生産者物価の上昇はストップ

中国経済
(画像=PIXTA)

2021年12月9日の中国国家統計局の発表によると、11月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比12.9%上昇となり、10月の同13.5%上昇を0.6ポイント下回った。11月の消費財は同1.0%上昇である一方、生産財は同17.0%上昇となり、生産財が生産者物価を引き上げている構図は続く(図表-1)。

生産財の内訳をみると、採掘工業が前年同月比60.5%上昇、原材料工業が同25.0%上昇、加工工業が同10.1%上昇となり、前月より採掘工業は6.0ポイント、原材料工業と加工工業がそれぞれ0.7ポイント下回った。石炭生産量の増大に伴い、市場供給量が増加したことが背景としてある(図表-2)。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

消費者物価は継続して上昇基調

消費者物価の動きも景気動向と密接な関係があるため、生産者物価と併せて確認する必要がある。

2021年12月9日の中国国家統計局の発表によると、11月の中国の消費者物価は前年同月比2.3%の上昇となり、10月の同1.5%上昇を0.8ポイント上回った。9月までは下落基調であったが10月に上昇へと転じ、11月も上昇した。11月の消費者物価は、前年同月比では上昇、前月比では下落したが、これは前年同期の基準が低かったことが要因と考えられる(図表-3)。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

図表-4、5に示した消費者物価の内訳をみると、11月の食品とエネルギーを除くコア部分の上昇率は前年同月比1.2%上昇で、10月の同1.3%上昇を0.1ポイント下回った。なお前月比では、0.2%下落した。

さらに品目別にみると、豚肉は季節的な消費需要の増加や政府の備蓄用に回されたこと等に伴い、前年同月比では32.7%下落となり、前月の44.0%下落から11.3ポイント上昇した。一方、野菜は燃料高や新型コロナウイルスの再拡大に伴う物流の混乱もあり、前年同月比で30.6%上昇となった。食品価格全体では同1.6%上昇となった。

消費品(モノ)とサービスの対比でみると、11月の消費品(モノ)は前年同月比2.9%上昇となり、10月の同1.6%上昇を1.3ポイント上回った。また、サービスは同1.5%上昇で10月の同1.4%上昇から0.1ポイント上回った。2021年7月以降、消費品(モノ)、サービスともに下落基調であったが、10月から上昇方向へ転じ、11月も継続し上昇している。

生産者物価の上昇が落ち着き、消費者物価へと価格転嫁されたとみることができるが、依然として中小企業の経営は圧迫されている。また、世界的にコロナの新変異株が蔓延し始めたこともあり、更なるサプライチェーンの混乱も招きかねないため情勢のウォッチが欠かせない。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)
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(画像=ニッセイ基礎研究所)

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助川 啓太 (すけがわ けいた)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究員

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