インフラファンドは、太陽光発電などのインフラ施設に投資を行う金融商品です。分配金利回りが比較的高いため、定期収入を確保する手段として活用できます。本記事は、インフラファンドの仕組みとメリット・デメリットについて詳しく解説します。

インフラファンドとは?

インフラファンドとは?仕組みとメリット・デメリットを解説
(画像=xiaoliangge/stock.adobe.com)

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの発電設備や空港、湾岸施設、鉄道といったインフラ施設に投資する金融商品を「インフラファンド」といいます。J-REITと似た仕組みを持っており、証券取引所に上場しています。

幅広いインフラ施設が投資対象ですが、今のところは太陽光発電が中心です。太陽光などの再生可能エネルギー発電には「固定価格買取制度(FIT)」があり、発電した電気は最長20年間固定価格で買い取られるため、安定した収益が期待できます。

インフラファンドの仕組み

インフラファンドは投資法人が運営しており、複数の投資家から集めた資金でインフラ施設を購入します。そのインフラ施設をオペレーター(発電事業者)に貸し出して賃貸料を受け取る仕組みです。オペレーターは、固定価格買取制度で電力会社などに電気を売却して売電料を得ています。

インフラファンドの運用益は、投資金額に応じて投資家に分配されます。

インフラファンド上場銘柄一覧

インフラファンドの上場銘柄一覧(2022年2月9日時点)は以下の通りです。

コード銘柄名投資口価格分配金利回り決算期
9281タカラレーベン・インフラ投資法人107,600円6.37%5月/11月
9282いちごグリーンインフラ投資法人67,000円5.89%6月
9283日本再生可能エネルギーインフラ投資法人101,000円6.34%1月/7月
9284カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人119,500円6.28%6月/12月
9285東京インフラ・エネルギー投資法人93,400円6.51%6月/12月
9286エネクス・インフラ投資法人89,400円6.71%11月
9287ジャパン・インフラファンド投資法人90,100円6.53%5月/11月

インフラファンド第1号はタカラレーベン・インフラ投資法人で、2016年6月に上場しました。その後も複数の投資法人が上場を果たし、現在は上記7銘柄が上場しています。

多くの銘柄は10万円程度で購入でき、分配金利回りは6%前後あります。J-REITと同様に、インフラファンドには一定の要件を満たすと実質的に法人税が非課税になる仕組みがあるため、分配金利回りは高めに設定されています。

インフラファンドのメリット

インフラファンドには以下のようなメリットがあります。

分配金利回りが高い

インフラファンドは、分配金利回りの高さが最大の魅力です。東証一部上場企業の株式平均利回り(加重平均利回り)は1.94%(2022年1月)、J-REITの平均分配金利回りは3.76%(2022年1月)となっています。

一方、インフラファンドの分配金利回りは6%前後で、他の金融商品よりも高めに設定されています。インフラファンドに投資すれば、高利回りの分配金収入を確保できます。

値上がり益が期待できる

インフラファンドは上場しているため、株式市場が開いている時間帯は投資口価格が変動します。取引のタイミングをうまく捉え、購入時より高い価格で売却できれば値上がり益を得られます。分配金に加えて値上がり益も獲得できれば、収益性をさらに高めることができるでしょう。

少額からインフラ施設へ投資できる

インフラ施設は、個人が簡単に投資できる資産ではありません。太陽光発電投資は個人で行うことも可能ですが、土地や設備を取得するにはまとまった資金が必要です。インフラファンドを利用すれば、10万円程度の少額から個人の方でもインフラ施設に投資できます。

景気変動の影響を受けにくい

一般的に、インフラ施設は景気変動の影響を受けにくいといわれています。また、インフラファンドの主な投資対象である再生可能エネルギー発電には固定価格買取制度もあるので、長期にわたって安定した収益が期待できます。

再生可能エネルギーの普及に貢献できる

地球温暖化などの気候変動問題が世界的な課題となっており、日本においても脱炭素やカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)に向けた取り組みが行われています。脱炭素やカーボンニュートラルを達成するには、再生可能エネルギーの活用が不可欠です。

インフラファンドを利用すれば、投資を通じて再生可能エネルギーの普及に貢献できます。

インフラファンドのデメリット・注意点

インフラファンドは高利回りの分配金が期待できる一方で、以下のようなデメリット・注意点もあります。

固定価格買取制度終了後の見通しが不透明

固定価格買取制度は最長20年間固定価格での電気の買取を保証していますが、制度終了後の見通しは明らかになっていません。また、電気の買取価格は年々下がっています。

今のところ、インフラファンドの分配金利回りに大きな変化は生じていません。しかし、今後は買取価格の引き下げや買取制度終了が分配金利回りに影響を与える可能性もあります。インフラファンドに投資するなら、固定価格買取制度の動向を注視する必要があるでしょう。

金利上昇リスクがある

インフラファンドを運営する投資法人は、金融機関の借入を利用してインフラ施設に投資しています。市場金利が上昇して返済負担が増えると、財務内容が悪化して投資法人の運営に支障が出るかもしれません。最悪の場合、上場廃止となる可能性もあります。

投資法人はホームページで有利子負債の状況を公開しているので、財務内容に問題がないか定期的に確認しましょう。

借入金を活用できない

不動産投資とは異なり、インフラファンドは借入金を活用できません。全額自己資金で投資する必要があるので、投資金額が少ないと大きな収益は期待できないでしょう。融資を活用して資産を増やしたい場合は、不動産投資などを検討しましょう。

市場規模が小さい

インフラファンドはまだ新しい金融商品で、他の資産に比べると市場規模が小さいのもデメリットです。たとえば、東証一部の株式時価総額は約692兆円(2022年1月)、J-REITの時価総額は約15兆円(2022年2月)です。それに対して、インフラファンドの時価総額は約1,600億円にとどまります。

市場規模が小さいと、まとまった注文が入ったときに価格変動が不安定になることがあるので注意が必要です。今後は再生可能エネルギーの普及促進などを背景に、インフラファンドの市場規模が拡大する可能性もあります。

インフラファンドはどんな人に向いているのか

下記のような特徴のある人は、インフラファンドの投資に向いています。

・分配金で定期収入を確保したい人
・分散投資でリスクを抑えたい人

インフラファンドは分配金利回りが高く、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を背景に安定した収益が期待できます。分配金で定期収入を確保したいなら、インフラファンドは選択肢となるでしょう。

また、インフラファンドは景気変動の影響を受けにくいので、分散投資先の1つとして活用することも可能です。資産の一定割合をインフラファンドで保有すれば、保有資産全体の価格変動を緩やかにする効果が期待できます。

まとめ

インフラファンドは少額から太陽光発電などのインフラ施設に投資ができ、高い分配金利回りが期待できます。一般的には景気変動の影響を受けにくく、再生可能エネルギーの普及に貢献できるのもメリットです。安定した定期収入を確保したいなら、インフラファンドへの投資を検討しましょう。

(提供:Incomepress



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