丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

駅前の土地はほかの地域と比べて収益性が高く、初心者でもリスクが少ない投資先です。

駅前は人が集まりやすいため、どのような活用法でもある程度の集客が見込めます。初期投資の金額と、収益性のバランスを考えて、自分に合った活用法を見つけましょう。

また、土地を有効に活用するには、不動産会社との付き合いも欠かせません。土地活用の成功は不動産会社選びが収益に大きく関わるといってもよいでしょう。

本記事では、駅前の土地活用のメリットと活用方法、不動産会社の選び方について紹介します。

目次

  1. 駅前の土地活用が有利な理由
    1. 人通りが多い
    2. エリアが狭く人口密度が高い
    3. 駅前の不動産はリセールバリューが高い
    4. 賃料を高くとれる
  2. 駅前再開発の実施で評価が上がることもある
  3. 駅前で検討すべき土地活用とは
    1. アパートマンション経営
    2. 看板広告・自動販売機の設置
    3. オフィスビルの賃貸
    4. 駐車場経営
    5. トランクルーム経営
    6. ホテル経営
    7. 土地信託を活用する
    8. コインロッカーを設置する
    9. 資材置き場として貸し出す
    10. 店舗を経営する
    11. コインランドリーを経営する
    12. 等価交換で事業を行う
  4. 4種類の定期借地権
    1. 1.事業用定期借地権
    2. 2.建物譲渡特約借地権
    3. 3.一般定期借地権
    4. 4.一時使用目的
  5. 駅前の土地を活用するときに注意すべきことは?
    1. 接道状況を確認する
    2. 建ぺい率と容積率に注意する
    3. 土地活用の方法によっては転用が難しい場合がある
    4. 転用する場合は建物建築以外の活用方法を考える
    5. 収益を上げる方法を検討する
    6. 収益の安定性を重視する
    7. コストの低い活用方法を選ぶ
    8. 税金が課税されることを考慮して選ぶ
    9. 駅の立地条件や再開発の有無によって活用方法が変わる
    10. 空室リスクも考える
  6. 失敗しないための不動産会社の選び方
    1. 希望する土地活用の実績がある
    2. 信頼できる担当者である
    3. サポート体制が整っている
  7. 駅前の土地は活用・賃貸・売却のどれを選べばよいか
    1. 売却する場合
    2. 賃貸する場合
    3. 共同事業者がいるなら活用がベスト
  8. 駅前に土地を持っているなら有効な活用方法を考えよう
  9. 駅前の土地活用に関するよくある質問
    1. Q.駅前の土地活用が有利な理由は?
    2. Q.駅前の土地活用にはどんな方法がある?
    3. Q.駅前の土地活用のポイントは?

駅前の土地活用が有利な理由

駅近で検討すべき土地活用とは。失敗しない業者の選び方も解説
(画像=YANUSY編集部)

駅前の土地活用にはメリットとデメリットがあります。しかし、総合的に見ると、メリットのほうが大きく、ほかの地域と比べて、失敗しづらいという特徴があります。

ここでは、駅前の土地活用が有利な理由について紹介します。

人通りが多い

人通りが多い駅前立地は、土地活用に有利です。通勤、通学、買い物の交通需要は、鉄道駅を中心にしています。駅前は、人が集まりやすいエリアになっているため、駅前を起点にしているバスのルートが多くタクシー乗り場も駅前ターミナルにある傾向です。人通りが多いということは、それだけ集客できるチャンスが広がるということです。

集客できるということは、商業施設の需要が高まります。また、交通の便がよいので、賃貸経営やビル経営などの需要が高いです。人通りが多ければ、認知される機会も多くなるため、自動販売機やコインロッカー、トランクルームなど設置するだけで利益が上がるビジネスにも適しています。

エリアが狭く人口密度が高い

駅前は、ほかの土地と比べて「エリアが狭く人口密度が高い」という特長があります。土地需要も高く細かく区切られて販売されるため、駅前で買える土地は、狭いことが多い傾向です。駅前は、狭いエリアに商業施設やビル、店舗、マンションなどが密集しているため、夜間以外は人口密度が極めて高く効率的な集客が期待できます。

