LGTというプライベートバンクを知っているだろうか。同社は、リヒテンシュタイン公爵家のファミリーオフィスであり、公爵家が所有する世界最大規模のプライベートバンキングおよびアセットマネジメントグループだ。今では、世界20カ所以上の拠点に3,900人以上の従業員を擁する。
「名門プライベートバンクが日本の超富裕層に伝えたいこと」Vol.1では、リヒテンシュタイン公爵家の投資哲学や、本来のプライベートバンキングの役割などを紹介してきた。Vol.2では、想定顧客層や日本の富裕層に提供するサービス、相続税が高い日本への適用スタンスなどを聞く。Vol.1に引き続き、LGTウェルスマネジメント信託株式会社の代表取締役会長、プライベートバンキングジャパンCEOに任命された永倉義孝氏に話を聞いた。
永倉 義孝(ながくら よしたか)
LGTウェルスマネジメント信託株式会社 代表取締役会長、プライベートバンキングジャパンCEO。LGTの日本におけるウェルスマネジメント事業を統括。LGT入社前は、クレディ・スイス、ドイツ銀行、三菱UFJ銀行などで、プライベートバンキング業界の数々の業務に携わる。日本の金融業界における経験は25年以上にのぼり、長年の経験と日本市場に対する独自の洞察により、LGT独自の総合的な顧客サービスの確立に寄与。
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金融資産10億円以上の超富裕層にベネフィットを感じてもらいやすいサービス
―― LGTでは具体的には、どのような属性、どれくらいの資産規模の富裕層を想定顧客としているのでしょうか?
プライベートバンキングでよくある「最低預入金額」のような定量的なバーはありません。「住宅にたとえれば、私たちは安藤忠雄さんのような建築家だ」と申し上げました(編集部注:Vol.1に飛びます)。実は、安藤忠雄さんは大きな建築物ばかりを設計しているわけではありません。本当に小さな家も手がけています。
重要なポイントは、「安藤忠雄さん(のような建築家)に家を設計してもらいたい」というニーズがあるかどうかです。ただし、当社が扱うプロダクトの最低投資金額などの制約を考えますと、金融資産が10億円以上ある方のほうが、当社のサービスを有効活用していただける、存分にベネフィットを感じていただけるのではないかとは思います。