不動産投資で投資物件や投資方針を決める際、「新築物件と築古物件のどちらに投資をするか」という点で、築古物件に対して以下のような疑問が生じることは少なくないでしょう。

・築古物件にはどのようなリスクがあるの?
・築古物件に投資するメリットは?
・築古物件に投資するにあたっての注意点は?

築古物件には築年数が経過しているがゆえのリスクがある一方、それらを正しく理解し上手くマネジメントすることで、新築物件では出せない高いリターンを期待することも可能です。

本記事では、不動産投資で築古物件を選ぶリスクやメリット、注意点をそれぞれ紹介します。

不動産投資で築古物件を選ぶリスク

築古物件への不動産投資はやめるべき?リスクやメリット、注意点を解説
(画像=konifilm/stock.adobe.com)

不動産投資において、築古物件を選ぶリスクは以下の3つです。

・修繕リスクが高い
・間取りが時代に合っていない
・耐震性が弱い可能性がある

修繕リスクが高い

建物や設備は築年数の経過とともに老朽化していくものであり、築年数が経過するほど修繕リスク(修繕に起因するコストやトラブルが発生するリスク)が高くなります。

エアコンや給湯器、エレベーターといった大型設備は、交換に多大なコストがかかるうえ、不具合が発生すると入居者の生活に大きな支障が出るでしょう。

また築古物件の中には、建物や設備のメンテナンス(点検や交換など)が行き届いていない物件も少なからずあるため、このような物件を選んでしまった際には、さらに修繕リスクが高まります。

間取りが時代に合っていない

築古物件の中には、リフォームやリノベーションが行われておらず、室内の間取りが時代に合っていないものもあります。

畳の部屋や3点ユニットなど、現在の入居者から求められない間取りの場合、購入後にコストをかけてリフォームやリノベーションを行わなければ入居者が見つからない可能性もあるでしょう。

畳をフローリングにしたり、3点ユニットをセパレートに変更したりする際の工事費用は安くはないということを認識しておく必要があります。

耐震性が弱い可能性がある

「旧耐震基準」で建てられた物件は、耐震性が弱い可能性があります。旧耐震基準とは、1981年5月31日までの建築確認において適用されていた基準のことです。

震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能という耐震性が基準とされています。

日本では震度6以上の地震が低くない頻度で実際に発生しているため、旧耐震基準の物件は、耐震性にやや不安があるといえるでしょう。

不動産投資で築古物件を選ぶメリット

不動産投資において、築古物件を選ぶメリットは以下の2つです。

・物件価格が下げ止まっている可能性がある
・節税しやすい

物件価格が下げ止まっている可能性がある

物件価格は一般的に築年数の経過とともに下落していきますが、およそ築20〜30年ほどになると価格が下げ止まりやすくなる傾向があります(マンションの場合)。

そのため、購入後にさらに築年数が経過しても、大幅な価格下落を避けられる可能性があります。このように、購入後の価格下落リスクという点では、新築物件よりも築古物件の方が低リスクといえるかもしれません。

ただし、物件価格は築年数以外の要素(経済や金融の情勢、人口動態など)にも左右されるため、価格の騰落を予想するにあたっては、築年数のみならず幅広い要素を勘案しましょう。

節税しやすい

節税目的で不動産投資を行なっている場合、新築物件よりも築古物件の方が節税のメリットを享受しやすいかもしれません。築年数が経過した物件の方が、減価償却を短期間で行うことができるためです。

建物における年間の減価償却費は、「未売却残高×定額法の償却率」によって求められ、定額法の償却率は耐用年数が短い(築年数が経過している)ほど高くなります。そのため、高年収の方など節税目的で不動産投資をする方は、あえて築古物件を選ぶというのも、合理的な戦略といえます。

不動産投資で築古物件を選ぶ時の注意点

不動産投資において、築古物件を選ぶ時の注意点は以下の3つです。

・修繕履歴を確認する
・リノベーションの実施を検討する
・「旧耐震基準」の物件は避ける

修繕履歴を確認する

修繕リスクを抑えるために、物件を購入する前に修繕履歴を売主に確認するようにしましょう。どの設備をいつどのように修繕したかを確認することで、修繕リスクの高さを判断できるためです。

築古物件でも、室内のフルリフォームや設備の一斉交換をしていたり、共用部分も含めた大規模修繕をした直後であったりする物件は修繕リスクを抑えやすくなります。

特に、室内であればエアコンや給湯器など、共用部分であればエレベーターといった高額な大型設備の修繕履歴はよく確認しておきましょう。

リノベーションの実施を検討する

畳の部屋や3点ユニットなど、室内の間取りが時代に合っていない状態である場合、購入後にリノベーションを実施するのも選択肢のひとつです。

コストはかかりますが、リノベーションを行うことで家賃設定を上げられたり、購入時よりも高い価格で売却できたりする可能性が見込めるのであれば、合理的な投資といえます。

また、リノベーションを検討する際には、コストに対してどの程度のリターンが見込めるか、投下したコストをどの程度で回収できるかという、コストパフォーマンスの視点を持っておくことが重要です。

リノベーションをしても家賃や物件価格の上昇、空室率の低下などのリターンが見込めないのであれば、その物件への投資は見送ったほうがよい場合もあります。

「旧耐震基準」の物件は避ける

日本では震度6以上の規模の地震が発生するリスクが常にあるため、耐震性は不動産投資をするうえで重要なポイントのひとつです。

利回りが高かったり、立地が良かったりしても、旧耐震基準の物件への投資は避けた方が無難かもしれません。地震で建物が倒壊すると莫大な修繕費が発生するうえ、修繕期間中は部屋を貸し出せないために家賃収入が途絶えてしまいます。

日本での不動産投資においては、「耐震性が弱い」というリスクは、許容できないリスクのひとつといえそうです。

リスクとリターンのバランスを考えて投資することが大切

築古物件には特有のリスクがある一方で、新築物件にはないメリットもあります。重要なことは、リスクを正しく理解しマネジメントすることによって、リスクヘッジをしながら高いリターンを狙っていく姿勢です。

メリットに注目して高いリターンを狙うことも投資家として重要ですが、まずはリスクを理解して、「そのリスクを負う価値のあるリターンが期待できるか」というバランス感覚を持って、投資をするようにしましょう。

(提供:Incomepress



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