子どもがいる家庭で必要になるのが、子ども部屋です。子ども部屋の広さや間取りをどうするかによって家全体の間取りやプランニングが大きく影響を受けるため、子ども部屋の適切な広さや間取りといった「相場観」を知っておくことは重要です。
複数の子どもがいる家庭の場合、「1人に対して1部屋を用意するのか」「性別が異なるきょうだいの場合は子ども部屋をどうするのか」といったように、子ども部屋の間取りを考える方の事情もさまざまです。
そこで本稿では、標準的な子ども部屋の間取りを明らかにしたうえで、状況に応じた子ども部屋の間取り案をご提案いたします。
さらには、ありがちな子ども部屋の失敗例についても解説します。子ども部屋の間取りで失敗したくない方は、ぜひこれらの情報をしっかり押さえておきましょう。
目次
データから見る子ども部屋
2015年、野村不動産ソリューションズがすでに子ども部屋を設けている家庭に対してアンケート調査を行いました。
その結果からは、子ども部屋の間取りやあり方についての全体像をうかがい知ることができます。そこで、同調査結果から子ども部屋の間取りに関係があるものをピックアップしてみましょう。
調査対象のうち、子ども部屋があると回答しているのは53.1%です。やや半数を上回る過程で子ども部屋を設けていることがわかります。
(引用:野村不動産アーバンネット ノムコムwith Kidsアンケート 子ども部屋についてのアンケート結果発表)
もう少し掘り下げて、子ども部屋を設けている家を間取り別に見ると、子ども部屋を設けている比率が半数を超えるのは3LDK、4LDK、5LDKの間取りとなっています。
部屋数が多くなるほど子ども部屋を設けている家庭が多くなります。これは子ども部屋を設けるために部屋数の多い家を購入していることの表れといえるでしょう。
(引用:野村不動産アーバンネット ノムコムwith Kidsアンケート 子ども部屋についてのアンケート結果発表)
このデータを見ると、専用の子ども部屋を設けるためには「3LDK以上の間取り」であることが基本になりそうです。
もう一点、これから子ども部屋を設ける(子ども部屋を用意できる家を購入する)ことを検討している家庭は、どのタイミングで子ども部屋を用意しようと考えているのでしょう。
同調査によると「小学校1年生」という回答が39.2%で断トツとなっています。
(引用:野村不動産アーバンネット ノムコムwith Kidsアンケート 子ども部屋についてのアンケート結果発表)
幼稚園児のうちはリビングなどで過ごし、小学校に入ったタイミングで子ども部屋を用意しようと考えるのが標準的なタイミングのようです。
よくある子ども部屋の広さ
次は、子ども部屋の広さについてです。一般的に子ども部屋の広さは「4.5畳〜6畳」というのが相場です。
ベッド、本棚、学習机といった家財道具を置いて快適なプライベート空間を設けるとなると最低限4.5畳の広さが必要になるため、おおむね4.5畳から6畳程度の広さがあれば事足りるでしょう。
子ども1人に対して1室ずつ子ども部屋を用意する場合は、少なくともこの広さの部屋が子どもの人数分だけ必要になるとイメージしてください。
状況別子ども部屋の間取り案
家庭によって子どもの年齢や人数、性別など事情はさまざまです。
標準的な子ども部屋のあり方から、それぞれの状況に応じて最適であると考えられる子ども部屋の間取り案を提案したいと思います。
なお、ここには記載がありませんが、一人っ子の場合は小学校に上がるタイミングで専用の子ども部屋を1室設けるのが妥当でしょう。
・異性のきょうだい
・子どもが小学校以上になってから新築する場合
・3人きょうだい
同性のきょうだい
男の子同士、女の子同士といったように同性のきょうだいの場合、広めの1室を共有するパターンが多く見られます。
個別に1室ずつであれば少なくとも4.5畳の広さが必要になるので、それをほぼ倍にした広さが適切です。
8畳から10畳程度の広さの部屋を設け、それをカーテンや間仕切りなどで仕切って「セミ個室」にすると子どもの年齢に応じて柔軟に形を変えられるので便利です。
異性のきょうだい
異性のきょうだいの場合、子どもが小さいうちはきょうだいの共有で問題ありませんが、子ども(特に女の子)が大きくなってくると別々の部屋にする必要が生じます。
2人で共有している時期は8畳から10畳の1室があれば問題ないと思いますが、適切な時期にそれを間仕切りする前提のレイアウトがよいでしょう。