また空き地が多い郊外に比べて駅前の土地は開発できる余地が少ないため、マンションでは競合物件が少ない点もメリットです。さらに土地が狭いことは、コストを抑えられるメリットもあります。駅前の土地は、坪単価が高い傾向ですが土地が狭ければ少ない金額で購入ができ建物も小さくなるため、建築費用も抑えられる傾向です。

土地や建物が小さいとメンテナンスも楽になったり税金が安くなったりするなど、少ない維持費で運営できることもメリットといえます。

駅前の不動産はリセールバリューが高い

駅前にマンションやビルを建てた場合、「将来売却する際のリセールバリュー(再販価値)が高い」というメリットがあります。東京カンテイのデータをもとに作成された以下のグラフを見ても、駅前(駅歩3分以内)の物件は築10年が経過しても価値が96.2%までしか下がらないことがわかります。

駅前に建てた物件は、何らかの事情で撤退しなければならない場合を考えると投下資金の多くを回収できる可能性が高い点はメリットといえるでしょう。

賃料を高くとれる

駅前の物件は需要が高く賃料を高く設定できるため、収益性の高い土地活用が見込めます。賃料を高く設定することで空室による収入減のリスクを下げることが可能です。2014年5月に東京カンテイからプレスリリースされた「分譲マンション賃料の徹底研究(属性分析)」によると東京23区の駅歩3分以内の物件賃料と比較した賃料水準は、以下のよう下がっていくことがわかります。

【東京23区の駅歩3分以内を0とした場合】

駅歩賃料減価率
4~10分-1.3%
11~15分-12.7%
16~20分-16.2%

リセールバリューと同じく賃料も駅からの距離に正比例して決まることが理解できるでしょう。このように駅前の土地は、少ない金額から始められ収益性が高く集客性がよい土地です。駅前の土地活用は初心者にもおすすめです。

駅前再開発の実施で評価が上がることもある

東京都・渋谷の大規模再開発プロジェクトが大きな話題になりました。しかし地方都市で駅前再開発が実施された場合も土地の評価が上がるケースがあります。

例えばJR東日本では、仙台駅や新潟駅など地方中核駅で順次再開発が推進されているのが現状です。再開発を機にそれまで商店街だったエリアをまとめて大型商業施設にしたり新たに行政機関が進出したりするケースもあります。

タワーマンションに商業施設が併設されているケースもよく見かけるでしょう。もし所有地の駅前が再開発されることになればオーナーにとっては大きなビジネスチャンスとなります。再開発エリアから多少はずれたとしても中低層賃貸マンションを建築すれば「タワーマンションは高くて購入できない」という人の賃貸需要を取り込めるかもしれません。

駅前で検討すべき土地活用とは

土地活用にはいろいろな方法がありますが、駅前という特性を活かした土地活用も存在します。ここでは、そのなかでも代表的な土地活用法を紹介します。

アパートマンション経営

駅前の土地活用でまず検討したいのが、アパートマンション経営です。

駅前の物件は公共交通機関や商業施設が発達していることから利便性がよく、人気があります。需要が高く、空室になるリスクも抑えられ、安定した家賃収入が見込めます。また、売却することになっても、人気が高いため比較的短時間で買主を見つけられ、高額で売却できます。

先述したように、駅前の土地は狭いことが多いので、敷地面積を十分に活用して建物を建てることが重要です。そのために、限られた広さで最大限の収益が見込める建築が必要です。

ノウハウのある業者であれば、30坪程度の広さで10部屋以上つくることも可能です。30坪の広さだと平均で5部屋程度なので、業者によっては倍の部屋数が確保できます。

また、駅前はその地域の街並みを表現する重要な役割を担います。デザイン性の高いマンションを建築することでその土地に付加価値をつけることができます。街並みとずれた建築物を建ててしまうと浮いてしまい、空室リスクにつながります。

駅近で検討すべき土地活用とは。失敗しない業者の選び方も解説
※画像提供元:株式会社LeTech

看板広告・自動販売機の設置

人通りが多い駅前の土地であれば、看板広告を設置するのもよい方法です。建物が建てられないほどの狭い土地でも活用できますし、建物の上に設置できる場合もあります。看板広告は初期費用が少なくて済むメリットがあります。

