14日、国内大手金融機関などで構成される「デジタル通貨フォーラム」が取り組みを進める日本円に連動した二層構造デジタル通貨「DCJPY(仮称)」を、給付金として活用する実証実験が行われる予定であることがわかった。同日、NHKが報じた。
報道によると、実証実験は福島県会津若松市および宮城県気仙沼市で行われる。
今回の実証実験は子育て世帯向けの給付金にデジタル通貨を活用することを想定している。対象となる住民が専用のアプリをダウンロードして申請することで、即時デジタル通貨を受け取ることができるという。受け取ったデジタル通貨はクーポンとして利用することができ、子育て用品を購入することができる仕組みだ。
実証実験では、市の職員がそれぞれ住民や店舗などの役割を担い、使いやすさなどについて検証を行う。今月中にも実証実験が行われる見通しだ。
デジタル通貨フォーラムは今後、2022年度中の実用化を目指し、来月以降はより実際に近い形での実証実験を行うという。
DCJPYは昨年11月に構想が発表され、国内74の企業や銀行等が参加するデジタル通貨フォーラムが発行するということもあり、話題となった。
「共通領域」と「付加領域」の2つの領域を指して二層構造デジタル通貨と称しており、パーミッション型ブロックチェーンが活用されている。現状の最小単位は1円としているが、1円未満の資金決済にニーズがある場合の取り扱いについては検討を進めていくとしている。
今回の実証実験が行われる背景としては、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社会のデジタル化が急速に進みつつあることが挙げられる。なかでも、国民への一律給付金に関する対応に遅れが生じたことは、大きな課題となった。
給付金にデジタル通貨を活用できるようになれば、迅速に給付を行うことができるほか、給付にかかるコストを抑えることも期待される。(提供:月刊暗号資産)