2022年はアフターコロナによる経済の再開やウクライナ戦争などが相まって、世界的にインフレが進行しています。日本では長らくデフレが続いていたため実感がわきにくい部分がありますが、2022年が「21世紀初めてのインフレ元年」なることはさまざまなデータからも不可避と見られています。
さらにインフレが進行すると、いったい何が起きるのでしょうか。経済的な不利益が予想されるのであれば、今のうちから有効な対策で備えておきたいところです。
本記事では、インフレ対策として不動産投資の有効性について解説します。なぜ不動産投資がインフレに強いのか、その理由とインフレに関して知っておくべき知識をまとめました。
2022年は「21世紀初めてのインフレ元年」
2022年7月時点で進行しているインフレの震源地は、米国です。米国のCPI(消費者物価指数)が高水準で推移し、2022年3月からは前年同月比で8%を超える水準が続いています。さらに同年6月にはCPIが9.1%となり、インフレは収まるどころか加速していることが世界に衝撃を与えました。
それでは、日本はどうなのでしょうか。米国をはじめとするインフレが進行している国ほどのレベルではないものの、日本でもCPIがじわじわと上昇をしています。
同年6月の東京都区部のCPI総合指数は前年同月比で2.3%の上昇となっており、日本で最も物価が高いと考えられる東京都区部のデータとはいえデフレ脱却のために日銀が設定してきたインフレターゲットの2%をすでに超えています。
21世紀になってからもデフレが続いてきた日本経済ですが、いよいよ2022年は21世紀初めてのインフレ元年になる可能性大です。
2022年にインフレが起きている主な原因
2022年型ともいわれるインフレの主な原因は、以下の3つです。
① アフターコロナによる経済再開
コロナ禍によって停滞していた経済がいよいよ再開を始め、経済が一気に動き出した一方でサプライチェーンが追い付かず物価が上昇し、インフレの要因となりました。
② 依然としてコロナ禍の影響も残る
世界の大半の国はアフターコロナに向けて動き出していますが、中国のように依然としてコロナ禍が継続している国もあります。特に中国・上海のロックダウンはサプライチェーンの停滞に大きな影響を与え、これも物価を上昇させています。
③ ウクライナ戦争
アフターコロナによる物価上昇が起きていたタイミングで起きたウクライナ戦争ではエネルギー価格や穀物価格の上昇を招き、これもインフレに拍車をかけています。
インフレになると強い資産3選
インフレが進行すると、それまで長らくデフレだった日本では大きな変化が起きるでしょう。これまで安全資産だと思われていたものが安全ではなくなり、それに代わってインフレに強い資産が注目を集めるようになることも考えられます。ここではインフレに強い3つの資産を紹介します。
金などの現物資産
紀元前5,000年よりも前から人類はすでに金(ゴールド)を財産として捉えていたことが分かっており、21世紀の現在に至るまで6,000年にわたって金はその価値を保ち続けてきたことになります。これほど長期間にわたって財産としての地位を保ってきたものは金をおいて他にないでしょう。
この普遍的な価値によって、金はインフレに強い現物資産の代表格です。インフレで金利が上昇し株安が起きると、金価格は上昇しやすくなります。これはインフレで貨幣の価値が下がることに備えて多くの人が貨幣から金などの現物資産に資金を移動させるからです。
外貨建て資産
2022年のインフレを日本だけに限って見ると、歴史的な水準の円安も深く関わっています。円だけで資産を保有しているとさらに円安が進行した際に資産の価値が対外的に目減りしてしまうため、外貨建ての資産を持っておくことは円安由来のインフレ対策になります。
外貨そのものを保有する方法や外貨建ての投資信託、外国のREITなどを保有することで円安のリスクを抑えることができます。
不動産
現物資産の中でも不動産は、人が生きていく上で欠かすことができない「衣食住」の一角をなす資産です。そのため需要が急減する可能性が低く、景気変動の影響を受けにくいことでも知られています。
金は保有しておくことがインフレ対策の軸になりますが、不動産は所有しているだけでなく賃貸に供するなど活用ができる資産です。インフレ対策をしながら家賃収入を得ることもできるため、インフレが進行すると投資マネーが不動産に流れやすくなります。
不動産は高額商品なので一部のお金持ちだけのインフレ対策に感じられるかもしれませんが、そんなことはありません。標準的な年収クラスの方であっても金融機関の融資を利用して購入することができるため、多くの人にとって不動産投資は有効なインフレ対策となります。
不動産投資がインフレに強い理由
賃貸経営に活用しながらインフレ対策ができる不動産投資について、インフレに強い3つの理由を解説します。これから進行すると見られるインフレに備えるために、不動産投資の有効性をぜひ押さえておいてください。
物価が上昇すると不動産価格も上昇する
インフレが進行すると貨幣の相対的な価値が下がるため、現金や預貯金で保有している資産の実質的な価値が目減りします。その一方で現物資産の相対的な価値が高くなるため、現物資産の一種である不動産の価格も上昇します。現金資産の一部を不動産に換えておくことで、資産全体の価値を維持しやすくなります。
物価が上昇すると家賃も上昇する
貨幣価値が低下するインフレ局面では、賃貸住宅の家賃も上昇します。不動産投資は家賃収入を主な収入源としているので、その収入が物価に合わせて高くなるのであれば、有効なインフレ対策となります。
借金の返済が楽になる
インフレでは貨幣の相対的な価値が低下すると述べました。これは預貯金などプラスの資産だけでなく、マイナスの資産である借金についても同じです。不動産投資では物件購入費用を調達するために金融機関からお金を借りるケースが大半ですが、この借入金についてもインフレが進行すると実質的な価値が低下するため、返済が楽になります。
インフレが進行すると借金が有利になるというのは定説に近いものです。そのなかでも不動産投資は個人がお金を借りて行うことができるビジネスの1つなので、不動産投資家は「インフレで借金をすると有利になる」というメリットを享受できるわけです。
まとめ
「失われた20年」という言葉があります。これは日本経済が20年に及ぶ成長の停滞を経験したことを示すもので、そこにはデフレが深く関わっていました。
「失われた20年」の間に社会人となった現役世代の多くの人はデフレを長く経験してきたこともあってインフレに対する実感がわきにくい部分があります。まだまだ米国をはじめとする高インフレ国と比べると日本のインフレ傾向はそこまで強まってはいませんが、今後インフレ傾向が強まる可能性が高まっていることは本文中でも述べたとおりです。
本格的なインフレとなって不動産価格が大きく上昇する前の段階だからこそ、不動産投資を含むインフレ対策の有効性も高くなります。実際にインフレになってから慌てずにすむよう、まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。
(提供:Incomepress )
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