最近では、二重サッシにすることで「住宅の断熱性能を高めたい」という人も増えています。ここでは、二重サッシを検討中の人向けに、他の高性能窓との違い、取り付けたときのメリット・デメリット、価格の目安などを解説します。記事の後半では、二重サッシで使える助成金にも触れていきます。
目次
そもそも、どれを選ぶべき?二重サッシ・複層ガラス・真空ガラス
はじめに、高性能な窓の種類とそれぞれの特徴からお話していきます。なぜなら、高性能な窓の予備知識がないと、そのお宅にとってベストな窓を選べないからです。
おもな高性能な窓には、二重サッシ・複層ガラス・真空ガラスの3つがあります。これらは以下のような目的で採用されることが多いです。
・寒冷地の寒さを和らげたいとき
・浴室のヒートショック防止 など
ただ、二重サッシ・複層ガラス・真空ガラスの構造や性能はまったく違います。
とくに「二重サッシ」と「複層ガラス」は混同されるケースが多いため、両者の違いをしっかり把握して商品を選ぶことが大切です。
二重サッシとは?
二重サッシは、「二重窓」「内窓」とも呼ばれます。現在、設置されている窓の内側に、別の窓を取り付けたものです。
複層ガラスとは?
複層ガラスは、「ペアガラス」とも呼ばれます。窓と窓の間に空気層をつくることで熱や冷気を遮り、断熱性能を高めます。
最近では、複層ガラスにさらに1枚ガラスを追加したトリプルガラスも発売されています。
真空ガラスとは?
窓と窓の間に層をつくるという構造自体は複層ガラスと似ていますが、 層が真空になっているのが特徴です。真空層では、熱の伝導や対流が起こらないため、高い断熱性能を発揮します。
「二重サッシ」と「複層ガラス・真空ガラス」どちらを選ぶべき?
それでは、「二重サッシ」と「複層ガラス・真空ガラス」は、どのような人に向いているのでしょうか。
二重サッシが向いている人
「二重サッシ」には、大がかりな工事をせずに手軽に取り付けられる特徴があります。 そのため、現在の窓を活かしながらリフォームをして、断熱性を高めたい人と相性がよいでしょう。
また、他の高機能な窓と比べると低コストのため、新築をする人のなかでも、予算を抑えながら断熱性を高めたい人におすすめです。
複層ガラス・真空ガラスが向いている人
リフォーム、新築問わず、予算をかけてでも断熱性を高めたい人には複層ガラス・真空ガラスが向いています。よりレベルの高い断熱性を追求するなら、トリプルガラスや真空ガラスを採用するとよいでしょう。
この記事では、これら高性能な窓のうち、二重サッシについて深掘りしていきます。
二重サッシを取り付けた際のメリット・デメリット
次に、二重サッシ(二重窓、内窓)を取り付けた際のメリット・デメリットについて改めて整理したいと思います。
二重サッシのメリット
・光熱費を節約できる
・結露を軽減できる
・外部の音の防音(遮音)効果がある
・外部からのUVを軽減する
・手軽に取り付けられる(施工時間が短い)
上記の他、二重サッシには、「建物のタイプを選ばず取り付けられる」というメリットもあります。戸建住宅はもちろん、マンションやアパートなどにも取り付けられます。
ただし、集合住宅の入居者自ら取り付けたい場合は、大家さんや管理組合への事前の確認・承認が必須です。
二重サッシのデメリット
・ゴミやほこりが溜まる
二重サッシは窓が2つある構造のため、「取り付けて後悔した!掃除がしにくい!」という声も少ないですが聞かれます。
とはいえ、頻繁に開け閉めしないなら、内窓と外窓の間にゴミやほこりなどが溜まることはないため、掃除の手間が増えることはありません。
ただ二重サッシを閉め切った状態で使ってもゴミやほこりが溜まったり、カビが発生したりすることはあります。
数ヵ月に一回、半年に一回など、たまにお手入れをするとよいでしょう。
二重サッシを取り付けるときの価格は?
