部屋探しの方法が若い世代を中心に変わりつつあります。
SUUMOやLIFULL HOME’Sなどのポータルサイトの利用といった従来の方法に加えて、SNS(Instagram、LINE、YouTubeなど)を活用した部屋探しが新たなトレンドになり始めています。
SNSは30代以下の若い世代を中心に広く普及しているため、不動産業界においても新たな広告や集客の手段の一つになり得るでしょう。
本記事では、SNSでの部屋探しの現状について述べたうえで、エンドユーザー・不動産業者・不動産オーナーの視点から見たSNS活用のメリットをそれぞれ3つ紹介します。
若い世代を中心にSNSでの部屋探しに関心が集まっている
2021年8月に発表された総務省のデータによれば、SNSの利用率は30代以下の若い世代を中心に高く、LINEやYouTubeの利用率は90%、Instagramは55%を超えています。
特にInstagramの利用率は全年代(10代〜60代)で増加傾向にあり、LINEに次いで高い利用率にまで上昇しているとのことです。
一人暮らしをしている全国の18〜29歳の男女を対象として、2021年に行われた調査結果も参照してみましょう。
アットホーム株式会社の調査によると、「InstagramやYouTubeなど、SNSを使った部屋探しに興味がありますか?」という質問に対して「ある」と回答した割合は、2019年からの2年間で学生が1.6倍、社会人が1.7倍と大幅に伸びています。
今後SNSを活用した部屋探しは、新しいトレンドになるといえそうです。
SNSでの部屋探しが注目されている理由は?
SNSを使った部屋探しが注目される理由の一つに、物件情報の取得において写真や動画といった視覚的情報が求められる傾向があるという点が挙げられるでしょう。
2020年に日本全国の20歳以上の男女24,863人を対象に実施されたアンケート調査の結果をもとに分析します。
「物件情報の入手の際、基本情報以外に「あると便利」な情報はなんですか?(複数回答可)」という質問に対して多かった回答として、第1位が物件写真(65.9%)、第3位が物件動画(32.8%)という結果でした。
写真や動画といった視覚的情報を求める傾向は20代・30代が特に強く、物件写真は70%超、物件動画は35%超が「あると便利」と回答していました。
今後の部屋探しのトレンドとして、SNSで物件の写真や動画を見て事前にイメージを膨らませることに重きを置くということが考えられそうです。
SNSで部屋探しをするメリット3つ(エンドユーザー目線)
SNSで部屋探しをするエンドユーザー側のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
・使い慣れた媒体で手軽に部屋探しができる
・物件の内見動画を音声解説付きで見ることができる
・不動産会社とのアポイントまでSNS上で完結できる
手軽さと物件のイメージを抱くことができるという点が大きなメリットといえるでしょう。
使い慣れた媒体で手軽に部屋探しができる
SNSは若い世代を中心に広く普及しているため、日常的にSNSを使う人たちにとって、使い慣れた媒体で物件の情報を容易に取得できるというメリットがあるといえます。
能動的に物件情報を収集しようとしなくとも、SNSに上がっている他のコンテンツを視聴しようとする際に、トップ画面やおすすめコンテンツ等に自動的に物件情報が上がってくるため、日常的に目に入りやすいということです。
物件の内見動画を音声解説付きで見ることができる
SNSには、物件の外観や室内の写真や動画を音声解説付きで視聴することができるアカウントもあります。
動画を見ながら各部屋や設備に関する解説・補足情報を聞くことができるという点は、エンドユーザーが部屋探しをするうえで大きなメリットといえそうです。
室内の設備や広さ、住むうえでのポイント等を写真のみならず動画と音声で具体的にイメージすることができるため、物件の写真や動画が求められる現代の部屋探しのニーズを捉えているといえるでしょう。
不動産会社とのアポイントまでSNS上で完結できる
SNSには、Instagram等のアカウントに自社のLINEアカウントを紐付けているものもあります。
Instagram等からそのアカウントを運営する不動産会社に直接コンタクトを取ることができるということです。
SNS間の連携によって、Instagram等からLINEで不動産会社に直接コンタクトを取り、面談や内見等のアポイントまで完結させることもできます。
InstagramもLINEも現在では広く普及しているため、SNSを使いこなす世代にとってはSNS上でスムーズに不動産会社とのアポイントまでセッティングができるという点は大きなメリットでしょう。
SNSで部屋探しをするメリット3つ(不動産会社・不動産オーナー目線)
SNSで部屋探しをする不動産会社・不動産オーナー側のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
・物件情報の掲載料がかからない
・顧客獲得や顧客情報管理の各プロセスを自動化できる
・自社の広告やブランディングにもなる
自社のSNSアカウントを運営することで広告費や顧客対応のプロセスに係る手間を削減できるという点が大きなメリットといえるでしょう。
物件情報の掲載料がかからない
自社で運営するSNSアカウントに物件情報を掲載するにあたっては、原則として掲載料はかかりません。
一方、一般的なエンドユーザー向けのポータルサイトに物件情報を掲載すると原則として掲載料が発生します。
物件の写真や動画を撮影したり、物件情報を掲載したりする手間はSNSでもポータルサイトでもかかりますが、コスト面で大きな差があります。
自社が所有・管理・仲介する物件を、広告費をかけずに広く宣伝できるという点は、コスト削減の観点から合理的な広告手段の一つといえるでしょう。
顧客獲得や顧客情報管理の各プロセスを自動化できる
SNSを組み合わせて使うことで、Instagram、TikTok、YouTube等から集客した顧客を自社LINEに誘導し、アポイント日時の設定や顧客情報のヒアリングから管理までの各プロセスを自動化することも可能です。
従来は個々のお客様とメールや電話等でアポイント日時の設定や顧客情報をヒアリングし、集めた顧客情報は別のデータで集計・管理するという方法がとられることも多くありましたが、これらをSNS上で一元化させることもできます。
業務プロセスの自動化により、不動産会社や不動産オーナーが注力すべき業務(お客様への物件紹介や物件運営等)に集中できるようになることで、生産性の向上と業務の効率化にも寄与し得るでしょう。
自社の広告やブランディングにもなる
SNSは若い世代を中心に広く普及しているため、SNS上で認知度を向上させることができれば自社の広告やブランディングにも活用できるでしょう。
SNSを通じて自社の知名度やブランドイメージが上がれば、広告費を可能な限り削減して自社の物件やサービス、人材等について発信できることにもつながるため、自社の広告媒体として重要な機能を持たせることができる可能性があるということです。
自社のSNSが広告媒体として機能するようになれば、他社からの広告を請け負うなどの新たなサービス・収益源の展開につなげることができるかもしれません。
SNSでの部屋探しが新たなトレンドになり得る
10〜30代を中心に広く普及しているSNSは、部屋探しで活用される新たなツールとしてトレンドになる可能性があるでしょう。
SNSを使いこなす若い世代が今後も増加し、彼らが40代以上になった後もSNSを使い続ける可能性があることを考えると、中長期的に見るとSNSは全世代に広く訴求する広告媒体の一つになり得るといえるためです。
エンドユーザーは新たな部屋探しのスタイルとして、不動産会社や不動産オーナーは広告費の削減や業務の自動化・効率化の手段として、SNSを活用してみてはいかがでしょうか。
(提供:Incomepress )
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