土地を貸すだけの契約であれば、ほぼ費用はかかりませんし、看板を自費で設置しても数十万円程度です。建物を建てるのに比べたら、少ない費用で始められます。看板広告は撤去費用もほとんどかからないため、ほかの活用法が見つかったとき、簡単に転用できます。ただし、期待できる収益はそれほど高くありません。

駅前は、人通りが多いため、自動販売機を設置するのも有効です。コンビニに寄る時間がない人の利用が期待できます。電気代はかかりますが、商品の補充や清掃、空き缶の回収は業者が行うため、オーナーの手間がかからないのがメリットです。一方で薄利多売という性質上多くの利益を望むのは難しいことはデメリットとなります。

小さなスペースを活用して設置できるため、「不労所得としてプラスアルファになればよい」と考えるオーナーにおすすめです。

オフィスビルの賃貸

オフィスには多くの人が集まるため、交通手段が重要になります。郊外の場合、通勤者分の大きな駐車場が必要になりますが、駅前であれば駐車場が不要です。

また、駅前にオフィスを構えることで、通勤や営業が楽になります。近くのお店を利用できるので、従業員の利便性も高まります。来客があった場合にも、場所を説明しやすいというメリットがあります。

人通りが多ければ、オフィスだけではなく、1階部分をコンビニなどの商業施設にすることもおすすめです。

駐車場経営

駅前は人口の割に駐車場が少ないため、駐車場にも需要があります。

駐車場経営は、初期費用もそれほどかからず、手間もほとんどかからないため、初心者にもおすすめです。駐車場経営には大きく分けて「月極駐車場」と「コインパーキング」の2つがあります。

近隣住宅に備わっている駐車場だけでは収納しきれない自動車を狙って、月極駐車場を経営できます。月極駐車場であれば、契約者を獲得することで、安定した収入が見込めます。

コインパーキングにした場合、市場とマッチしていれば月極駐車場より高い収益を得られます。

トランクルーム経営

駅前の物件に住んでいる人のなかには、収納スペースが狭く、自宅だけでは物が収まらない人がいます。そのため、トランクルームなどの貸しスペースを利用する人が少なくありません。

トランクルームには、コンテナを設置するタイプと、建物内を細かく区切って貸し出すタイプがあります。初期費用はそれなりにかかりますが、競合が少ないため、賃料を高く設定しやすいのがメリットです。

荷物を運び入れるためには、自動車を停めるスペースを用意する必要があります。駐車場を用意するか、近くにコインパーキングがあるところで始めるのがよいでしょう。

ホテル経営

ホテルは、建築するのにある程度広い土地が必要となるため、駅前に広い土地を持っているオーナーには選択肢の一つとなります。都心の駅前ならビジネスホテル、観光地の駅前なら観光ホテルを開業すれば一定の需要が見込めるでしょう。

ただしホテルの建築には、数億円かかるだけでなくコロナ禍に伴い需要が不安定なため、コロナ前に比べるとホテル経営はリスクが高くなっています。政府の観光需要喚起策などの効果は期待できますが、リスクとよく比較して慎重に判断することが求められるでしょう。

土地信託を活用する

土地信託を活用する方法もあります。土地信託とは、信託会社に土地を貸し出して収益のなかから配当金を受け取る仕組みです。土地信託は、土地活用のプロが運用してくれるため、オーナーは自己資金を投じることなく利益を得ることができます。一方で信託した結果収益が上がらなかった場合、配当金が支払われない可能性がある点はデメリットです。

また収支が赤字になった場合は、追加の投資を求められるケースもあるため、優秀な信託会社を選ぶ必要があります。

コインロッカーを設置する

コインロッカーは、駅構内や駅前でよく見かける設備です。買い物客の利用が見込めることから駅の構内にコインロッカーが少ない場合は、設置するチャンスといえるでしょう。特に観光地の駅前に土地がある場合は、手ぶらで観光したい旅行客の需要を確実に取り込むことが期待できます。

資材置き場として貸し出す

駅前でも少し離れたところに土地があるなら資材置き場として貸し出す方法もあります。付近で建設工事があった場合、建設資材の保管場所としての需要が見込めるでしょう。青空駐車場と同じようなものなので少ない初期費用で始めることができます。ただし定期的な需要はないため、収入としては不安定なのがデメリットです。

