コロナで売れまくった「空間除菌商品」製造元が赤字転落…その驚きの理由とは?
(画像=mykeyruna/stock.adobe.com)

すでに2022年が始まって早3ヶ月。もうすぐ今年度も終わりにさしかかり、新たな門出を迎える人も多いかもしれない。

THE OWNERでは今年度にヒットした記事を振り返る特集を企画。今年度話題を呼んだ「コロナ禍で赤字になった企業」の動向について振り返る記事をピックアップした。新型コロナウイルスの感染拡大は企業の業績に大きな影響を与え、赤字に転落する企業が続出した。

空間や物に付着したウイルスや菌を除去する「クレベリン」の販売している大幸薬品は、2020年12月期は絶好調であったにもかかわらず、2021年12月期は赤字に転落した。なぜ赤字になったのだろうか。

1.コロナで売れまくった「空間除菌商品」製造元が赤字転落…その驚きの理由とは?

(2021/10/29 配信)

「裏目に出る」というフレーズが真っ先に頭に浮かんだプレスリリースがあった。空間除菌用品などを販売する大幸薬品が8月に出した「業績予想の修正に関するお知らせ」だ。コロナ禍をチャンスと捉え生産能力を増強したが、その結果、赤字に転落した。何が落とし穴となったのか。

そもそも大幸薬品とはどんな企業?
「大幸薬品」という企業名は、聞き慣れない人もいるかもしれない。大幸薬品の場合、会社名よりも販売している薬品名やトレードマークの方が良く知られている。販売している薬品としては「正露丸」があり、トレードマークは「ラッパのマーク」だ。これでピンと来たはずである。

大幸薬品は大阪府大阪市に本社を置く製薬会社で、主力商品の1つは、先ほど触れた正露丸だ。東証一部に上場しており、2016年3月期(2015年4月~2016年3月)から6期連続で純利益が右肩上がりの状況が続いている。

売上高も好調だ。2016年3月期は83億2,700万円だったが、2020年12月期(2020年4~12月)は会計年度変更による9ヵ月決算でありながら、175億8,200万円の売上高を叩き出している。2016年3月期の2倍以上だ。

コロナで売れまくった「空間除菌商品」製造元が赤字転落…その驚きの理由とは?

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2.サイゼリヤは7億円の赤字予想 ファンの豪遊で回復なるか?

(2021/05/02 配信)

外食大手サイゼリヤには、全国に多くのファンがいる。そのサイゼリヤが、最新決算で巨額の赤字を計上した。Twitter上では、ファンから「赤字らしいから豪遊してくる」などと応援ツイートが続々投稿されている。サイゼリヤは、ファンからの温かい声を後押しに業績回復を果たせるのか。

第2四半期の業績:営業利益・経常利益・最終損益が全て赤字に転落
サイゼリヤは21021年4月14日、2021年8月期第2四半期の連結業績(2020年9月~2021年2月)を発表した。売上高は、前年同期比18.3%減の628億6,900万円となり、営業利益と経常利益、最終損益は全て黒字から赤字に転落している。

具体的には、営業利益は37億8,300万円の黒字から7億8,200万円の赤字に、経常利益は41億3,400万円の黒字から2億5,400万円の赤字に、最終損益は22億4,100万円の黒字から5億6,500万円の赤字に転落した。

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売上高減少の主な理由についてサイゼリヤは、日本セグメントについては「ソーシャルディスタンス確保のために客席数を減少させた影響」としている。ちなみに、コロナ禍が再拡大している中国においても、売上と営業利益をそれぞれ減少させる結果となっている。

サイゼリヤ2021年8月期の通期業績の予想では、経常利益と最終損益こそ黒字になると見込んでいるが、営業利益は7億円の赤字で着地するという見通しだ。

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3.JR各社、自粛明け後も赤字1000億超え?鉄道会社の終わらない苦悩

(2021/11/27 配信)

新型コロナウイルスの影響で、2021年上半期は自粛ムードが長引いた。人々の移動を担う鉄道各社の業績はどのような状況となったのか。この記事では、JR各社の決算と業績のV字回復に向けた取り組みに迫っていく。

