フランスの大手コンサルティング会社キャップジェミニによると、新型コロナ禍の2020年に金融資産を100万ドル(約1億1,000万円)以上保有する富裕層は、世界全体で前年比6%増の2,080万人に達した。さらに3,000万ドル(33億円)以上の金融資産を有するウルトラ・ハイネット・ワースと呼ばれる層も前年比10%増の20万人に拡大したという。

キャップジェミニによると、富裕層が最も多い国は米国で600万人を大きく超えている。これは全世界の富裕層(2,080万人)の約3分の1に相当する規模だ。一方、米国の市場調査会社セルリ・アソシエーツによると、2018〜2042年に米国の高齢者世代が次世代に継承する資産は推定で約70兆ドル(約8,067兆8,500億円)に達するという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「米国の現代史上最も大きな富の移転が始まった」(2021 年 7 月 6 日付)と伝えているが、当然、富裕層やウルトラ・ハイネット・ワースと呼ばれる層にとっても財産の継承は大きなテーマとなる。

注目されるのは、莫大な財を成した人が世界的に増加するなか、一族の財産を守り・育て・継承するための包括的な管理を担う「ファミリーオフィス(Family Office)」の運用資産額も拡大していることだ(詳細は後述)。

そこで今回は新型コロナ禍のファミリーオフィス事情についてレポートしたい。