すでに2022年が始まって早3ヶ月。もうすぐ今年度も終わりにさしかかり、新たな門出を迎える人も多いかもしれない。
THE OWNERでは今年度にヒットした記事を振り返る特集を企画。今年度話題を呼んだ、法人税の還付を受けた場合の仕訳方法や、法人税にまつわるニュースについて振り返る記事をピックアップした。
法人が納付する税金は、さまざまな種類があり、一定の条件を満たすと節税できるケースが多々ある。実際にはどのような節税対策があるのだろうか。
1.法人税の還付を受けたら仕訳はどうする?具体的な方法や他の税金についても解説
(2020/03/25 配信)
法人にはさまざまな税金が課せられているが、その反面、税金が還付されるケースも多い。ここでは、税金の還付が発生するケースや還付の種類、還付が発生した場合の仕訳の方法について解説する。
法人税の還付はどのようなときに起こる?
ここでは法人税についてみていこう。どのような場合に還付が発生するか説明する。
・中間納付よりも実際の納付額が少なかった場合
前年に納めた法人税が20万円を超えた場合、法人税の中間申告の義務が発生する。それにより、大半の場合では中間納付を行う。中間納付とは、いわば法人税の前払いのことである。
期初から6ヶ月までに発生した損益等を計算、申告したうえで納税するか、損益を計算しない場合は前年の法人税額の半額をそのまま納税するかのどちらかの対応を取る。このときに納めた税金よりも最終的に確定した税金が少ない場合はその差額が返金されることとなる。
ちなみに法人税の中間申告をする場合、地方税である法人住民税や事業税についても中間申告をすることとなる。法人税で還付が発生することになれば、法人住民税や事業税においても還付が発生する可能性があることを覚えておくとよい。
2.売上高6兆円でも法人税ゼロ?Amazonが追徴課税を回避できた理由とは
(2021/05/30 配信)
世界中でGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)の租税回避への批判の声が高まる中、AmazonとAppleがEU(欧州連合)の追徴課税を巡る裁判で勝利した。GAFAの封じ込めに2連敗した事実は、EUのみならず「世界の公正な税制の在り方」に大きな波紋を投げかけている。年間総額46兆円以上とされる多国籍企業の租税回避を阻止することは、果たして可能なのだろうか。
GAFAの封じ込め2連敗 最高裁に上訴か?
2017年、GAFA の封じ込めに乗り出したEU委員会は、Amazonに2億5,000万ユーロ(約332億1,135万円)の追加徴税を払うよう命じた。EU側の主張によると、同社は利益の大部分をルクセンブルクの課税対象であるAmazon EUから、課税対象外であるAmazon Europe Holding Technologiesに移行させることで課税所得を大幅に減らし、ルクセンブルク政府はこれを承認していた。「ルクセンブルク政府から国家補助に該当する違法な税優遇措置を受けた結果、利益のほぼ4分の3が非課税対象となっていた」という。
しかし、欧州第一審裁判所は2021年5月12日、「Amazonの欧州子会社に過度な税負担減額があったと立証する法的根拠を、EU委員会は示せなかった」として、EU委員会の主張を無効とする判決を下した。EUにとっては、130億ユーロ(約1兆7,269億円)の追加徴税を巡り争ったAppleに続く敗訴である。
Appleのケースでは、同社が2003~2014年にわたり欧州本社のあるアイルランドに納めた税金が不十分であったとし、EUが2016年に追加徴税の支払いを命じた。これに対して欧州第一審裁判所は2020年7月、EUの要求を退けた。
GAFAの封じ込め2連敗は、多国籍企業の租税回避撲滅に向けた取り組みに大きな打撃となるが、EUは引き続き争う構えだ。すでにAppleとの訴訟を欧州司法裁判所(ECJ)に上訴しており、Amazonにも同様の措置をとることが予想される。
3.法人の節税対策30選!できるだけ会社にお金を残す方法を紹介!
