収束が見えないロシア・ウクライナ情勢や米国で始まる利上げなどに伴い2022年は世界情勢が大きく変化することが見込まれる。世界の金融市場にも不透明感が増す中、これから中国経済はどのような展開を見せるのか今後を予測していく。
ウクライナにとって中国が最大の貿易相手国
まずウクライナにとっては、輸出・輸入ともに「中国が最大の貿易相手国」という点は押さえておきたい。外務省によるとウクライナの2020年における主要貿易国トップ3は以下の通りだ。
順位 | 輸出国 | 割合 | 輸入国 | 割合 |
---|---|---|---|---|
第1位 | 中国 | 14% | 中国 | 15% |
第2位 | ポーランド | 7% | ドイツ | 10% |
第3位 | ロシア | 6% | ロシア | 8% |
中国は、資源や穀物などをウクライナから多く輸入しており、主に玩具やスマートフォン・パソコンなどの工業製品を輸出している。 日本貿易支援機構(JETRO)が中国税関統計のデータを基にまとめた資料によると2021年における中国の対ウクライナ輸出額と対ウクライナ輸入額のトップ5は、以下の通りだ。
<中国の対ウクライナ輸出額トップ5>
順位 | 品目 | 輸出額 | 構成比 |
---|---|---|---|
第1位 | 玩具など | 約3億3,888万8,000米ドル | 3.6% |
第2位 | 電話機およびその他の機器 | 約3億3,370万4,000米ドル | 3.5% |
第3位 | 殺虫剤、除草剤など | 約2億7,616万7,000米ドル | 2.9% |
第4位 | パソコンなど | 約2億4,650万7,000米ドル | 2.6% | 第5位 | 太陽光パネル・セルなど | 約2億2,362万6,000米ドル | 2.4% |
出典:中国税関統計/JETRO ジェトロ「ビジネス短信」添付資料 中国の対ウクライナ輸出額推移
<中国の対ウクライナ輸入額トップ5>
順位 | 品目 | 輸入額 | 構成比 |
---|---|---|---|
第1位 | 鉄鉱石 | 約35億581万7,000米ドル | 35.9% |
第2位 | トウモロコシ | 約23億4,637万2,000米ドル | 24.0% |
第3位 | ひまわり油、サフラワー油および綿実油等 | 約9億2,502万6,000米ドル | 9.5% |
第4位 | 大麦および裸麦 | 約9億1,532万9,000米ドル | 9.4% | 第5位 | その他の植物性の油かす | 約7億6,166万8,000米ドル | 7.8% |
出典:中国税関統計/JETRO ジェトロ「ビジネス短信」添付資料 中国の対ウクライナ輸入額推移
ウクライナからの輸入で注目したいのは、家畜の飼料となるトウモロコシだ。中国では食肉消費量が増加し畜産業が拡大。穀物需要が伸びている。トウモロコシの輸入において、ウクライナに頼る割合が大きい中国にとって穀物の安定確保は目下の課題であり、株価の下触れリスクとなりそうだ。
原油価格の上昇は中国の経済成長にマイナス?
ロシア・ウクライナ情勢の悪化により原油価格の上昇が著しい。エネルギー資源国のロシアが国際社会から孤立し世界的にエネルギー不足の懸念が高まっているからだ。中国は、日量1,100万バレル規模の原油を他国から輸入しているため、原油価格の高騰は中国経済にマイナスとなる。
原油を輸入する中国企業が直接的な影響を受けるほか、ガソリン価格の高騰によって外出を控えるようになることで国民の消費行動が落ち込み、消費減につながりかねない。
ちなみに原油価格の国際的指標である「WTI原油」の先物価格は、2022年2月後半から上昇しはじめ1バレル100米ドルを突破している。同年3月6日には一時1バレル130米ドル超となった。そして、今後のウクライナ情勢次第では、1バレル200米ドルを突破するとの観測も出てきている。
世界が不景気に突入し、中国の輸出企業に暗雲?
世界の株式市場は「リセッション」(景気後退)の危機に直面している。そもそも世界最大の株式市場である米国で利上げが始まることでリセッションに対する懸念はあった。そんな中でロシア・ウクライナ情勢の泥沼化で拍車がかかっている。
「エネルギー供給の懸念」「大手企業のロシア撤退」など事業転換を迫られている局面だ。まさに世界の株式市場は「前途多難」である。世界でリセッションが始まれば世界的な需要も落ち込むことが予測され中国の輸出企業が受ける影響は甚大だ。もちろん中国も含めて景気後退に入れば国内向けに事業を展開する自国企業にとっても厳しい状況となる。
金融緩和でダメージ軽減を図る中国
なかには「中国の株式市場はお先真っ暗」と感じる人もいるかもしれないが実は一概にそうともいえない。中国人民銀行(中央銀行)は、2021年12月と2022年1月に2ヵ月連続で利下げを行っている。新型コロナウイルスの感染再拡大による景気後退を利下げによる金融緩和の強化で防ぐのが狙いだ。 中国政府はさらなる追加利下げにも含みを持たせている。
追加利下げが行われれば世界的なリセッションが起きたとしても中国経済へのダメージを最小限に抑えられる可能性が高まるだろう。中国経済の今後を考察するうえでこうした利下げに関する視点は欠かせない。いずれにしても今後の世界経済と中国経済は、ロシア・ウクライナ情勢の行方によって大きく変わってくる。いつも以上に日々の時事ニュースに注目しておきたい。
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