人生の最後を迎えるまでにやっておくべきことを指す「終活」がブームになっている。多くの人が取り組んでいる終活は、具体的にどのようなことをすればよいのだろうか。40代から終活を始めるメリットや具体的方法、そして相続の問題について考える。

終活をする人が増えている

けっして早くない40代からの終活のススメ。相続についても考えよう
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

昔は死ぬことを考えるのは「縁起が悪い」として、自分自身の終焉の準備をすることなど考えもしない人が多かったであろう。しかし、時代が変わり今は自分の終焉を心配することなく迎えるための終活を行う人が増えている。

市場調査メディア株式会社マクロミルの調査によると、20~70代に終活について聞いたところ、終活を認知している人の割合は実に98%に及んでいる。言葉としてはほとんどの国民に浸透しているといってよい。実際に終活を行っている人は10.7%、今後終活したい人は42%おり、半数以上の人が終活をしたいと考えていることが見てとれる。今後もこの比率は増えていくだろう。

出典:HoNote「デジタル終活知っている?希望するお墓のカタチは?20~70代にきく終活に関する意識調査」※この先は外部サイトに遷移します。

40代から終活を始めるメリット

シニア世代が始めるイメージが強い終活だが、40代から始めると次のようなメリットがある。

老後の具体的な準備ができる

一番のメリットは40代から始めることで、きちんとした老後生活の準備ができることだ。老後の生活に必要な資金と、家族に遺すべき資産を仕分けして管理することができる。不動産や収集した骨董品などの処分方法を決めておけば家族にとっても安心だ。

不用品を処分する体力がある

不要になった家具や家電など処分するには体力がいるものもある。売却する場合でもリサイクルショップに持っていく体力や、フリマアプリで販売する手間などを考えると、60代以降ではつい億劫になって処分が進まない恐れがあるだろう。体力がある40代から始めることで処分しやすくなる。

終活の具体的方法

終活は人によってやることは異なるだろうが、少なくとも次の3つは確実にやっておきたい作業といえる。

エンディングノートを作る

エンディングノートを作ることは終活の基本といってよい作業である。家族に伝えておきたい情報や、葬式をどのような形で行ってほしいか、遺品の処分方法などの希望を書き留めておく。家族がなるべく故人の遺志に沿った形で行動できるようにするためにも作ることが望ましいだろう。あわせて、遺影も本人が気に入っている写真を選んで添付しておくとよい。

断捨離・身辺整理を行う

断捨離や身辺整理も40代くらいから始めておきたい。亡くなってから故人の物を処分するのは家族にとってもつらいものがある。できればフリマアプリ等を使って買い手があるものは売却し、売れる見込みのないものは不用品として処分して、持ち物を減らしておくことが望ましい。

身辺整理も大事で、友人・知人等に借金がある場合は必ず返済しておかなければならない。パソコンやスマートフォンに重要なデータが入っている場合の管理も重要だ。第三者に見られては困る写真やデータは削除するか、秘密のアカウントに保存しておくなどの対策が必要だ。

銀行口座や通帳など金融情報をまとめておく

お金に関することは遺産相続で揉める原因になるので、銀行口座や通帳などの金融情報はきちんとまとめておくことが大事だ。とくに最近は電子通帳を利用する人も増えており、現物の通帳がない場合もある。株式や仮想通貨などは売却しない限り現金化できないので、売る方法も書面にまとめておくことが必要だ。

相続税の節税対策として有効な不動産投資

不動産や一定以上の金融資産を持っている場合は「相続」についても考えておく必要がある。できる限り遺言状を作成しておくほうがトラブルを避けるのに有効だ。あわせて考えておきたいのが相続税の節税対策である。

節税対策で最も効果が高いのは、現金・預貯金を不動産に変えておくことである。それは次に紹介するような税制の優遇措置を受けられるからだ。

預金などの資産の相続を見越して不動産を購入する場合、節税メリットが期待できる一方で価値毀損リスクや賃貸不動産であれば空室リスク、家賃下落リスクなど不動産固有のリスクがあることは覚えておきたい。
相続税の節税の仕組みやリスクについて別の記事で解説しているので、併せて参考にしてほしい。
参考:不動産投資をすると節税できる?節税の仕組みをわかりやすく解説※この先は外部サイトに遷移します。

建物の相続税評価額が下がる

相続時にアパートなどの貸家を持っていると、建物の相続税評価額を下げることができる。通常建物の相続税評価額は固定資産税評価額によって決まるが、人に貸している住宅は処分に制約があるため、自分が住むための住宅よりも相続税が軽減されるのだ。

たとえば、賃貸アパートの場合は「固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)」の計算式で算出される。借家権割合は30%と定められており、賃貸割合は貸している部分の床面積の割合で決まる。したがって、空室が少ないほど賃貸割合が多くなって相続税評価額の減額幅が大きくなる。

土地の相続税評価額が下がる

土地の相続税評価額は時価に対して80%程度に下げることができる。さらに土地の上に賃貸住宅を建築した場合は、土地の評価額から「借地権割合×借家権割合」の計算式で算出した金額が控除される。たとえば、借地権割合が70%で借地権割合が30%の場合は、70%×30%=21%の減額となる。

小規模宅地等の特例を受けられる

被相続人(故人)が住んでいた自宅の土地や、事業用に使っていた土地等がある場合、一定の要件を満たすと最大80%減額される「小規模宅地等の特例」を利用できる。減額の要件は下表のとおりである。

相続開始直前の宅地等の利用区分限度面積減額割合
特定居住用宅地等330㎡80%
特定事業用宅地等400㎡80%
貸付事業用宅地等200㎡50%

相続した住宅の土地面積が限度以下であれば、ぜひ利用したい制度である。

40代から終活を考えることはけっして早くない

上記の不動産投資による節税方法を見ればわかるとおり、40代から終活を考えることは決して早くない。不動産投資は早くから始めることで、資産形成と相続税対策を同時に進められるからだ。エンディングノート作りや断捨離、身辺整理も早く始めることで余裕を持って進めることができる。

終活は自分の人生の終焉に向けて悔いのない充実した日々を送るための活動でもある。終活を前向きに捉え、早めに準備することで家族にも安心して暮らしてもらうことができるだろう。

(提供:manabu不動産投資

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