2021年12月16日、損害保険大手の東京海上ホールディングス(以下、東京海上) <8766> の株価が一時6,501円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年6月21日に記録した年初来安値4,907円から6カ月で32.5%の上昇である。
後段で述べる通り、2022年3月期第2四半期累計(4〜9月)決算の好調に加え、通期業績についても大幅な上方修正となったこと、さらに証券会社の高評価が相次いだことも東京海上の株価を押し上げる要因となった。
ちなみに、保険業は米長期金利が上昇する局面で「株価が上昇しやすいセクター」とされている。
米国時間12月15日、FRB(米連邦準備理事会)は金融政策を決定するFOMC(米連邦公開市場委員会)において、量的緩和策を目的とした資産買い入れを徐々に減らす「テーパリング」のペースを2倍に加速させる方針を決定した。同時に、参加者らの政策金利見通しでは2022年に3回の利上げ予想が示された。
米長期金利が本格的な上昇トレンドを描くことになれば、損害保険大手の東京海上にも追い風となるかもしれない。今回は東京海上の話題をお届けしよう。
東京海上、2022年3月期の経常利益は80%増の4,800億円へ
11月19日、東京海上が発表した2022年3月期第2四半期累計(4〜9月)決算は、売上高に相当する経常収益が前年同期比5.2%増の2兆8,856億円、経常利益は3,668億円の黒字(前年同期は1,091億円の赤字)、親会社株主に帰属する中間純利益も2,693億円の黒字(前年同期は624億円の赤字)に転換した。
同期は国内外ともに保険引受と資産運用が好調だったほか、7〜9月の⾃然災害に係る発生保険⾦の実績が502億円(税引前)と前年同期⽐309億円減少したことなどが業績に寄与した。
東京海上は2022年3月期(通期)について、経常利益で前期比80%増の4,800億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同2.1倍の3,450億円に上方修正した。前回8月6日に示した通期予想(経常利益4,400億円、親会社株主に帰属する当期純利益3,150億円)に比べて経常利益は9.1%(400億円)増、親会社株主に帰属する当期純利益も9.5%(300億円)増とそれぞれ上乗せする結果となった。同時に年間配当も245円と従来計画(215円)からの増配を決めている。
決算発表の翌営業日(11月22日)の東京海上の株価は、前日比で一時3.2%高の6,102円を記録した。その後は調整で下げる場面も見られたが、12月10日に野村證券が東京海上の目標株価を6,900円から7,500円に引き上げ、投資判断を3段階で最上位の「バイ」で据え置いたほか、12月13日にはUBS証券も東京海上の投資判断を3段階で最上位の「バイ」としてカバレッジを開始したことが追い風になり、12月16日には一時6,501円と年初来高値を更新した。今年6月21日に記録した年初来安値4,907円から6カ月で32.5%の上昇である。