将来に備えて資産形成をしたいけれど、「どの方法がよいかわからない」という会社員もいらっしゃるでしょう。ここではメガバンクが調査した人気の資産形成の方法をご紹介。その中から、とくに会社員におすすめの資産形成の内容・メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
人気の資産形成ベスト10 3位NISA、2位株式投資……1位は?
会社員におすすめの資産形成の方法をご紹介する前に、まずは次の2点を確認したいと思います。
・人気のある資産形成の方法は何か?
みずほ銀行のアンケート調査によると、「現在、資産形成をしている」と答えた人は全体の約6割でした。20〜50代の全世代で56〜58%の人が、資産形成を行っているとの結果でした。
全体:56.9%
20〜29歳:56.2%
30〜39歳:56.7%
40〜49歳:58.2%
50〜59歳:56.7%
(出典:みずほ銀行「資産形成に関するアンケート」)
そして、「資産形成をしている」と答えた人が実際にやっている方法がこちらです(複数回答可)。
2位 株式投資:43.9%
3位 NISA・つみたてNISA:33.5%
4位 投資信託:32.2%
5位 外貨預金:15.7%
6位 FX(外国為替拠出金取引):12.6%
7位 iDeCo:11.3%
8位 外貨建て保険などの運用方保険:9.6%
9位 不動産(マンション投資、アパート経営など):3.9%
10位 REIT(不動産投資信託):3.5%
出所:同上
上記の中から、本記事でご提案したい「会社員の人におすすめしたい資産運用の方法」は以下の5つです。
2.NISA・つみたてNISA
3.iDeCo
4.不動産(マンション投資、アパート経営など)
5.REIT(不動産投資信託)
なぜ、他の5つの資産運用の方法は、会社員におすすめできないのでしょうか。まずは、この点についてお話ししたいと思います。
会社員に「定期預金」「株式投資」「外貨建て資産」をおすすめしない理由
会社員の人たちに、下記の資産運用をおすすめしない理由は次の通りです。
定期預金
資産運用の1位だった「定期預金」を会社員におすすめしない理由は、通常預金よりも高金利とはいっても、低金利なことに変わりないからです。そのため、メインの資産運用としてはおすすめできません。
例えば、ゆうちょ銀行の場合、通常貯金の金利0.001%に対して、定額貯金の金利は0.002%です(2022年5月4日時点の金利)。定期預金の金利は通常貯金の2倍ですがが、もともとが超低金利のため、一般的な会社員の預金ではわずかな金利にしか受け取れません。
株式投資
株式投資を会社員におすすめしない理由は、値動きが大きく仕事に影響が出かねないからです。「長期保有をしよう」と思っていても、株式市場が大暴落した局面などでは、値動きが気になって仕事が手につかなくなることも考えられます。
もし、会社員の人が株式投資で資産運用をするとしても、急騰・急落しても平常心を失わない範囲内にするのがよいかもしれません。
外貨建て資産
残りの外貨預金、FX、外貨建て保険などは、為替の動きで差益が受け取れるチャンスがあります。とはいっても、為替は金融の専門家でも読みにくいため、会社員がこれをメインに資産運用をするのはおすすめしません。利用するにしても、サブ的な資産運用にするのがよいかもしれません。
会社員に「投資信託」「NISA」「iDeCo」「不動産」などをおすすめしたい理由
逆に会社員の人たちに、下記の資産運用方法をおすすめしたい理由は次の通りです。
投資信託
投資信託とは、その人に代わって金融のプロが株式や債券などに分散投資をしてくれる仕組みです。日々の値動きをチェックしたり、マーケットの動きに合わせて金融商品を売り買いしたりする必要がないため、自由な時間の限られる会社員と相性のよい資産運用方法といえます。
投資信託の注意点は、商品によってはハイリスクだったり、運用コスト(信託報酬など)がかかったりすることです。そのため、会社員の手堅い資産運用として利用する場合は、比較的ローリスクで信託報酬の安い、インデックスファンドなどを選択するのがよいかもしれません。
