毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。このコーナーでは、読書家が集まる本の要約サービス「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

平成一売れた『バカの壁』、令和の知ったかぶりが読むべき理由 2022年4月に読まれた「ビジネス書の要約」トップ10
(画像=PIXTA)

第1位:バカの壁(養老孟司著、新潮社)
第2位:すごい雑談力(松橋良紀著、秀和システム)
第3位:今さら聞けない時間の超基本(二間瀬敏史(監修) 吉武麻子(監修)、朝日新聞出版)
第4位:セルフコントロール大全(堀田秀吾 木島豪、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第5位:1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書(藤尾秀昭(監修)、致知出版社)
第6位:全米トップ校が教える自己肯定感の育て方(星友啓著、朝日新聞出版)
第7位:心を鍛える(藤田晋 堀江貴文著、KADOKAWA)
第8位:できる人は、「これ」しか言わない(大塚寿著、PHP研究所)
第9位:心理学BEST100(内藤誼人著、総合法令出版)
第10位:またすぐに! 会いたくなる人の話し方(野口敏著、三笠書房)

※本の要約サービス「flier」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2022年4月の閲覧数ランキング

「知っている」と勘違い

4月の第1位は、養老孟司氏の『バカの壁』でした。450万部と平成で一番売れた新書として知られ、銀行、保険、証券の各業界で最もよく読まれました。

一定の情報を得てもわからないことはたくさんあるにもかかわらず、「知っている」と思い込み、自分が知りたくないことには自主的に情報を遮断してしまっている――。そこに一種の「バカの壁」が存在するとした主張は、一世を風靡しました。「自分たちが物を知らない、ということを疑う人」がどんどん減っていると説く、20年近く前に刊行された本書は、令和の時代にあってもなお、変わらぬ説得力を帯びています。

バカの壁は「一元論に起因する面がある」といい、「わかる」ことには「共通了解」と「強制了解」の2種類があると説いた平成の大ベストセラー。読まぬまま令和を迎えてしまった方も、まだ間に合います。今からでも読んでおくべき快作です。

バカの壁
バカの壁
養老孟司
出版社:新潮社
発売日:2003年04月10日
ジャンル:自己啓発・マインド リベラルアーツ

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雑談を侮るなかれ

第2位は『すごい雑談力』でした。雑談コミュニケーション専門家を自認する松橋良紀氏による著書で、昨今高まっている雑談のニーズとその背景を解き明かしています。

雑談と聞いて侮ってはいけません。金融に限らずあらゆる業種において欠かせない人間関係、その構築には雑談力が重要だと、著者は心理学を応用しながら解説します。翻って、雑談が苦手な人は人間関係がうまくいかなくて当然だとまで言い切ります。

コロナ禍でリモートによる会議や商談が増えていることを踏まえ、オンラインで使える雑談のちょっとしたコツが満載の実用的な本書。すぐに試せて効果が実感できるはずです。

すごい雑談力
すごい雑談力
松橋良紀
出版社:秀和システム
発売日:2022年03月01日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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最適な時間配分は「3:○:○」

第3位は『今さら聞けない時間の超基本』でした。グローバルにつながり、24時間休みなく動き続ける金融市場。為替や金利が刻々と変動し、1分1秒がビジネスの成否を分けるとも言われる中、銀行関連の企業にお勤めの方に特によく読まれました。

本書は、会社員にオススメの時間管理術として、「緊急性と重要度を軸とした優先順位」や「予定をブロックするコツ」を紹介しています。一方、緊急で重要な仕事ばかりに取り組んでタスクに追われてしまうのを避けるために、「今やることの時間:人と関わる時間:未来のための時間」のバランスをとることが大切だと強調します。

その黄金比は「3:○:○」。「○」が気になる方は是非本書を手に取ってみてください。

今さら聞けない時間の超基本
今さら聞けない時間の超基本
二間瀬敏史(監修)・吉武麻子(監修)
出版社:朝日新聞出版
発売日:2021年12月30日
ジャンル:生産性・時間管理

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「同世代」「地方出身」のIT時代の寵児

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。

まずは第7位、藤田晋氏が堀江貴文氏にオファーして実現した共著『心の鍛え方』に注目します。ネット時代を象徴する寵児として歩んできた2人が、半生を赤裸々に語っています。

藤田氏は「自分の将来への“先行投資”としてのハードワーク」や「ネットバブルの苦境で得た教訓」、「勝負をするタイミング」などを紹介。一方、堀江氏は「自尊心を保つためのアイデンティティ」や「親世代の考えを鵜吞みにしないこと」、「捨てて身軽になること」の重要性を説いています。

「同世代」「地方出身」「父は堅実な勤め人」など多くの共通項を持ちながら、「動と静」「熱狂と冷静」とも称されるほど正反対の性質を持っている両氏。今も何かと話題を集める経営者の思想や生い立ちのエピソードが詰まった読み応えのある一冊です。

心を鍛える
心を鍛える
藤田晋・堀江貴文
出版社:KADOKAWA
発売日:2022年02月17日
ジャンル:経営戦略

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見習うべきは大谷翔平

最後にご紹介するのは第10位の『またすぐに! 会いたくなる人の話し方』です。コロナ禍であっても、「また会いたい」と相手に思ってもらえるようなスキル。その答えは大谷翔平の受け答えにヒントがありました。

三振を喫した際、大谷は「振りが鈍かった」「もっと練習したい」といった自分視点の感想ではなく、「こんなに速くて品のあるボールは経験したことがありません」と述べたことに本書は着目。自分を主人公、主語にするのではなく、「相手を主人公にした話し方」こそ、尊敬されるコミュニケーションの秘訣だと言います。

他にも、入社以来受注ゼロの営業社員を著者が指導し、半年後には大きな取引を成立させることができたエピソードなど、具体例が豊富に盛り込まれています。受注ゼロの営業社員にも、著者は「とにかく相手を主人公にして話すこと」だけを指導したと言います。

「相手を主人公にした話し方」、あなたも今日から実践してみませんか。

またすぐに! 会いたくなる人の話し方
またすぐに! 会いたくなる人の話し方
野口敏
出版社:三笠書房
発売日:2022年03月02日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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編集後記

2022年4月のランキングは、450万部という“バケモノ”的ヒットを記録した『バカの壁』が、時代を超えて支持される結果を如実に示しました。以下、第5位『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』や第7位『心を鍛える』、第9位『心理学BEST100』など、心理や精神を取り扱ったテーマの本が上位に目立ちました。

5月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。

flier編集部

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