4月から東証再編も「期待はずれ」の声多数?3分でわかる”市場再編”まとめ
(画像=show999/stock.adobe.com)

東京証券取引所は、「プライム」選択企業が1,841社、「スタンダード」選択企業が1,477社、「グロース」選択企業が459社だったと発表した。東証再編に関する基礎知識がないと、このニュースの意味がよく分からないかもしれない。分かりやすく説明していこう。

東京証券取引所が2022年4月4日に再編される

東京証券取引所は2022年4月4日、これまであった4つの市場区分を3つの市場区分に再編することが決まっている。これまでの4つの市場区分は「コンセプトが曖昧であり多くの投資者にとって利便性が低い」(日本取引所グループの清田瞭CEO)状態だったからだ。

具体的には、「市場第一部」「市場第二部」「マザーズ」「JASDAQ(スタンダード・グロース)」の4つの市場区分を、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの市場区分に再編する。

新たに誕生する3つの市場区分について東京証券取引所は、それぞれのコンセプトを以下のように説明している。

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既存の上場企業による上場先市場の選択結果は?

2022年4月4日の再編に先立ち、東京証券取引所に上場している企業は、再編後のどの市場に上場するかを2021年9〜12月の間に選択することになっていた。その選択の結果が取りまとめられ、冒頭紹介した数字として発表されたわけである。

改めて数字を紹介すると、プライム市場を選択したのは1,841社、スタンダード市場を選択したのは1,477社、グロース市場を選択したのは459社だった。

市場第一部の上場企業2,185社のうち1,841社がプライム市場を選択し、344社はスタンダード市場を選択した。スタンダード市場を選択した344社は、実質的に「最上位市場」からの降格という形となる。

ただし、プライム市場を選択した企業1,841社のうち296社は「上場維持基準」を満たしていない。このような企業は、基準に適合するための計画を策定し、実行することになっている。

各市場区分の基準を比較

ちなみに、今回の市場再編に関しては、新規上場基準と上場維持基準が共通化されたことも覚えておきたい。これまでは新規上場基準よりも上場維持基準の方が緩かったため、上場後に新規上場基準を満たせなくなる企業が目立った。このような状況を改善するための措置だ。

このような目的を持って定められた各市場の上場基準は、以下の通りである。一部を抜粋して紹介する。

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このほかには、例えばプライム市場の場合は新規上場基準として「最近2年間の利益合計が25億円以上」「売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上」「純資産50億円以上」という項目が設けられている。

スタンダード以上の場合は、新規上場基準として「最近1年間の利益が1億円以上」「純資産額が正であること」が設けられている。

「株主数」の基準緩和で株主優待を廃止する企業も

他に特筆すべき点としては、市場再編に伴う上場基準や維持基準の一部変更によって、「株主優待制度」を廃止する企業が増えることが予想されていることだ。

上場企業が株主優待制度を設けている理由のひとつが、株主優待でさまざまな人を惹きつけて株主になってもらい、上場するために必要な「株主数」を満たすことであった。しかし、今回の市場再編に伴って株主数の基準が緩和されたため、株主優待制度を廃止する企業も増えるという図式だ。

すでに株主優待の廃止を発表する企業が出てきており、今後その流れは加速する可能性がある。ただし、株主優待を廃止すると、株主優待狙いの投資家による保有株式の売却につながり、それが株価下落の引き金になる恐れがあるため、株主優待を継続する企業もあるはずだ。

日本経済に関する「一般常識」、概要をしっかり押さえよう

東証再編は、日本の株式市場においてはビッグニュースだ。株式投資をしている人はもちろんだが、株式投資をしていない人も日本経済に関する「一般常識」として、概要はしっかり押さえておきたいところだ。

また、再編が行われる2022年4月4日前後は、株価が大きく変動する可能性があるので、日本株を保有している人は相場の状況を注視するようにしたい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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