この記事は2022年5月16日に「月刊暗号資産」で公開された「暗号資産市場、不安定な推移続く 株式市場には買い戻しの動きも」を一部編集し、転載したものです。
16日の暗号資産(仮想通貨)市場は依然として不安定な推移が続いている。
ビットコイン(BTC)は週末に反発し、3万1,000ドル(約401万円)付近まで上昇。しかし、テスラ社CEOのイーロン・マスク氏がTwitterの買収について保留を表明したことなどもあり、上値を重くした。暗号資産市場の混乱を招いたステーブルコイン・TerraUSD(UST)の価格回復に関する進捗が芳しくないことも重荷となったと言える。
前週末の米国株式市場は、ダウ平均が466.36(1.47%)ドル、ナスダックが434.04(3.82%)ポイントの上昇を見せるなど、買い戻しの動きが強まった。ビットコインとの相関性の高さが指摘されているS&P500も93.81(2.39%)ポイント上昇したが、暗号資産市場の上昇は長続きしなかった。
16日のアジア時間では、米国市場の動きを踏まえて同様に買い戻しの動きが見られた。日経平均も一時400円以上の上昇を見せたが、景気後退が指摘されている中国の経済統計が低調な結果になったことに加え、米国の株価指数先物などが軟調な推移を見せたことから反落。日経平均は前週末比119円40銭(0.45%)高の2万6,547円05銭で取引を終えたものの、上海総合指数や韓国総合株価指数はマイナスとなった。
ビットコインをはじめとした暗号資産も上昇から一転し、15時頃から下落。ビットコインは記事執筆時点で2万9,700ドル(約385万円)付近を推移している。
国内企業物価指数が1980年以来の2桁伸びとなる前年比10%の上昇を記録したことからもわかるように、現在世界的にインフレ懸念が高まっている。こうした状況で、米FRB(連邦準備制度理事会)は金融引き締めを強化しており、今後も加速させていくことを示唆している。急速な金融引き締めは景気後退を招く恐れがあるとして、金融市場では機関投資家などによるリスク回避の売りが先行している状況だ。
暗号資産も同様の動きを見せているが、現状3万ドル(約388万円)あたりで強いサポートが働いていることも踏まえれば、底固めのフェーズに移りつつあることがうかがえる。
今後もインフレ動向や地政学リスクなどが株価や暗号資産市場に大きな影響を与える可能性が十分考えられるため、引き続き警戒心を持って推移を見守っていく必要がある。(提供:月刊暗号資産)