日本証券取引所(JPX)は先月31日、2024年度までの中期経営計画を公表した。その中で、2024年度末までにデジタル証券市場の創設、新商品取り扱いを開始すると明らかにした。

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ブロックチェーン技術を使い、電子的に発行するデジタル証券の流通市場を開発する。さらに、デジタル技術を活用した社内外向け新規サービス3件を開発し、スタートさせるという。インデックス(指数)ビジネスも強化を図り、投資関連情報の充実を図る。

この取り組みは、デジタル関連事業は4月1日付けで設立した子会社のJPX総研が主導する。同社の設立は昨年11月に発表。その際に、グループ内で分散していたデータ・デジタル事業を集約するため設立すると語られていた。また、金融市場に関するデータの提供から株価指数の開発、算出を担い、ブロックチェーンなど次世代技術の研究も担うとコメントしていた。

JPXは今年2月にもセキュリティ・トークン(ST)を活用した「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」の発行にむけて検討を始めると発表するなど、ブロックチェーンを活用した取り組みを行ってきた。この取り組みでは、JPXグループ全体としてのカーボン・ニュートラル達成およびデジタル化を通じた債券発行に係わる事務全体の効率化に向け、株式会社BOOSTRYの技術を活用し、セキュリティ・トークンを発行し資金調達することを検討する。

JPXはこれまでもブロックチェーンに関する取り組みを行ってきた。

2017年には証券ポストトレード業務において、ブロックチェーンを活用する検討を行い、顧客確認(KYC)業務の実証実験を金融機関らと開始。また、2020年には証券保管振替機構、野村證券、三菱UFJ銀行など19社の金融機関らと投資信託の業務遂行におけるブロックチェーンの活用について検証と実証実験を行っている。

31日に記者会見したJPXの清田瞭CEOは「日本でデジタル証券が定着するか確認するために自らやっていく。他社と競争はしない」と抱負を述べた。

デジタル証券では、SBIホールディングスや三井住友ファイナンシャルグループが先行して取り組みを始めている。2023年の開設が計画されている「大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)」では不動産や債券を裏付けとするセキュリティトークンの取引が始まる予定だ。

またODXでは三菱UFJ信託銀行が開発したステーブルコインの発行と管理基盤である「Progmat Coin」の活用が予定されている。(提供:月刊暗号資産