(2022/02/18 配信)
会社が年間を通じて利益を得た場合、所得に応じた法人税などの税金を納めることが必要だ。税金にはさまざまな節税対策がある。個人に比べて納税額が大きい法人の場合、節税次第で「より一層多くお金を残せるかどうか」が変わってくるだろう。法人の節税対策は、専門的な知識が必要なものや複雑なものが多いためつい後回しにしがちだ。
しかし「どのような対策があるのか」を知っておくだけでもいざというときに具体的な手を打ちやすい。本記事では法人向けの節税対策について紹介する。
節税対策の必要性
個人・法人にかかわらず課された税金は確定申告したうえで納めることが義務付けられている。しかし税金の中には、一定の条件を満たせば減額させるものや支払う必要がなくなるものも多い。支払わなくてもよい税金はそのままお金として残るため、上手に節税すれば得をすることになる。ただし節税の方法はいわば「ノウハウ」として知られているに過ぎない。
そのため国や自治体は制度を用意しているだけで節税の仕方まで丁寧に教えてくれるわけではないのだ。税務署や税理士も基本的には正しい税金の納め方を正確にサポートしてくれる存在でしかないため、節税は自分で対策を練るしかないのが実情である。節税は脱税とは異なり合法的に納税額を減らせる手段だ。少しでも多く会社にお金を残すためにもより多くの節税方法を理解しておこう。
4.益金不算入とは?法人税の計算をする上で知っておきたい益金不算入について解説
(2020/11/30 配信)
法人税を計算する上で、税務上の費用である損金とはならない損金不参入はよく知られている。しかし、税務上の利益である益金にならない益金不参入はあまり知られていない。ここでは、益金不算入の基礎や具体的に益金不参入となるケース、益金不参入時の税務処理について説明する。
益金の法人税法上の取り決めとは
法人税法上では、「益金」は収益のうち以下のものと定められている。
- 資産の販売による収益
例えば小売業が商品を販売するなど - 有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供による収益
例えば、資産を売却する、または機械の修理などのサービスを提供するなど - 無償による資産の譲受けによる収益
例えば、資金の贈与を受けることなど 4 その他の取引による収益
これらに当てはまったとしても、現物出資を受けてそれを資本金に計上した場合など、資本取引については益金には該当しない。
5.GAFAの税金逃れを阻止 「最低法人税率15%」への引き上げは中小企業に影響大?
(2021/07/10 配信)
2021年6月5日にロンドンで開催されたG7財務相会合で、各国が法人税の最低税率15%を目指す「租税協定」に合意した。タックスヘイブン(租税回避地)を利用して過度の税負担軽減を享受する、多国籍企業への課税強化が目的だ。
実現すれば、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などのIT企業を中心とする、多国籍企業に深刻な影響を与える可能性が高い。一方で、中小企業への影響については、二極化するとの見方がある。
フォーチュン500企業の約2割が米法人所得税ゼロ
多くの多国籍企業は、ルクセンブルクやアイルランドといった法人税率の低い国に拠点を置くことで、法人税を合法的かつ大幅に削減している。さらにタックスヘイブンへの対抗策として主要国が税率を下げると、それに対抗して別の国が税率を下げるといった「法人税引き下げ競争」が誘発され、大企業はますます潤っていく。
非営利団体、税務経済政策研究所の2018年の調査によると、フォーチュン500企業(世界で最も収益性の高い企業)中、AmazonやIBMを含む91社が米国連邦法人所得税をまったく支払わず、56社の税率は法定法人税率の21%よりはるかに低い0~5%(平均2.2%)だったという。
特に問題視されているのは、大手IT企業による過度の税金逃れだ。「世界中どこからでもサービスを提供できるという利点を最大限に活用し、不当な租税回避を行っている」として、近年、これらの企業に対する非難が高まっている。
過去にEU(欧州連合)がAmazonとAppleに、それぞれ2億5,000万ユーロ (約330億5,660万円)と13億ユーロ(約1,718億9,436万円)の追加徴税を求めたが、いずれのケースも敗訴に終わった。また、英国やフランスなど一部の国は、「GAFA税」と呼ばれる「デジタルサービス税」を導入しているが、税金のコストが消費者や顧客などに転嫁され、期待されたほどの効果を上げていない。それどころか、「多国籍企業の税務を複雑化させている」との指摘もあり、より包括的で効果的な手段が模索されていた。
いかがだっただろうか。多くの企業が上手に節税を行い、支払わなくてもよい税金はそのままお金として残している。節税対策について学び、上手く利用してほしい。
文・THE OWNER編集部