図表1)
・失業者は1204.5万人となり、前月(1210.9万人)から5.4万人減少した

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

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1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様

結果の詳細:全体としては改善傾向が続く

ユーロ圏の10月の失業率は7.3%と前月の7.4%から低下した。また、前月までの改定値もほぼ変更がなく、ほぼコロナ禍前の水準まで回復している。

失業者数は10月の前月差で5.4万人減(9月改定値:▲22.3万人)となり、減少幅は縮小したものの減少は続いている。4月以降の減少数(5-10月累計)は119.8万人となった。失業者数は、2020年2月(1206.9万人)を下回り、直近で最も失業者が少なかった20年3月(1147.4万人、失業率は7.1%)まであと57.1万人という水準となった(図表1・4)。

若年失業率も10月には15.9%と前月(16.1%)から改善した(若年失業率の改定値は9月(改定前16.0→改定後16.1%)がやや悪化方向に改定されている)。若年失業者数は10月には236.7万人となり、直近の最低値である20年3月(224.0万人)まであと12.7万人に迫っている(図表2)。ただし、若年失業者数も9月の改定値は悪化方向に改定(230.7万→237.6万人)されている。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

国別の9月のデータを見ると、失業率は19か国中、悪化した国が5か国、改善が7か国、横ばいが7か国、若年失業率は公表されている16か国中、悪化が9か国、改善が6か国、横ばいが1か国となり(図表5・6)、国によって状況にばらつきが見られた。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアでは10月は非労働力人口が減少する一方で就業者と失業者が増加、他方、ポルトガルでは就業者が減少し失業者と非労働力人口が増加した(図表7・8)。ポルトガルでは労働参加率がコロナ禍前の水準を上回っており、広義失業者(未活用労働、labour underutilisation)比率も9月の最低水準(11.7%)をさらに更新する(11.5%)など、労働需給のひっ迫感がうかがえる。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

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高山 武士(たかやま たけし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 准主任研究員

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