家計管理や生活設計、資産形成など、お金と上手につき合うための基礎的な知識である「金融リテラシー」が、多くの国で長期的な政策の重要事項となっている。たとえば、OECD(経済協力開発機構)によると2020年5月時点で70カ国以上が金融リテラシーを国家戦略に据えて取り組んでいる。

日本においても、2022年度から高校の新しい学習指導要領において、家庭科の授業に株式や投資信託などの金融商品が加えられる。学齢期の子どもを持つ保護者に向けたメディア「朝日新聞EduA(エデュア)」の2021年11月10日付の記事によると、これまでも高校の家庭科の授業で、消費生活における注意点に主眼を置いた「お金」に関するカリキュラムが組まれていたのだが、2022年4月からの学習指導要領改訂後は新たに「資産形成」の要素が加わる。具体的には預貯金や民間保険、株式、債券、投資信託などを含め、さまざまな金融商品の特徴を理解し、経済的な計画をより積極的に立てることができるよう指導が行われる。

ちなみに、筆者が暮らす英国では子どもの金融リテラシーについて「早期から実践的に学ぶ」という概念が広く浸透している。また、欧米では子どもを対象としたデビットカードや投資口座のほか、子どもの金融教育を支援するスタートアップも登場している。欧米に比べ、日本の子どもの金融教育はようやく黎明期を迎えつつある印象を受けるが、そう遠くない将来、高校生が自分たちの将来を見据え、株式や投資信託などを活用した「資産形成」について語るのが当たり前の時代を迎えるのかもしれない。

今回は「子どもの金融リテラシー(Financial Literacy For Kids)」の話題をお届けしよう。