この記事は2022年6月22日に青潮出版株式会社の株主手帳で公開された「青山財産ネットワークス【8929・スタンダード】企業主や資産家の財産・事業承継をコンサル 好評の不動産小口化商品を金融機関にも提供」を一部編集し、転載したものです。


青山財産ネットワークスは「100年後もあなたのベストパートナー」を合言葉に、財産を守り、未来につなぐ資産と事業両方の承継コンサルティングを手掛ける。

また財産コンサルティングの一環である不動産小口化商品「ADVANTAGE CLUB」は、地方金融機関や証券会社が取り扱う人気商品となっている。不動産特定共同事業法を活用した地方創生も手がけており、同社の活躍の場は大きく広がりつつある。

▼蓮見正純社長

青山財産ネットワークス
(画像=株主手帳)

全国2000ファミリーをコンサル
「全体最適」のプランニングが強み

同社は財産承継・事業承継・財産運用などのコンサルティングを手がける総合財産コンサルティング会社。2021年12月期連結決算は売上高242億1300万円(前期比26.6%増)、営業利益は18億5600万円(同42.4%増)の増収増益となった。

財産コンサルティング事業では、企業オーナーや資産家の財産承継コンサルティングや事業承継コンサルティングを行う。少子高齢化が進み、企業や資産家の後継者不足が問題となっている。同社は公認会計士、税理士、弁護士、不動産鑑定士など国家資格を有する専門家が150名以上在籍しており、顧客の立場に立った全体最適の財産コンサルティングを展開。

また国内有力税理士法人・会計事務所約100拠点との幅広いネットワークを持ち、全国約2000ファミリーの財産承継コンサルティングを行っている。

「事業の承継は、35年前には親族承継が9割を超えていたが、最近は第三者承継が3分の2を占めます。このため、承継コンサルティングには後継者選びをはじめ、事業の継続性や財務の健全性の検討、一族や企業の文化承継、そして景気変動や災害によるまさかの事態に備えるなど、相続税対策以外の要素が増えています。これらについて、対症療法ではなく総合的で全体最適なプランを作れるのが当社の強みです」(蓮見正純社長)

2021年12月期の財産コンサルティング事業の売上は55億4500万円(前期比4.5%減)。同事業の売上総利益は、全体の約6割を占め同社の利益の源泉となっている。

不動産小口化商品の人気拡大
累計880億円超を組成

同社は財産コンサルティングの一環として、顧客のニーズへの対応を図る目的から不動産商品で財産を組み替える資産運用を提案している。不動産の仕入れや不動産商品の開発を行っているのが不動産取引事業だ。

2021年12月期の売上は186億6700万円。うち158億円と大きな割合を占めるのが、都心の物件を共同所有する不動産小口化商品「ADVANTAGE CLUB(アドバンテージクラブ)」(以下「アドバンテージ」)だ。

アドバンテージは2002年にスタートした商品で、銀座、京橋など東京都心部の不動産に出資して一定期間共同所有し、賃貸収入を受け取るシステム。出資単位は1口1000万円だ。従来は同社の顧客を中心に提供していたが、2021年からは地方銀行や証券会社などの顧客への提供を開始。2021年末までの組成累計額は880億円を超え、同様の組成方法に基づく商品の中では約55%のトップマーケットシェアを持っている。

2022年3月には「ADVANTAGE CLUB 銀座六丁目西銀座通り」の組成を行い、過去最大の組成額104億円に対して、募集口数を大幅に超える申し込みとなった。アドバンテージの提供により金融機関との連携がさらに強化され、新規顧客との接点が大きく拡大している。

リーマンショックで方向転換
地域創生スキーム作りにも参画

2008年に、税理士や公認会計士のネットワークを持ち、主に土地持ち資産家向けの財産コンサルティングを行う会社と、蓮見氏が設立した企業オーナー向けの事業承継などのコンサルティングを行う会社とが経営統合。現社長の蓮見氏が就任した。これにより、現在に続く総合財産コンサルティング会社への基盤が整ったことになる。

しかし蓮見氏が社長に就任するとほぼ同時に、リーマンショックに見舞われる。当時、同社は不動産転売の売上が大きかったため、2009年には48億円の当期損失を計上するなど、深刻な影響を受けた。