店舗を経営する

駅前の土地の場合、狭小地ということもあるでしょう。マンションやビルを建築するのが難しい場合は、10坪程度のカウンター式飲食店やテイクアウト専門店を開業することも選択肢の一つです。ただし店舗は、管理会社に委託できるアパートマンション経営と異なり自分で運営しなければならないため、多くの時間をとられることは覚悟しなければなりません。

もし自分で経営するのが難しければ店舗を建築したうえでテナントを誘致する方法もあるため、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

コインランドリーを経営する

コインランドリーは、洗濯乾燥機を設置できるスペースがあれば開業できます。駅前であれば洗濯する時間がない共働き夫婦や商店街の店舗経営者などの利用が期待できるでしょう。コインランドリーは、フランチャイズ方式が多く、経営ノウハウがしっかりしているため、運営しやすいメリットがあります。

ただし契約時に加盟金などのさまざまな費用が必要となるため、検討する際はコインランドリーの運営会社に相談して初期費用がどれくらいかかるのか、何年くらいでペイできるのか確認してから始めたほうが無難です。

等価交換で事業を行う

信頼できる事業者と等価交換で事業を行う方法もあります。オーナーは土地を提供し、事業者は建築費を出資するといった具合です。

例えば土地価格5,000万円、建築費5,000万円なら50%ずつの持ち分となります。オーナーにとっては、建築費の負担なしで建物を持つことができるのがメリットです。

しかし元々持っていた土地の権利が半分となるため、賃貸料収入が減ってしまうデメリットもあります。建築費の用意が難しいオーナーにとっては、検討してみるのもよいでしょう。

▽土地活用方法一覧
一般的な傾向を示したもので、ケースによって異なる場合があります

土地活用方法初期投資収益力リスク期間転用難易度
アパートマンション経営多い高い長期難しい
看板・自動販売機少ない低い低い自由転用しやすい
オフィスビル経営多い高いやや高い長期難しい
駐車場経営少ない低い中長期転用しやすい
トランクルーム経営中長期転用しやすい
ホテル経営多い高い高い長期難しい
土地信託少ない低い中長期場合による
コインロッカー少ない低い低い自由転用しやすい
資材置き場少ないやや低い低い自由転用しやすい
店舗経営業種によるやや高いやや高い中長期業種による
コインランドリー経営やや高い中長期転用しやすい
等価交換事業中長期難しい

紹介した活用方法を一覧で比較してみると初期投資が多い事業は、収益力も高いことがわかります。これらのなかでは、アパートマンション経営がリスク「中」となるため、最も選択肢として有力です。逆に初期投資が少ない事業は収益力も低い傾向にあります。上記では、収益力が「中」となる駐車場経営や土地信託が相対的に有利といえるでしょう。

店舗経営は、開業する業種によって初期投資や転用難易度が異なるため、慎重に検討する必要があります。

4種類の定期借地権

かつて土地は、土地を借りる人の権利「借地権」が強く保護されていたため、一度土地を貸し出すと取り返すのが難しいといわれてきました。借地借家法で保護されているため、貸している途中で土地の有効な活用方法を思いついたとしても取り返すことはできない事情があったのです。そういった不具合をなくすため、1992年8月に定められた期間しか借りられない「定期借地権」が新たに設けられました。

ただし1年や2年で取り返せるわけではありません。定期借地権には、以下の4つの種類があり、それぞれに契約存続期間(貸し出す期間)が定められています。

定期借地権の種類借地権の期間用途制限
事業用定期借地権10年以上50年未満事業用
建物譲渡特約借地権30年以上なし
一般定期借地権50年以上なし
一時使用目的一時的に決められる決められる

1.事業用定期借地権

事業用定期借地権は10年から設定が可能ですが、用途が事業用に限られます。短期と長期の両方の期間に設定できるのがメリットです。一般的に契約期間満了後は更地に戻して土地オーナーに返還されます。

2.建物譲渡特約借地権

建物譲渡特約借地権は、30年以上経過した日に土地を借りた人が建てた建物を存続期間が過ぎた時点で土地オーナーが買い取ることができます。

建物の種類は問わないため、例えば「アパートマンション(居住用)」「テナントビル(事業用)」といった両方の建物オーナーには利便性が高い権利です。契約期間満了後は、借主が更地にして返還するのではなく土地オーナーが建物を買い戻す形となります。

3.一般定期借地権

一般定期借地権は、50年以上と3つのなかで最も期間が長く用途も制限がありません。契約期間満了後は、更地に戻して土地オーナーに返還されます。長期にわたる契約となるため、土地オーナーにとっては安定した収入を継続的に得られるメリットがあります。

4.一時使用目的

イベントの会場設営、建築現場の仮設事務所・資材置き場、仮設店舗などは10年未満で一時的に契約期間を決められる一時使用目的を利用することが可能です。将来所有地を開発する予定の土地オーナーが開発開始までの間、一時的に土地を貸し出したい場合に適しています。

駅前の土地を活用するときに注意すべきことは?

