この記事は2022年5月10日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、急落で年初来安値を更新 一時3万ドル割れ」を一部編集し、転載したものです。
10日のビットコイン(BTC)は売りが先行し、一時3万ドル(約391万円)を割った。2万9,800ドル(約388万円)ほどまで下落し、年初来安値を記録した格好だ。
記事執筆現在は反発し、32,500ドル(約424万円)ほどを推移している。昨年11月のピーク時から比較して、下落率は50%を超えた。
この下落により、ビットコインを大量保有する米企業マイクロストラテジーの株価も急落。前日比25%安となる219.05ドルで取引を終え、2017年以来の大幅下落となった。
暗号資産(仮想通貨)市場は主要銘柄を中心に全面安となり、特にステーブルコイン・TerraUSD(UST)の急落によってテラ(LUNA)が一時50%超の暴落を見せた。
USTの価格崩壊も暗号資産市場にネガティブな要因となったが、やはり米国株の下落が響いた。
9日の米株式市場では、ダウ平均が653.67ドル(1.99%)安、ナスダックが521.41ポイント(4.29%)安と、共に年初来安値を更新。3営業日連続してハイテク株を中心に売られ、ナスダック株価指数は時価総額約1兆5,000億ドル(約200兆円)が消滅した。
米連邦準備制度理事会(FRB)は4日、過去20年以上で最大の利上げとなる政策金利0.5%の引き上げを決定。事前の市場予測通りの結果となったものの、急速な景気後退に対する懸念は根強い。
ダウ平均は米連邦公開市場委員会(FOMC)終了から3営業日で1,800ドル下落。ナスダックにおいても、3営業日の下落率は10%を超えた。下げ幅は2020年9月以来最大だ。
ナスダックは今年に入り右肩下がりに推移しており、年初来下落率は26%となっている。ハイテク大手を見ると、マイクロソフトの時価総額は2兆ドルを割り込み、Amazonの株価は昨年の上場来高値から40%、年初来21%の下落、Appleも年初来14%下落している。
ビットコインとの相関性が高いとされるS&P500種株価指数においても、9日には先週末から3.2%下落し、サポートラインと思われていた4,000ポイントを下回る3,991.24ポイントまで落ち込んだ。
今後もFRBによる金融引き締めのほか、インフレ懸念、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う都市封鎖を行っている中国の景気停滞などのネガティブ要因が暗号資産をはじめ金融市場に大きな影響を与えていくものとみられる。
すでに米国債利回りは急伸しており、利上げとインフレの同時進行で、景気後退に入るという懸念も強まっている。
機関投資家を中心に現金化を急ぐ動きが加速する可能性もあるため、しばらくは暗号資産においても急激な価格に注意を払う必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産)