遺言書を作成してなるべく遺産分割はしなくても良いように

このように、遺産分割は遺産共有状態の解消手続きであること、協議では相続人全員が参加しなければならないことなどがポイントです。しかし、できるのであれば、遺産分割などやらない方が良いのです。遺産分割は相続人全員で利害が対立する者同士の話し合いとなります。遺産と負債があれば、人間ですのでどうしても「遺産は欲しい、負債は押し付けたい」となるのが当然の気持ちです。

そのため、遺産分割は非常に揉める可能性が高い話し合いです。その一方で遺産分割に参加するメンバーは兄弟など人間関係は非常に濃いものです。そのため、話し合いが決裂したからといって、その後は一切関係がなくなるわけにはいきません。(絶縁という形での関係がなくなることはあるかもしれません)遺産分割での不満・争いはのちのちまで尾を引くものとなります。

このように、遺産分割は人間関係が濃い者同士が利害対立を持って(しかも全員で)臨まなくてはならない話し合いですので、円滑に進まないことがあってもむしろ自然とさえ言えます。遺産分割は初めからもめることが見えている話し合いといえます。

では遺産分割をしないで済むようにするにはどうすれば良いかといえば、遺産分割はあらかじめ遺言を作成するということです。遺言書を作成しておけば、遺言書どおりに遺産は分配されますので、遺産分割は不要です。親族間の不要なトラブルの元を作らないようにするためにも遺言書を作成しておくことが望ましいといえます。

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