駅前に土地があることが有利なのは間違いありません。しかし活用する前に確認しなければならないこともあります。しっかりとした計画を立てることで、より事業が成功する確率を高めることが期待できるでしょう。以降では、駅前の土地を活用する場合に注意したい10の内容を紹介します。

接道状況を確認する

まずは、土地がある場所の接道状況を確認する必要があります。なぜなら建物を建てる際には、建築基準法第43条2項1号で「幅員4メートル以上の道路に最低2メートル以上接しなければならない」と定められているからです。条件を満たしていない場合は、マンションなどの建築物を建てることができません。

ただし4メートル以下であってもセットバック(道路と土地の境界線から間口を後退させること)を行うことで建築できるケースがあります。(建築基準法第42条2項)

建ぺい率と容積率に注意する

空き地に建物を建てる場合、地域ごとに建ぺい率と容積率が定められています。マンションを建築する場合は、建ぺい率と容積率によって床面積や階数が決まるため、注意が必要です。建築可能な戸数によって収益が左右されることから事前にシミュレーションする必要があります。

所有している土地の用途地域や建ぺい率・容積率を知りたい場合は、自治体の建築課などに問い合わせるとよいでしょう。

土地活用の方法によっては転用が難しい場合がある

土地を活用する場合、将来別の事業に転用するケースも考えられます。しかし現状の活用方法によっては、転用が難しい場合もあるため、注意が必要です。例えばアパートを経営している場合は、入居者がいるため、簡単には転用できません。例えば退去してもらう交渉や決まった場合の解体作業などかなりの時間と費用を要することになります。

将来土地活用することが決まっている場合は、契約者がいない転用しやすいビジネスを選ぶことが大事です。

転用する場合は建物建築以外の活用方法を考える

所有地を将来ホテルやテナントビルなどに開発する予定がある場合は、建物以外の活用を考えたほうが無難です。トランクルーム、コインパーキング、コインロッカー、資材置き場などは転用しやすいため、開発が決まった時点ですぐに撤退することができます。

逆にアパートマンション、月極駐車場、事業用倉庫など入居者や契約者がいるものは、退去時期の交渉が必要なため避けたほうが無難です。

収益を上げる方法を検討する

事業を行う目的は、収益を上げることです。そのため土地活用ができても収益が出なければ意味がありません。

例えばマンション経営であれば土地を持っているため、ほかのオーナーよりも有利に建築できるのは確かですが建築費や諸費用はかかります。想定される家賃収入と年間の諸経費を勘案して収益になると判断できれば建築に踏み切るのもよいでしょう。

また年間の収支はトントンに抑えてローン完済後に売却して収益を上げる方法もあります。

収益の安定性を重視する

収益を上げるには、以下の2つの考え方があります。

・多くの資金を投じてテナントビルなど高収益の事業を目指す
・初期投資やランニングコストを少なくして安定した収益を目指す

駐車場経営は、初期費用が少ないうえに修繕費など余計な費用がほとんどかからないため、赤字になる心配は少ない事業です。

コストの低い活用方法を選ぶ

あまり資金を用意できない場合は、コストの低い活用方法を選ぶのも有効な方法です。例えばコインロッカーやトランクルーム、自動販売機などは初期費用が少ないため、1回の収益は小さいものの年間を通せばそれなりの安定した収益を見込めます。駅前で人目につく場所に設置できるのであれば副収入を得る感覚で事業化してみるのもよいでしょう。

税金が課税されることを考慮して選ぶ

土地には、固定資産税や都市計画税が課税されるため、何もしないと税金だけを払い続けることになります。固定資産税や都市計画税は、更地のままだと固定資産税評価額の100%が課税されますが建物が建っていれば6分の1~3分の1まで減額可能です。

