本記事は、マスクド・アナライズの著書『データ分析の大学』(エムディエヌコーポレーション)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=PIXTA)

専門家としてのデータサイエンティスト

テーマ:本物のデータサイエンティストに必要とされるスキルセット。

データサイエンティストに必要な能力

データサイエンティストに資格や免許は不要なので、名刺や肩書きだけの“なんちゃって”データサイエンティストには誰でもなれます。

一方では、専門的な知識や技術を持ち合わせた“ちゃんとした”データサイエンティストになるのは簡単ではありません。本書では「企業活動における多種多様なデータ分析において、理論から把握して根拠を示しながらビジネスで成果を出せる人材」を「データサイエンティスト」としています。

専門家としてのデータサイエンティストのスキルセットとして、データサイエンティスト協会の提唱する「ビジネス力」「データエンジニアリング力」「データサイエンス力」をベースにしてまとめました。専門用語も含まれていますが、わからない単語は後で調べてみましょう。

ビジネス力
●成果につながる課題設定
●BIツールなどによるレポート作成とプレゼンスキル
●業務を円滑に進めるコミュニケーション能力

データエンジニアリング力
●データの収集・構造・蓄積・加工などの前処理
●SQLなどによるデータベース操作
●クラウドで構築されたデータベースの利用

データサイエンス力
●統計学の知識(統計検定準1級程度)
●理系大学卒業程度の数学力
●Neural Network/Deep Learning/機械学習の知識
●Python/Rによるプログラミング

ここまで挙げた内容は、データサイエンティストとして求められる必要最低限のレベルです。さらに特定分野を伸ばしていくことが求められます。

しかし、1人ですべてのスキルを高いレベルで身につけるのは困難です。そのため、分析やデータベースの管理などで職務を分担して、チームで運用するのが一般的です。

より深く知りたい方は、データサイエンティスト協会が公開している「データサイエンティストスキルチェックリスト」をご覧になってください。

また、有名IT企業の人材採用に掲載される応募資格を参考にしてもよいでしょう。ただし、厳密に言えば、データサイエンティストのスキルセットは個人の専門性や働く環境によって異なるため、ここで挙げたものはあくまで一般的な例と捉えてください。

データ分析の大学 図2
(画像=データ分析の大学 図2)

まとめ:データサイエンティストには、3つのスキルセットがベースになる。

統計と数学とプログラミングは必須?

テーマ:フツーのビジネスパーソンに必要なデータ分析のスキルは?

読者対象は誰なのか?

本書は、データ分析を含むIT全般に対して専門的な知識やスキルを持つ「ITエンジニア」ではなく、「フツーのビジネスパーソン」を対象読者にしています。

そのため、統計と数学とプログラミングは意図的に避けています。これらは苦手意識のある方も多く、最初から必修科目にすると挫折する人も出てきます。

自発的な知的好奇心で学ぶ方ばかりでなく、仕事で必要に迫られて半ば強制的に学習している人や、「転職して年収アップ」などある意味で純粋な目的で学ぶ人もいるでしょう。どこを目指すかは人それぞれです。

また、これまで習得した知識や経験は人それぞれ異なりますし、才能や適性も大きく影響します。すべての社会人が統計と数学とプログラミングを理解するのは、現実には難しいでしょう。

そのため本書では理論や根拠について深く言及せず、基礎的なリテラシーを中心に敷居を下げてわかりやすさを重視しています。

データサイエンティストになるハードルは高い

ただし、専門職としてデータサイエンティストを目指すのであれば、統計と数学とプログラミングを避けては通れません。

理系を専攻して大学で統計や数学を学んでいたり、ITエンジニアとしてプログラミングを経験した方は有利ですが、そうでない人は相応の学習も必要です。

他にもITに関する多角的なスキルが求められるため、簡単になれるものではありません。「未経験から3ヶ月でデータサイエンティストなれる」などの意見もありますが、仕事で成果を出せるかは別です。

専門家たるデータサイエンティストになるのは、厳しい道のりだと覚えておきましょう。

まずは「なぜデータ分析が大事なのか」「データ分析でこんな事ができる」という基本を、“そこそこ”把握することが重要です。

0から1に進む入り口が、本書の役割です。そして、データ分析のスキルを1から10に伸ばすには、統計や数学やプログラミングが必要になります。

なぜなら「データ分析」と言っても、売上集計などの簡素なものから、複雑な分析まで幅広く存在します。そこでフツーのビジネスパーソンが最初に目指すのは、「Excelで“そこそこ”データ分析ができる人」です。

まずは、身近で使いやすいツールから習得することが大切です。

はじめは自分が持ち合わせている経験や業務知識などを土台にしつつ、新たにデータ分析スキルを学び、自身の能力に付加価値をつけるのが最適でしょう。

難しい理論を理解せずとも、ビジネスの現場で基本的な分析スキルが役立つ場面は十分にあります。その上で、さらに分析スキルを伸ばしたい人は、統計と数学とプログラミングの学習を進めていきましょう。

データ分析の大学 図3
(画像=データ分析の大学 図3)

まとめ:まずは、一般的なビジネスパーソンが使いこなせる分析スキルから身につける。

データ分析の大学
データ分析の大学
Twitterで現場目線による辛辣かつ鋭い語り口で情報発信を行い、業界内で注目を集める謎のマスクマン。企業や大学におけるDX・AI・データサイエンス導入活用の支援、人材育成、イベント登壇、書籍や論文の執筆などを手掛けている。執筆・寄稿歴は「ITmedia」「ASCII.jp」「Business Insider Japan」「IT人材ラボ」(現「HRzine」)など多数。著書に『未来IT図解これからのデータサイエンスビジネス』(MdN刊・共著)、『AI・データ分析プロジェクトのすべて[ビジネス力×技術力=価値創出]』(技術評論社刊・共著)がある。

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