D2Cの成功事例
これからD2Cに取り組みたいのならば成功事例を知っておくことも重要だ。いくつかの企業の成功事例をチェックしてみよう。
土屋鞄製造所
1965年創業、ランドセルの製造で有名な企業。2000年以降は、仕事用カバンや大人が使える財布などの革小物の販売を自社サイトで行っている。サイトでは一つひとつの商品について開発に至るまでのエピソードや職人の想いを紹介しており、購入する人もそれらのストーリーを共有できる。
FUJIMI
サプリメントなどの通信販売を行う企業。サイト上でいくつかの質問に答えると自分に合ったサプリメントが処方され、消費者は処方されたサプリメントを定期購入する仕組みである。一人ひとり届く商品が違うという、「パーソナライズ」で顧客の心をつかむのに成功している。
FABRIC TOKYO
メンズアパレル企業。オーダーメイドのスーツやシャツの販売を行う。生地メーカーや中間業者を通さず自社ですべてを行うため、オーダーメイドでありながら比較的安価で商品を提供できるのが大きな強みだ。採寸については「自分で行う」「手持ちのスーツを計る」「店舗で行う」など、さまざまな方法が選択できる。
採寸したサイズデータをクラウドに登録しておくとインターネット上から自分にぴったり合ったサイズの服がいつでも注文可能になる気軽さも消費者に受け入れられている理由の一つだ。
D2Cに関するQ&A
Q.D2Cとは?
A.D2C(Direct to Consumer)とは、販売を仲介する会社や小売業者などを通さず、顧客にオンライン上で直接販売を行うビジネスモデルの一種。D2Cでは、自社で企画製造した商品を消費者に直接販売する。また中間業者を通さないため、中間マージンを節約できるほか、自社商品を購入する顧客の属性などの情報蓄積も可能だ。これにより今後の商品開発やマーケティングに活かせるメリットがある。
Q.B2CとD2Cの違いは?
A.B2C(Business to Consumer)とは、企業と消費者の取引を指す言葉だ。楽天市場やAmazonなどのECモールはB2Cの一種である。D2Cも企業と消費者が取引をする点は同じだが、B2Cの企業側は、商品の企画・製造を担当しないケースもある点が大きな違いだ。
Q.D2Cのメリットは?
A.企業側から見たD2Cの主なメリットは、以下の4点である。
・収益性に期待できる
・「ブランド」のファンを増やすことができる
・顧客データを収集できる
・販売方法を自分たちで決めることができる
中間業者を通さない分、収益性の改善が期待でき販売方法を自社で決定できる。また顧客と直接コミュニケーションを取るため、自社のファン層を把握し、自社ブランドのファンを増やすことも可能だ。顧客側から見れば中間マージンがなくなる分、より高品質な商品を低価格で入手でき商品に対する要望を直接企業に伝えることでその反応をもらえるというメリットがある。
Q.D2Cブランドの成功事例は?
A.例えば土屋鞄製造所は、革小物の販売をD2Cで進めて成功した事例の一つだ。自社サイトで販売商品の開発ストーリーや職人の思いを詳しく伝えることで、ブランドのファンを増やすことに成功している。またサプリメント販売のFUJIMIは、いくつかの設問によりその人に最適なサプリメントを処方し、定期購入できる仕組みを採用する「パーソナライズ」でD2Cを成功させた。
Q.D2Cの市場規模は?
A.株式会社売れるネット広告社が2020年に行った調査によると、デジタルD2Cの市場規模は、2020年で約2兆3,000億円、2025年には約3兆円を超えると予想されている。スマートフォンやSNSの普及により、消費者が自分で情報を取りに行けるようになったことやコロナ禍による購買行動の変化もあり、デジタルD2Cの市場規模は今後も伸びると考えられる。