マンションなどを建築すると家賃収入が得られるだけでなく税金も押さえることができるため、節税対策としても有効でしょう。

駅の立地条件や再開発の有無によって活用方法が変わる

ひと口に駅前といっても立地条件は、千差万別です。例えば学生街があるような立地であれば学生向けのワンルームマンションを建てたりコインランドリーなど単身者に利便性の高い店舗を経営したりするのも効果があります。駅前周辺の環境によってターゲットを絞った戦略を立てるのが収益を上げるポイントです。

また駅前が再開発されていない地域であれば、将来再開発事業が行われる可能性があるか考える必要があります。すべての駅前が再開発されるとは限らないため、実施の有無によって展開する事業も変わってくるでしょう。

空室リスクも考える

駅前で展開する事業だからといって必ず成功するとは限りません。事業計画を立てる場合は、空室が出るリスクも考える必要があります。アパートマンション、テナントビルのどちらにしても空室が出た期間は空室損として計算しなければなりません。例えば家賃10万円で10戸ある賃貸マンションの場合、何戸までの空室なら許容できるのかを定めておきましょう。

平均2戸とするなら2戸×10万円×12ヵ月で240万円を年間家賃収入から差し引いて収支計画を立てることが必要です。少し厳しめの計画を立てておけば予定より空室が少なかった場合は、利益上振れで好決算となります。

失敗しないための不動産会社の選び方

駅近で検討すべき土地活用とは。失敗しない業者の選び方も解説
(画像=YANUSY編集部)

土地活用をする場合、1人で行うのはほぼ不可能なため、不動産会社の協力が必要です。

しかし、不動産会社の選択を間違えてしまうと、収益が上がらないばかりか、大きく損をしてしまう可能性もあります。不動産会社を選ぶ大事なポイントは「土地開発の実績」「担当者との相性」「建築後のサポート体制」です。

ここでは、不動産会社を選ぶときのポイントを紹介します。

希望する土地活用の実績がある

土地活用にはさまざまな方法があります。不動産会社にも得意不得意があるため、希望する土地活用の実績がある不動産会社を選びましょう。実績がない不動産会社に相談してしまうと、得意な土地活用をすすめられて、結果的に希望した土地活用ができない場合があります。また、単に仲介や管理のみを行っている小規模な不動産会社に開発を依頼するのは難しいでしょう。

仮に行える場合でも、建築を外部の建設会社に依頼するとコストが高くなる可能性があります。しかし、開発の実績が豊富な大手不動産会社であればグループ内で全工程を賄えるため、効率的な開発計画が期待できるでしょう。

信頼できる担当者である

不動産会社で働く担当者も人間です。たくさんの仕事を抱えていると、優先したくなる仕事と、そうではない仕事が出てしまいます。また、顧客より会社のことを考えて、会社の利益が大きい方法をすすめてくる場合もあります。そうならないためにも、人間性を判断し、信頼できる担当者と付き合いましょう。信頼できる相手であれば、納得して物事を判断できます。

またオーナーと担当者には、相性があるため、コミュニケーションがとりやすくいつでも相談しやすい担当者を選ぶのが理想です。相性が合わない担当者と判断したら早めに不動産会社に申し出て担当者を変えてもらうとよいでしょう。

サポート体制が整っている

土地活用が初めてであれば、不安になることも多いと思いますが、サポート体制が整っていると、もしもの時に安心です。土地活用で建物を建てた場合は不動産会社による長期的なサポートが必要です。サポートといってもその内容はさまざまです。例えばマンション経営をする場合、建物完成後のサポートがなかったら不安になるのではないでしょうか。

賃貸経営の場合、空室が出たり家賃を滞納されたりする場合もあります。そのようなケースですぐに対応してくれる不動産会社は頼りになるでしょう。オーナーからすると建物が完成してからがスタートです。その後の経営までサポートしてくれる不動産会社のほうが安心できます。その意味では、物件の開発と完成後の管理まで一括で依頼できるワンストップサービスの不動産会社を選ぶのがおすすめです。

