本記事は、竹内義晴氏の著書『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』(翔泳社)の中から一部を抜粋・編集しています。

コミュニケーション
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

本記事における「世代の区分」

さて、本記事は「世代間ギャップ」について扱います。読み進めていくにあたって、まずは、各世代にはどのような特徴があるのか、簡単に頭に入れておきましょう。

なお、こういった「世代観」はあくまでも特徴であり、必ずしもすべての人に当てはまるものではありません。逆に「〇〇さんは、□□世代だから」といったラベル付けは、かえって世代間ギャップを広げてしまいます。また、各世代はゆるやかにつながっています。「1歳違うから、私は〇〇世代」のように明確に切り分けられるものでもありません。その点だけ、気を付けてご覧ください。一方、各世代の「特徴を知る」という意味では、1つの指針となるでしょう。

一般的な世代の区分は、大きく「日本における区分」と「海外(主に欧米)における区分」の2種類があります。それぞれ、代表的な世代の区分について説明します。

日本における世代の区分

(1) バブル世代(1965年〜1969年生まれ)

20代前半の大学時代、若手社会人時代にバブル景気を経験した世代。

(2) 就職氷河期世代(1970年〜1982年前後生まれ)

バブル崩壊後に社会人となった世代。失われた世代=「ロストジェネレーション(ロスジェネ)世代」とも呼ばれる。生産年齢人口のボリュームゾーンである「団塊ジュニア世代」(団塊世代の子ども)は、この世代に含まれる。

(3) ゆとり・さとり世代(1987年〜2004年前後生まれ)

学習指導要領の改訂により「ゆとりある学校」に沿った義務教育(=いわゆる「ゆとり教育」)を受けた世代。その後に「脱・ゆとり教育」を受けた世代が「さとり世代」と言われる。

欧米における世代の区分

X世代(Generation X) (1965年〜1980年頃生まれ)

アメリカにおけるベビーブーム世代のあとで、社会に出始めた20代の頃に冷戦終結などを経験した世代。

Y世代(Generation Y) (1980年〜1995年頃生まれ)

2000年(新千年紀)の前後に20歳を迎えた世代で、「ミレニアル世代」「ミレニアルズ」とも呼ばれる。

10代の頃にはインターネット環境が整いつつあり、インターネットに抵抗がない。

Z世代(Generation Z) (1996年頃生まれ〜)

1996年頃以降に生まれた世代。

10代の多感な時期にはスマートフォンが身近にあり、SNSを駆使したコミュニケーションが当たり前になっている。その点で「デジタルネイティブ」「SNSネイティブ」とも呼ばれる。

これらの日本と海外のそれぞれの世代区分をもとに、ここでは、次のように世代を「ベテラン世代」「中堅世代」「若手世代」の3つに分けて定義します。特徴をざっと見ていきましょう。

(1) ベテラン世代(おおむね50代〜)
  • いわゆる「バブル世代」以上で、「中堅世代」の上司・先輩にあたる。
  • 大学生や若手社員の頃にバブル景気の恩恵を享受し、「右肩上がり」の日本経済とともにキャリアを築いてきた。
  • これまでのキャリアにおける成功体験が強く、「頑張れば報われる」という考えが根強い。
  • 自身のマネジメントやコミュニケーションの成功体験に絶対の自信を持つ。
  • 武勇伝も多数。「オレが若い頃はなぁ……」という鉄板の自慢話を持つ。
  • 飲みニケーションが大好き。
(2) 中堅世代(おおむね30代・40代)
  • 「就職氷河期世代」とほぼ同世代で、本記事の主人公。
  • 人口ピラミッドのボリュームゾーンで常に激しい競争にさらされてきた。
  • にもかかわらずバブル崩壊後の不況で採用枠は激減し、就職氷河期を経験。
  • 就職前後に企業の倒産やリストラを目の当たりにし、「右肩上がり」の神話に疑問を持ちつつある。「言われたことをやっていれば安泰」ではなく、キャリアアップや市場価値に関心がある。
  • しかし、ロールモデルがベテラン世代以前のものしかなく、マネジメントやコミュニケーションの手法はベテラン世代のやり方を踏襲している。
  • ベテラン世代からの叱咤激励のもとで育てられてきた。
  • ベテラン世代と若手世代の間で板挟みになって悩んでいる。
(3) 若手世代(おおむね20代)
  • いわゆる「ゆとり・さとり世代」の後期、あるいは「Z世代」とほぼ同じ。
  • 少子化による人口減少世代でもあり、中堅世代のような激しい競争を経験していない。
  • ゆるい横のつながりの構築が得意。その反面、縦社会には慣れておらず打たれ弱い。
  • 仕事の目的が「地位や年収」など外発的なものから「やりがい」「充実」など内発的な価値観を重視するようになっている。
  • 熱くならず現実的で、未来に対しても過度な期待をしない。
  • 世の中が「いい」と言っているものや価値を感じているものよりも、自身が共感したものに価値を感じる。
  • 「エコ」で「省エネ」な感覚が強い。
Z世代・さとり世代の上司になったら読む本
(画像=Z世代・さとり世代の上司になったら読む本)

主人公は、「(2)中堅世代」です。「(1)ベテラン世代」から社会とは何か、仕事とは何かを教えられてきた中堅世代が、入社数年目の「(3)若手世代」とのコミュニケーションに悩んでいる―という現状を改善していく方法を、解説していきます。

ちなみに、この本を執筆している時点の私は、ちょうど中堅世代の終わり、ベテラン世代の入口にいます。両方の立場を客観的に見ている世代ですが、中堅世代のときに、自身のチームにおけるコミュニケーションに悩んできました。自身の課題を「何とかしたい」と、さまざまな文献を調べ、セミナーに通い、実践してきた内容が、ベースになっています。

=Z世代・さとり世代の上司になったら読む本
竹内 義晴
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。特定非営利活動法人しごとのみらい理事長。「楽しくはたらく人を増やす」が活動のテーマ。職場の人間関係やコミュニケーションの問題によって生じる、モチベーションやメンタル的な課題を解決し、ビジネスパーソンが楽しく働けるよう、コミュニケーションの講演・研修、講座、コーチング、カウンセリングに従事。また、サイボウズ株式会社にて、ブランディングやマーケティングにも携わる。

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