どのメーカーの二重サッシを選ぶか、どの業者に取り付けをお願いするかで価格は変わってきます。
それを前提に一例を挙げると、窓・玄関ドアの老舗ブランド「トステム」の二重サッシ価格(取り付け料、消費税込)は次の通りです。
タイプ | 価格 |
---|---|
2枚窓 | 41,900円〜 |
4枚窓 | 61,800円〜 |
浴室窓 | 56,400円〜 |
縦長の窓 | 開閉不可:43,800円〜開閉可:51,400円〜 |
(参照:LIXILオンラインショップ(2022年3月18日現在))
二重サッシを取り付ける際の注意点
一般的に、二重サッシは住宅のタイプを選ばず、幅広い窓に取り付けられます。ただ例外的に二重サッシを取り付けられないケースもあります。
【二重サッシが取り付けられない窓の例】
・回転窓
・内開き窓
・簡易クーラーを設置している窓
・換気扇を設置している窓
・上げ下げ窓
・天窓
・換気口のある窓 など
上記のタイプの窓なら、二重サッシを取り付ける以前に窓そのものを交換する必要があります。まずは業者に相談してみましょう。
二重サッシの取り付けに使える補助金
補助金を使いながら、二重サッシを取り付けたい人もいるでしょう。
恒久的な制度はないため、国や自治体が各年度で行っている補助金で要件にあてはまるものを、その都度、利用していく形になります。
二重サッシの取り付けに利用できる国の補助金の一例を見てみましょう。
「こどもみらい住宅支援事業(国土交通省)」は、2022年10月31日まで使える補助金です。(ただし、予算がなくなり次第、終了予定)この事業の対象者は次のいずれかです。
若者夫婦世帯 | 2021年(令和3年)4月1日時点で夫婦であり、いずれかが39歳以下 |
---|---|
子育て世帯 | 2021年(令和3年)4月1日時点で子どもが18歳未満 |
(参考:こどもみらい住宅支援事業 事業概要)
こどもみらい住宅支援事業では、以下の額の補助金を設定しています。
注文住宅の新築 | 住宅の省エネ性能などに応じて60万円〜100万円 |
---|---|
新築分譲住宅の購入 | |
リフォーム | 補助額対象工事や発注者の属性などに応じて5万円〜60万円 |
(参考:こどもみらい住宅支援事業 事業概要)
ただし、このよう補助金を使うには数多くの要件があります。
【要件の一例】
・上記の登録事業者と工事請負契約を締結した後に着工すること
・使う部材がこどもみらい住宅支援事業の対象商品であること
(参考:こどもみらい住宅支援事業 補助金の申請手続きの流れ)
なお、上記のうちの「施工業者が登録業者か」「使う部材が対象品か」は、この事業の公式サイト上で検索できます。
登録業者の検索はこちら。
「こどもみらい住宅事業者の検索」
部材(内窓)の検索はこちら。
「こどもみらい住宅支援事業 対象製品の検索」
二重サッシで快適生活
家のなかで最も熱が出入りするのが窓といわれています。窓を二重サッシにすることによって、冬は室温が外に逃げることを防ぐことができ温暖効果が高まります。
また、夏は外の暑さから部屋を守り、暑くなることを防ぎます。窓をUVカットガラスにするか、UVカットのフィルムを窓ガラスに貼れば、紫外線を防ぐことができます。
住宅の周辺環境が賑やかなところであれば、遮音・防音があるので、外の音を防ぐことができますし、家からの音も漏れにくくなります。
このように二重サッシにすることによって、生活の快適さがグッと上がります。
これから住宅の購入をお考えの方、またリフォームをお考えの方はこの機会に二重サッシの購入を検討されてみてはいかがでしょうか。
(提供:タツマガ)
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