もし駅前の土地活用で悩んでいたら一度信頼できる不動産会社に問い合わせしてみましょう。

駅前の土地は活用・賃貸・売却のどれを選べばよいか

駅前の土地は、活用・賃貸・売却のいずれの方法をとる場合でも高い収益が期待できます。ただしそれぞれのメリットデメリットを考慮して選ぶことが大切です。

売却する場合

売却は、一度に多くの利益を得ることができ活用や賃貸に比べてオーナーの手間がかかりません。売却すれば固定資産税や都市計画税の支払い義務もなくなります。

しかし、売却すると二度とその土地で事業を行うことはできなくなり売却益が多ければ多額の所得税や住民税がかかる点も忘れてはいけません。売却は、最終手段と考えたほうがよいでしょう。

賃貸する場合

売却ではなく賃貸にすれば土地を所有したまま賃貸収入を得ることができます。駅前なら企業だけでなく住民サービスの向上を目的に自治体の利用も考えられるため、自分で事業を行うよりも収益が安定する可能性は高いでしょう。

ただし定期借地権の項目でも述べたように契約期間が10~50年程度になるため、自分で活用したくなったときに取り返せるまでの期間が長い点はデメリットです。

いずれ自分で事業を行いたいと考えている場合は、短期の契約ができる「一時使用目的」の契約にとどめたほうがよいでしょう。

共同事業者がいるなら活用がベスト

信頼できる共同事業者がいる場合は、自分で土地活用するのがベストです。駅前の好立地でもすべてオーナーが開発費用をかけて事業化するのはリスクを伴います。

等価交換を利用すれば土地を提供する代わりに建築費を共同事業者に負担してもらえるため、リスクを軽減できる点はメリットです。共同事業の場合は、50%ずつの出資比率とすれば収益が半分になる代わりに開発費用も半分で済みます。

しかも元々土地は自分で所有しているため、土地から購入する場合に比べれば実質的な開発費用はさらに少なくなります。ただし土地の権利を半分失うことになるため、十分に検討したうえで決断することが大事です。

駅前に土地を持っているなら有効な活用方法を考えよう

駅前に土地を所有している場合は、状況に合わせて有効な活用方法を選択する必要があります。なかでも活用・賃貸・売却のどれが所有地に適しているかを慎重に判断することが大切です。ただし売却してしまえばそれまでとなるため、将来駅前再開発が行われる可能性があるケースであれば共同事業者との活用や賃貸で収益を上げることを目指すほうが前向きといえるでしょう。

土地活用を行う場合は、デベロッパーを兼ねた総合不動産会社に相談するのが最も効率的といえます。なぜなら総合不動産会社であれば土地の開発から建物の建築そして完成後の管理までワンストップで依頼できるからです。ビルや店舗、トランクルーム、倉庫など幅広い物件形態に対応することができます。

またデベロッパーを兼ねた総合不動産会社には、専門の開発チームがあるため、開発担当者から有益な活用方法を提案してもらえる場合もあります。土地活用を成功させたいのであればオーナーのみで開発方法に悩むより総合不動産会社に相談するほうが近道といえるでしょう。

駅前の土地活用に関するよくある質問

Q.駅前の土地活用が有利な理由は?

駅前の土地活用が有利といわれるのは、以下のような理由があるからです。

・人通りが多い
・エリアが狭く人口密度が高い
・駅前の不動産はリセールバリューが高い
・家賃を高くとれる

Q.駅前の土地活用にはどんな方法がある?

駅前の土地活用には、主に以下のような方法があります。

・アパートマンション経営
・看板広告・自動販売機の設置
・オフィスビルの賃貸
・駐車場経営
・トランクルーム経営
・ホテル経営
・土地信託を活用する
・コインロッカーを設置する
・資材置き場として貸し出す
・店舗を経営する
・コインランドリーを経営する
・等価交換で事業を行う

Q.駅前の土地活用のポイントは?

駅前の土地活用を行う場合に注意するポイントは、以下の通りです。

・接道状況を確認する
・建ぺい率と容積率に注意する
・土地活用の方法によっては転用が難しい場合がある
・転用する場合は建物建築以外の活用方法を考える
・収益を上げる方法を検討する
・収益の安定性を重視する
・コストの低い活用方法を選ぶ
・税金が課税されることを考慮して選ぶ
・駅の立地条件や開発の有無によって活用方法が変わる
・空室リスクも考える

(提供:YANUSY

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