オプション取引とは?

では、この商品を知る上で一番重要なオプションの概念についてみていきましょう。オプション取引とは、将来の一定期日もしくは一定期間に対象となる資産を特定の価格で買ったり売ったりすることができる”権利”の売買です。対象となる資産を買う権利を”コール”、逆に対象となる資産を売る権利を”プット”と呼びます。買い手はオプションを買う際にプレミアムと呼ばれるオプション対価を支払わなければなりません。また、プレミアムは相場水準や期間、オプションの行使価格により決定します。ここで一番のポイントは、あくまで権利の売買なので権利行使をするかしないかの判断は買い手が行うことができます。

住信SBI銀行のコイントスには外貨のコールオプションの売りが仕組まれています。ドルコールオプションの売りを行うことでプレミアム(魅力的な金利)を受取れますが、オプションの権利行使価格より円高になった場合はオプション権利の行使をされてドルを購入しなければならなくなり、元本が特約通貨で支払われるという仕組です。オプションの権利行使価格より円安の場合にはオプションの権利を放棄されますので、最終的に円貨で元本を受取れるという仕組です。結果として、この仕組預金はプレミアムを利回りという形で受取りますが、円高になった場合のリスクを引き受けるという取引であることがわかります。

つまり、住信SBI銀行がドルコールオプションを買うことにより、高い金利を預金者に払っています。その代わりに、ある一定の為替水準を下回った場合には預金者は外貨で買い取らなければいけない取引となっております。預金者(売り手)は銀行側が権利行使を要求した場合には必ず取引に応じなければなりません。

気をつけなければならないリスク

コイントスの最大のリスクは為替相場の変動による元本割れです。満期時の受取が、“円貨“または”外貨“となります。つまり、為替の変動リスクを負った取引をするということです。では、どういう時に損失が出るのでしょうか。一言でいうと、円高になると元本割れをおこす金融商品です。さらに注意が必要なのは、円換算額で元本を下回っているかどうかの判断だけでなく、受取った外貨を円貨に交換する際の手数料も考慮するひつようがあります。

ここで、外貨預金をイメージされる方もいるかと思いますが、満期時に特約通貨で元本を受取る時は、基本的に不利な特約レートで元本が特約通貨に交換されます。また、住信SBI銀行のコイントスは円安メリットを放棄しているため、円安となっても増えることはありません。これもリスクといえます。外貨預金では円高になった際に同様に為替レート差額分の元本割れが発生しますが、円安になれば元本も為替レートの差額分増えます。

また、期間が1ヶ月など短いものが多く、満期の都度、円高による為替リスクを負う金融商品だということも忘れてはいけません。オプション取引はリスクヘッジの手段としても用いられますが、売り手に関しては、利益はプレミアムのみで損失は無制限にあるということも重要な事実です。基本的にリスクの高いものはプレミアムも高額になり収益性も高くなりますが、リスクの存在は忘れてはなりません。(ZUU online)