少額投資非課税制度の一般NISAは、2024年から新NISAに移行されます。非課税で運用できることに変わりはありませんが、非課税投資枠や投資対象商品など変更点もあります。一般NISAと新NISAでは、制度内容にどんな違いがあるのでしょうか。
今回は新NISAの概要や一般NISAとの違い、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

新NISAとは?

2024年から始まる新NISAとは?一般NISAとの違いとメリット・デメリットを解説
(画像=BBuilder/stock.adobe.com)

新NISAとは、2024年からスタートする新しいNISA制度です。2020年度の税制改正に伴って見直され、現行の一般NISAは新NISAに移行されることになりました。安定的に家計の資産形成を支援する観点から、非課税投資枠や投資対象商品などが変更されます。

なお、つみたてNISAは投資可能な期間が5年間に延長されますが、利用実績が乏しいことから、ジュニアNISAの新規口座開設は2023年に終了します。

一般NISAと新NISAの違いとポイント

一般NISAと新NISAでは、具体的にどんな違いがあるのでしょうか。両者の比較表をまとめました。

一般NISA(現行)新NISA
年間の投資上限額120万円1階:20万円
2階:102万円
(原則として1階で投資を行った人が2階で投資できる)
非課税期間5年間1階:5年間(非課税期間終了後につみたてNISAへロールオーバー可能)
2階:5年間
口座開設可能期間2014年~2023年2024年~2028年
投資対象商品上場株式、投資信託など1階:つみたてNISAと同様
2階:上場株式、投資信託など(高レバレッジ投信などは除く)
投資方法制限なし1階:つみたてNISAと同様
2階:制限なし

主な変更点とポイントについて確認していきましょう。

口座開設可能期間が5年間延長される

新NISAへの移行に伴い、口座開設可能期間が5年間延長されます。新NISAは2024年〜2028年で口座開設が可能です。これまで一般NISAを利用していた場合、2024年以降は新NISAで運用を続けられます。

2階建ての制度になり非課税投資枠は増える

新NISAは2階建ての制度に変更されます。非課税投資枠は年122万円で、内訳は1階部分が年20万円、2階部分が102万円です。一般NISA(年120万円)に比べて、非課税投資枠は年2万円増加します。

1階と2階で投資できる商品が異なる

新NISAは、1階部分と2階部分で投資できる商品が異なります。

1階部分はつみたてNISAと同様、積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されています。2階部分は上場株式や投資信託、ETF、J-REITなど幅広い商品が対象ですが、高レバレッジ投資信託など安定的な資産形成に不向きな商品は除外されます。

新NISAでは、原則として1階部分で投資を行った場合のみ2階部分で投資できます。ただし上場株式にのみ投資をする場合、一般NISA口座を開設していた人や一定の投資経験者は、1階部分の積立投資は不要です。

一般NISAから新NISAへのロールオーバーが可能

ロールオーバーとは、保有資産を翌年の非課税投資枠に移行して継続保有することです。

非課税期間終了後、一般NISAで保有している上場株式や投資信託は、新NISAの2階部分へロールオーバーが可能です。ロールオーバーできる金額に上限はありません。保有資産の時価が新NISAの非課税投資枠を超えていてもロールオーバーできます。

ただし、時価が102万円(2階部分の非課税投資枠)を超えている場合は、1階部分の非課税投資枠(20万円)が使われます。

また、非課税期間が終わった後、一般NISAはロールオーバーせずに特定口座などの課税口座に移行することも可能です。その際は時価で払い出しとなります。

新NISA(1階部分)はつみたてNISAへのロールオーバーが可能

新NISAの1階部分で積み立てた投資信託は、5年間の非課税期間終了後、つみたてNISAの非課税投資枠へロールオーバーして継続保有できます。その際は、当初の購入価格(簿価)でロールオーバーされます。

新NISAのメリット

新NISAには以下の2つのメリットがあります。

非課税投資枠が増える

新NISAの非課税投資枠は1階と2階を合わせて年122万円です。一般NISA(年120万円)に比べると年2万円、5年間で10万円増加します。大きく増えるわけではありませんが、非課税で運用できる金額が増えるのはメリットといえるでしょう。

資産形成に不向きな商品が除外される

現行の一般NISAは幅広い商品に投資できますが、比較的リスクの高い商品も含まれています。

新NISAでは、1階部分で投資できる商品はつみたてNISAと同じです。2階部分は一般NISAと大きな違いはないものの、高レバレッジ投資信託のように安定的な資産形成に不向きな商品は除外されます。従来に比べて、個人の資産形成で利用しやすい制度になったといえるでしょう。

ただし、高レバレッジ投資信託で運用したい投資経験者にとっては、新NISAへの移行はデメリットとなります。

新NISAのデメリット

一方で、新NISAには以下のようなデメリットもあります。

制度内容がわかりにくい

新NISAは2階建てに変更され、制度内容が複雑になりました。原則として、1階部分で積立投資を行わないと2階部分の投資はできません。しかし、「一定の投資経験者が上場株式のみに投資する場合は2階部分の投資は不要」などの例外も設けられています。

制度内容がわかりにくいため、投資経験や金融知識のない初心者にとっては難しいと感じるかもしれません。

2階部分はロールオーバーできない

一般NISAは非課税期間終了後もロールオーバーによる継続保有が可能でした。しかし、新NISAの2階部分で保有する商品はロールオーバーができません。非課税で運用できるのは最大5年間と短いため、長期の資産形成では利用しにくいでしょう。

新NISAとつみたてNISAはどっちがおすすめ?

現在一般NISAを利用している場合、2024年以降は新NISAとつみたてNISAのどちらを利用するか選ばなくてはなりません。正解はありませんが、投資スタイルや投資可能金額などに応じて、自分にあった制度を選ぶことが大切です。ここでは、どちらが向いているかを判断するポイントを紹介します。

新NISAに向いている人

新NISAに向いている人の特徴をまとめました。

・一般NISAで運用している人
・まとまった資金を運用に回せる人
・自分のタイミングで売買したい人

一般NISAで運用していて、制度内容に不満を感じていないなら新NISAが向いています。原則として1階部分の積立投資が必要ですが、上場株式のみに投資する場合は2階部分だけを利用できます。

新NISAはつみたてNISAより年間の投資上限額が大きく、投資対象商品の種類が多いのがメリットです。年40万円超のまとまった資金を運用に回せる人、価格動向をチェックしながら自分のタイミングで売買したい人も新NISAがいいでしょう。

つみたてNISAが向いている人

つみたてNISAが向いている人の特徴は以下の通りです。

・投資初心者の人
・積立投資で資産を増やしたい人
・投資に回せる金額が少ない人

つみたてNISAは、投資対象商品が安定的な資産形成に適した一定の投資信託に限定されています。購入方法も積立投資のみなので、投資初心者でも利用しやすい制度です。

つみたてNISAは投資上限額が年40万円と少ないものの、20年間で最大800万円を非課税で運用できるのが魅力です。積立投資で時間をかけて資産を増やしたい人、投資に回せる金額が年40万円(月3.3万円)以下の人もつみたてNISAが向いているでしょう。

まとめ

新NISAは2階建ての制度になり、1階部分と2階部分で非課税投資枠や投資対象商品が違うなど、一般NISAに比べると制度内容が複雑になります。2024年から新NISAの利用を考えているなら、今のうちに制度内容を理解しておくことが大切です。

投資信託の積立投資で資産形成に取り組む場合は、必要に応じてつみたてNISAを検討しましょう。

(提供:Incomepress



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