JR各社の営業収益(売上高)状況
まずは、2021年上半期の実績について見ていこう。

JR東日本は前年同期比11.5%改善

JR東日本の2022年3月期連結第2四半期決算(2021年4~9月)は、営業収益が前年同期比11.5%増の8,778億円、営業利益が1,158億円の赤字(前年同期は2,952億円の赤字)となり、前年に比べ回復傾向にある。

なお、前々年同期は営業収益1兆5,188億円、営業利益2,965億円で、コロナ禍前の水準にはまだまだ戻っていない状況だ。この傾向は、後述する各社とも共通している。

セグメント別では、運輸部門が5,869億円(前年同期比18.5%増)、流通・サービスが1,289億円(同6.7%減)、不動産・ホテルが1,336億円(同11.8%増)、その他が283億円(同17.3%減)となっている。

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4.全国の地銀、まさかの「過半数が赤字」 これからどうなる?

(2021/09/19 配信)

長い間「銀行が潰れるわけはない」と言われてきたが、地方銀行の「本業利益」の実情を知ると、そのような考えは吹き飛ぶかもしれない。日本の半分以上の地銀の本業利益は赤字であり、銀行本来のビジネスモデルはすでに崩壊の危機に直面している。地銀は今後どうなってしまうのか。

そもそも地方銀行の「本業利益」とは?

銀行における「本業利益」とは、顧客に対する融資や投資信託の販売などでどれだけ稼げているのかを示すものだ。

金融庁が2018年11月に公表した「金融仲介の改善に向けた検討会議」向けの説明資料によれば、2017年度の決算において、本業利益が赤字となっているのは、地方銀行106行の過半数の54行にも上る。しかも、「2期以上の連続赤字の銀行数は年々増加している」と説明されている。

全国の地銀、まさかの「過半数が赤字」 これからどうなる?

これは、日本の新聞社の状況と似ている。日本の大手新聞社は講読者数の減少によって、新聞の販売や広告収入だけでは、もはやビジネスとして成り立たない状況に陥りつつある。そして新聞事業の減収や赤字分を、不動産ビジネスやイベント事業で穴埋めしているケースも少なくない。

地方銀行の場合は、日本国内で低金利の状況が続いていることや、人口減少で顧客数が減少していることなどが、本業利益の赤字に結びついている。現在は有価証券の運用、つまり投資事業によって本業の赤字を補っている状況だ。

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5.「ビッグエコー」運営会社187億の赤字 カラオケ業界の悲惨すぎる現状

(2021/07/17 配信)

「3密」は、2020年の新語・流行語大賞になった。「密閉」「密集」「密接」を意味する言葉だが、そのどれも当てはまりそうなものとして「カラオケ」がある。では実際、コロナ禍でカラオケ業界各社の業績はどうなっているのだろうか。業績は悲惨なものになっているのか。

東京商工リサーチによる調査データ
民間調査会社の東京商工リサーチは2021年5月、カラオケ運営会社の業績に関する調査結果を発表した。この調査結果からはカラオケ業界の現状がよく分かる。

調査結果によれば、全国の主要カラオケボックス運営会社46社の2020年1~12月期の業績は、合計売上高が前期比4.7%減の2,940億9,700万円、合計純利益は同61.3%減の78億3,200万円となった。

<カラオケ運営会社46社の業績の推移>

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※出典:東京商工リサーチ

売上の落ち込みはそれほど大きくないが、純利益の落ち込みは深刻だ。カラオケ店は緊急事態宣言に伴って休業要請の対象施設となり、開店している店舗でも外出自粛ムードなどもあって、来店客の減少は避けられなかった。

調査対象となった46社のうち、減収減益となった企業は全体の54.3%に相当する25社だ。前期は減収減益となった企業が8社にとどまっていただけに、新型コロナウイルスがカラオケ店へ与える影響の深刻さを表している。

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いかがだっただろうか。コロナ禍で多くの企業が赤字に苦しんでいる。新たな取り組みによって赤字からの脱却を目指すが、簡単な道のりではない。一刻も早くコロナ禍が収束し、日常生活が戻る日が来るのを祈るばかりだ。

文・THE OWNER編集部

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