ビジネスモデルキャンバスを使う2つのメリット

同じ商品やサービスでも、ビジネスモデルの違いで事業の成否が分かれることは多い。ビジネスモデルは、事業を永続的に成長、発展させる要だ。続いては、ビジネスモデルキャンバスを使ってビジネスモデルを可視化するメリットを見ていこう。

1.事業改善に役立つ

ビジネスモデルキャンバスで、顧客に与える価値や販売方法、コストや関係者などを整理すると、事業をより良くするための方法や改善点に気づきやすくなる。

たとえば、顧客の年齢層と広告宣伝の手法がマッチしていないことが分かり、より効果的な広告宣伝の手法に切り替える、無駄を削減してコスト削減を実現するといった対策をとれるかもしれない。

2.意識共有に役立つ

社員と一緒にビジネスモデルキャンバスのフレームワークを使い、改善案を募集するのも面白いだろう。今の時代、意外なアイデアや発想が爆発的なヒットにつながる可能性もある。

また、ビジネスモデルを可視化することで、仕事の全容をつかむことができ、社員のモチベーションを高められるのもメリットだ。

ビジネスモデルキャンバスの9つの要素

ビジネスモデルを可視化するBMCって何のこと?
(画像=Graphic&Illustration/stock.adobe.com)

ビジネスモデルキャンパスを構成する要素は9つある。一つひとつ見ていこう。

要素1.顧客セグメント(CS:Customer Segments)

ターゲットとなる顧客の属性やニーズなどを記述することで、事業のターゲットが明確になる。ターゲットが複数の場合、グループ化してすべて書き出す。

<例>
・高年収で多忙なサラリーマン男性
・育児で忙しい専業主婦や主夫
・一人暮らしをしている20代女性

要素2.価値提案(VP:Value Propositions)

顧客のニーズをふまえて、顧客に提供できる価値を記述することで、商品の特徴やサービスの内容が明確になる。顧客に提供する価値を見直すことで、顧客単価を引き上げるヒントも見えてくるだろう。

<例>
・家事の時短で生活にゆとりが生まれる
・より精密な作業が可能となり製品の品質が向上する

要素3.チャネル(CH:Channels)

顧客に価値を提供するときの手段を記述する。たとえば、販売方法や広告宣伝など認知獲得の手段などだ。顧客セグメントに訴求する適切なチャネルを選択することは、ビジネスを成功させるために重要な視点である。

<例>
・店舗
・ECショップ
・SNS
・チラシのポスティング

要素4.顧客との関係(CR:Customer Relationships)

顧客と築く関係性を記述する。顧客との新たな関係性を構築することで、新規顧客の獲得をはじめ、商品やサービスの価値上昇が期待できる。

<例>
・顧客アンケート
・保守メンテナンス
・セルフサービス
・アンバサダー任命

要素5.収益の流れ(RS:Revenue Streams)

顧客セグメントから収益を受け取る流れを記述する。ビジネスを成立させるには収益の獲得が欠かせない。収益の流れを明確化し、価格設定の妥当性も検討する。

<例>
・販売
・レンタル
・サブスクリプション
・コンサルティング

要素6.主要リソース(KR:Key Resources)

価値を提供するために必要なリソースを記述する。主要な経営資源といわれるヒト・モノ・カネ・情報の切り口で整理するとわかりやすい。

<例>
・特定のスキルや資格を持つ社員
・機械設備
・助成金や補助金
・ブランド

要素7.主要活動(KA:Key Activities)

価値を提供するための活動について記述する。主要活動は、いわば事業内容そのものだ。主要活動が明確でなければ事業として成り立たない。

<例>
・研究開発
・製造販売
・マーケティング

要素8.主要パートナー(KP:Key Partners)

価値の提供にともない協力してもらうパートナーを記述する。

<例>
・取引先や仕入先
・代理店
・金融機関
・不動産オーナー

要素9.コスト構造(CS:Cost Structure)

価値の提供にともない発生するコストを記述する。全体を把握しやすいように、代表的な項目をピックアップする。

<例>
・原材料費
・人件費
・広告宣伝費
・輸送費
・家賃などの固定費