パーテーションを設置する、部屋の真ん中に家具を置いて仕切るなど、簡易的なものよりしっかりとした間仕切りを検討しましょう。
子どもが小学校以上になってから新築する場合
子どもが小学校以上になってから家を新築、購入する場合は、個別に1室ずつ用意するのがセオリーです。
おそらく、子ども自身も引っ越しに際してそれを希望するでしょう。この場合は少なくとも4.5畳の子ども部屋を人数分用意します。
3人きょうだい
3人きょうだいの場合は、同性、異性にかかわらず大きめの1室と4.5畳の1室があることが理想です。
異性のきょうだいがいる場合は人数が多い性別のきょうだいが大きめの部屋を共有して使い、異性は残る1室を使います。
全員が同性のきょうだいであっても一番上の子どもは最も早い時期に思春期や受験を迎えるため、プライベート空間を用意するためにも4.5畳の1室を当てるのが無難です。
以後、一番上の子が受験を終えたり独立することに応じて、順次その小さい子ども部屋を専有するのがよいでしょう。
子ども部屋には必要な「適齢期」がある
子ども部屋はその名のとおり子どもが使う部屋です。子どもはいつまでも子どもではないので、子ども部屋にも「適齢期」があります。
子どもが大きくなって独立した際には子ども部屋は不要になります。
独立するまでの12年〜18年ほど子ども部屋が必要
先ほどから紹介しているアンケート調査からは、大半の家庭で子どもが小学校に上がったタイミングで子ども部屋を用意したいとの結果でした。
これをスタート地点として考えるならば、高校を卒業したと同時に進学・就職によって親元を離れたと想定して12年程度、20代前半に独立したとして(25歳で独立したと想定)18年程度子ども部屋が必要になるといえます。
子どもが独立した後のことも考えておく
いつまでも必要になる部屋ではなく、独立後どうするかの視点も重要になってきます。
子どもが独立した後は使用する人がいなくなるので、リフォーム計画も含めて子どもが独立した後の有効活用も考えておきたいところです。
子ども部屋の間取りでありがちな失敗事例3選
子ども部屋を用意したものの、間取りの面で失敗してしまったという事例も少なくありません。
これから子ども部屋の間取りを検討する方は、以下の失敗例を知ったうえで失敗しない子ども部屋計画を立ててください。
・2室ある子ども部屋の日当たりが違うため不公平感がある
・せっかく子ども部屋を作ったのにあまり利用していない
子どもは2人の予定だったが3人目が生まれた
子どもを2人設けることを計画していた家庭で、子ども部屋もそれを前提とした間取りとなっているのに、あとから予定外の3人目の子どもが生まれた場合は人数と部屋数が合わなくなってしまいます。
子ども部屋が2室しかないとしても、生まれたばかりの3人目の子どもに今すぐ専用の部屋は必要ありません。
小学校に上がるまでは不要であると考えられるので、それまでに一番上の子が独立するようであればスライドして部屋を当てることができます。
3人きょうだいすべてが部屋を必要とする時期がある場合は、リビングの一角を疑似的な子ども部屋にするなどの対処が有効です。
こうした問題を根本的に防ぐために、家の間取りを検討する段階でフリールームを設けておくなど余裕を持たせておくとスムーズです。
2室ある子ども部屋の日当たりが違うため不公平感がある
2人の子どもそれぞれに1室ずつ子ども部屋を用意したものの、日当たりなど条件が異なるために不公平感が生じることがあります。
特に西日が入る部屋は夏にとても暑く感じるので、不満の原因になりやすいでしょう。
こうした問題が予想される場合は、最初から子ども部屋の向きを同じにしておくこと、大きめの1室を共有するなど、計画段階から対処しておくのが無難でしょう。
せっかく子ども部屋を作ったのにあまり利用していない
せっかく子ども部屋を用意したのに本人があまり利用せず、リビングにいることが多いといった声もよく聞かれます。
これは「子ども部屋を用意した」という事実だけを見るともったいないですが、子どもがそれだけ家族団らんの空間に居心地のよさを感じている証拠なので、むしろ喜ばしいことであると考えるのがよいのではないでしょうか。
(提供:タツマガ)
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