この記事は2022年2月25日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「ネット・ゼロに向けた金融規制の役割:国際的な議論の動向」を一部編集し、転載したものです。

要旨

ネット・ゼロに向けた金融規制の役割
(画像=PIXTA)

昨年11月のCOP26の成果について議長国英国が取りまとめたパンフレットでは、「我々(締約国)は何兆もの民間資金がパリ協定のゴールに沿った流れ方をするようになるよう取り組んでいる」とされている。この取組の中に金融規制は含まれるのか。含まれるとすれば、どんな形で含まれるのだろうか。

本年2月3日、米上院では、FRBの銀行監督担当副議長候補と野党筆頭の間で、気候変動問題に関する金融規制の役割に関し、激しい議論が交わされた。

英国では、昨年、同様の問題に関し、財務大臣と中銀総裁の間で、ニュアンスのあるやりとりがみられた。

ネット・ゼロに向けた金融規制の役割は何か。やや神学論争的な面もないではないが、基本的な考え方を深める上で参考になるところも多いように思われるので、海外や国際会議における議論の動向を読み解いてみたい。