「就任直後には株価が暴落するなど、本当に大変なことが続きました。しかしこのリーマンショックがきっかけで、不動産転売ビジネスを二度とやらないと決め、財産コンサルティングを主としたビジネスモデルに変化することができたのです」(同氏)

また不動産特定共同事業法を活用した地域創生事業にも着手。2017年には、同社がスキームを手がけた石川県小松駅駅前複合施設「Komatsu A×Z Square」が竣工した。補助金、地域金融機関からの融資に加え、同社の顧客である東京や地元投資家から投資を募ることで資金を集め、事業を完成させた。

「地域に貢献でき、一定のインカムがあることから、投資家の方からはすぐに応募がありました。地方では税金以外の資金を結集しないと大きな建物が建てられない時代になっています。こういった案件も商品のひとつとして育てていきたいですね」(同氏)

商品で顧客との接点を拡大
年平均35日%の利益成長目指す

同社は中期経営計画の中で、2024年までの3年間を「財産コンサルティングファームとしての拡大成長期」ととらえ、総合財産コンサルティングサービスと戦略的個別サービスを充実させていく。

2020年には、「青山フィナンシャルサービス」、2021年には「青山ファミリーオフィスサービス」を相次いで設立した。青山フィナンシャルサービスでは、IFAとして株と債券を組み合わせた商品などを中心に、顧客の長期的な金融商品運用のサポートを行う。青山ファミリーオフィスサービスでは、一族の持つ事業や財産のみならず、理念や価値観などの非財産分野の資産にも注目し、承継問題をトータルで捉えて解決するものだ。

他にも土地購入・有効活用コンサルティングや地域創生、またブロックチェーン技術を用いることで、収益不動産をデジタル化された証券として発行し、商品として提供するSTO(デジタル証券)など、多様なサービスを提供していく。好評のアドバンテージについては、2022年に、2021年12月期の2倍に近い300億円の商品組成を目標としている。

「商品やサービスの提供でお客様との接点を増やしていきます。そして当社のコンサルティングを受けてみたいと考えてもらう。このようなモデルを実現していきたいです」(同氏)

2024年12月期の目標は、売上総利益は2021年12月期の43億3000万円を75億~80億円まで引き上げる。営業利益はやはり2021年12月期の18億5600万円を45億~50億円に、営業利益率は2021年12月期の7.7%を約10%に引き上げるのが目標だ。また2022年から2024年までは、年平均約35%の営業利益の成長を目指す。

「財産コンサルティングと不動産商品組成の両方の機能を持っていることが当社の特徴です。ここをもっともっと強くしていきたい。そうなれば“財産のことなら青山”と言われる企業に一歩近づけると考えています」(同氏)

▼資産価値の高い都心の物件を扱う不動産小口化商品「ADVANTAGE CLUB」。
(上・銀座六丁目西銀座通り[出資総額104億円]、下・銀座花椿通り[出資総額49億円])

青山財産ネットワークス
(画像=株主手帳)
青山財産ネットワークス
(画像=株主手帳)

▼地域創生第1号案件として事業化された、JR小松駅前の複合施設「Komatsu A×Z Square」

青山財産ネットワークス
(画像=株主手帳)

2021年12月期 連結業績

売上高242億1300万円前期比 26.6%増
営業利益18億5600万円同 42.4%増
経常利益17億9600万円同 50.2%増
当期純利益14億8100万円同 85.0%増

2022年12月期 連結業績予想

売上高365億円前期比 50.7%増
営業利益25億5000万円同 37.4%増
経常利益24億2000万円同 34.7%増
当期純利益16億9000万円同 14.1%増

*株主手帳7月号発売日時点

蓮見正純社長
Profile◉蓮見正純(はすみ・まさずみ)社長
1956年12月生まれ、岐阜県出身。1980年慶応義塾大学商学部卒業。1983年青山監査法人入所。1991年山田&パートナーズ会計事務所、三優監査法人入所。2008年青山財産ネットワークス代表取締役社長(現任)。2020年不動産特定共同事業者協議会会長(現任)。2021年青山ファミリーオフィスサービス代表取締役(現任)。