この記事は2022年6月8日に「月刊暗号資産」で公開された「岸田政権、骨太方針を閣議決定 Web3.0や暗号資産への取り組みを本格化へ」を一部編集し、転載したものです。


ビットコイン,日本円
(画像=N/stock.adobe.com)

政府は7日、岸田政権としては初の策定となる「経済財政運営と改革の基本方針2022」、いわゆる「骨太の方針」を閣議決定した。岸田首相が掲げている「人への投資」に重点を置き、3年間で4,000億円を投じることが決定した。

岸田首相が力を入れる成長戦略「新しい資本主義」を踏まえ、人材や科学技術、新興企業やカーボンニュートラル、デジタルという分野への投資が柱となる。

骨太の方針の中に新たに加えられたのがWeb3.0への注力方針だ。「第2章 新しい資本主義に向けた改革」の「多極化・地域活性化の推進」における「多極化された仮想空間へ」の中で、「より分散化され、信頼性を確保したインターネットの推進や、ブロックチェーン上でのデジタル資産の普及・拡大など、ユーザーが自らデータの管理や活用を行うことで、新しい価値を創出する動きが広がっており、こうした分散型のデジタル社会の実現に向けて、必要な環境整備を図る」と説明。

さらに、「そのため、トラステッド・ウェブ(Trusted Web)の実現に向けた機能の詳細化や国際標準化への取組を進める。また、ブロックチェーン技術を基盤とするNFTやDAOの利用等の Web3.0の推進に向けた環境整備の検討を進める。さらに、メタバースも含めたコンテンツの利用拡大に向け、2023年通常国会での関連法案の提出を図る。Fintech の推進のため、セキュリティトークン(デジタル証券)での資金調達に関する制度整備、暗号資産について利用者保護に配慮した審査基準の緩和、決済手段としての経済機能に関する解釈指針の作成などを行う」と明記した。

ブロックチェーンを活用したWeb3.0への環境整備を加速化させ、投資を行い、日本の出遅れを防ぎ競争力を高めることが目的だ。

国内のWeb3.0を取り巻く環境整備では、他国と比べ出遅れ感が否めず、利用者保護や新技術を用いた取引の法的位置づけの明確化が求められている。また、他の金融資産と比べ暗号資産(仮想通貨)の税負担が重く、起業家の海外流出などを招いている状況だ。

海外でも国を挙げてWeb3.0を推進する動きが活発化している。

米国のバイデン大統領は3月、デジタル資産の研究加速を命じる大統領令に署名した。

また英国財務省は4月、英国を世界的な暗号資産業界のハブにするための計画を発表している。英財務省の発表によれば、ステーブルコイン利用のための環境整備を行うほか、金融市場インフラのサンドボックスの法制化、英国造幣局とのNFT(非代替性トークン)活用に関する協力などを進めていく。

岸田首相は先月26日の衆院予算委員会で「Web3.0時代の到来は、経済成長の実現につながる可能性がある」と発言した。

その後も政界において暗号資産やWeb3.0に関する動きが加速度的に進んでおり、国を挙げた取り組みとしての機運が高まっている。(提供:月刊暗号資産