2021年12月1日、オンラインゲームを運営するガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー) <3765> の株価が一時3,120円まで買われ、年初来高値を更新した。今年5月13日に記録した年初来安値1,926円から7カ月足らずで62.0%の上昇である。

後段で述べる通り、ガンホーは好調な業績や自社株買いなどを理由に株式市場で人気化しているようだ。特に業績面で寄与しているのが、2022年2月に10周年を迎えるスマートフォンゲーム『パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)』である。変化の激しいゲーム業界にあって、『パズドラ』が主力ゲームとして10年にわたり業績に寄与できるのはなぜか?

今回はガンホーの話題をお届けしよう。

『パズドラ』、国内累計5,800万ダウンロードを突破

ガンホー,株価
(画像= shimi / pixta, ZUU online)

11月12日、ガンホーは2021年12月期第3四半期累計(1~9月)決算を発表した。売上高は前年同期比17.1%増の791億円、本業の利益を示す営業利益は同38.3%増の263億円、純利益は60.8%増の185億円と好決算だった。ちなみに、市場予想であるQUICKコンセンサスは、ガンホーの今期純利益を10月22日時点で180億円と見込んでいたが、1~9月の実績でこれを上回る結果となった。

1~9月は主力の『パズドラ』が季節イベント、オリジナルイベント、コラボイベントを実施し、ユーザーアクティビティの継続的な活性化をもたらした。新ダンジョン等の追加やゲーム内容の改善も推進し、その結果、10月2日に国内累計で5,800万ダウンロードを突破した。

一方、スマートフォン向けのMMORPG『ラグナロクオリジン』も6月28日の国内配信開始から順調な滑り出しとなり、業績に貢献した。『ラグナロクオリジン』は11月10日から北米市場でも配信を開始したが、事前登録者数が70万を突破するなどこちらも好調なスタートとなった。ガンホーは『ラグナロクオリジン』について、2022年上期に台湾や香港、マカオで、2022年下期には東南アジアで新たにサービスを開始することも明らかにしている。

ガンホーは併せて自社株買いも発表した。自己株式を除く発行済み株式の4.0%強にあたる280万株、金額ベースで50億円を上限とする自社株買いで、取得した株式は12月30日に消却する。

11月15日のガンホー株は、好調な業績と自社株買いによる需給改善期待を後ろ盾に前日比で一時20.1%高の2,680円と急騰した。人気のバロメーターである出来高も306万9,600株で前営業日(11月12日41万6,300株)の7.4倍に膨らんだ。その後もガンホー株の人気は続き、12月1日には一時3,120円まで買われ、年初来高値を更新した。5月13日に記録した年初来安値1,926円から7カ月足らずで62.0%の上昇である。

国内総合売上高で第3位、息の長い人気

『パズドラ』はRPGとパズルゲームを融合させた「パズルRPG」で、2012年2月20日にiOS版、同9月18日にアンドロイド版をそれぞれリリースした。プレイヤーは複数のモンスターでパーティを組んで、ダンジョンのクリアを目指す。ダンジョンではパズルドロップを消すことによって敵モンスターを攻撃することができる。基本プレイ無料であるが、「魔法石」と呼ばれる有料のアイテムを使用することでゲームを有利に進めることもできる。

先に述べた通り、『パズドラ』は今年10月2日に国内累計で5,800万ダウンロードを突破した。ちなみに、角川アスキー総合研究所の『ファミ通モバイルゲーム白書2021』によると、2020年におけるゲームアプリの国内総合売上高の第1位はミクシィ <2121> の『モンスターストライク』で872億円、第2位はアニプレックスの『Fate/Grand Order』で623億円、そして第3位はガンホーの『パズドラ』で443億円となっている(金額は角川アスキー総合研究所の推定)。トレンドの変化の激しいゲーム業界にあって、『パズドラ』は息の長い人気となっている。

『鬼滅の刃』ともコラボ、炭治郎たちとパーティが組める!

『パズドラ』の人気が根強いのは、新ダンジョン等の追加やゲーム内容を適宜改善しているほか、各種イベントを積極的に開催しているためと見られる。たとえば、2018年には『仮面ライダー』『ソードアート・オンライン』『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』などの人気キャラクターとのコラボレーション企画を実施し、MAU(月次アクティブユーザー数)が急回復したことがある。