・幅広い株式、債券に分散投資できる
・ネット証券などで手軽に購入できる
・少額から積立投資ができる
デメリット例
・銘柄を所有している限り、運用コストがかかる
・銘柄数が多いため、どれを選べばよいか迷いやすい
NISA・つみたてNISA
NISAとは、株式投資や投資信託で得た運用益が、一定の範囲内で非課税になる制度のことです。上手く使えば、会社員の資産運用益を増やしてくれる仕組みといえるでしょう。
一般NISAは、「年間120万円・最長5年間」の非課税枠を利用可能です。これに対して、つみたてNISAは、「年間40万・最長20年間」の非課税枠があります。なお、つみたてNISAは、安定的な資産運用のしやすいローリスク金融商品に限定されているのが特徴です。
・NISAとつみたてNISAなどから、自身に合ったものを選べる
・運用益が出ても確定申告の手間がいらない
・国の制度なので安心感がある
デメリット例
・非課税枠の範囲内でしかメリットがない
・一般口座とNISA口座の損益通算ができない
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、将来もらえる老齢年金にプラスして、私的年金を受けとられる制度のことです。自分で決めた額の掛け金を積み立てながら運用し、元本と運用益を60歳以降に受け取られます。
iDeCoは、厚生年金の対象者である会社員や公務員なども掛けることができます。ただ注意点もあり、会社員や公務員の場合、掛け金が自営業者や専業主婦よりも少ない額に設定されています。
・掛け金が全額所得控除になり、税金が軽減する
・運用益が非課税になる(運用益は全額再投資)
・私的年金を受け取るときも控除が受けられる
デメリット例
・原則60歳まで積立金を受け取ることができない
・掛け金に上限額がある(会社員は上限が少なめ)
不動産(マンション投資、アパート投資)
不動産投資は、マンション、アパート、戸建てなどの物件を購入して、賃料収入を得る仕組みで、「サラリーマン大家」という言葉があるように、不動産投資は会社員に向いている資産運用の1つです。その理由は、入居者管理などの業務を管理会社に委託すれば、運用の手間があまりかからないからです。
不動産投資の注意点は、運用を始める前の段階では、情報収集や契約の手間がかかることでしょう。加えて、数多くの物件の中から空室リスクの低い物件を選ぶには、不動産投資の基本知識も必要となります。
・会社員の信用力を使って金融機関から融資を受けられる
・手間がかからないため、多忙な会社員でも資産運用できる
・所得税や相続税が軽減することもある
デメリット例
・ある程度の年収のある会社員でないと融資を受けにくい
・空室が発生すると、賃料収入が入ってこなくなる
REIT(不動産投資信託)
REITとは、その人に代わって不動産のプロが不動産を運用し、賃料収入や売却益を得て、分配金として還元する仕組みです。住居、オフィス、ホテルなど特定のテーマの銘柄と、これらを組み合わせた総合型、複合型の銘柄があります。
一般の不動産投資は、物件を購入するのにまとまった初期費用が必要になります。一方、REITは数十万円程度〜(これより安い銘柄も複数ある)の元手があれば資産運用が始められます。そのため、「余力があまりないけれど不動産投資をしたい」という会社員と相性がよいと考えられます。
・数多くの不動産に分散投資ができる
・分配金以外に、値上がり益を得られることもある
・ネット証券などで手軽に購入できる
デメリット例
・現物不動産と違って、節税メリットがない
・現物不動産のように、金融機関の融資を受けられない
いくつかの資産形成を組み合わせるのが大事
ここでご紹介した「会社員におすすめしたい資産形成」の中から、実際にどれを運用するのが正解でしょうか。この点については、いくつかの資産形成を組み合わせるのがよいでしょう。
なぜなら、本稿で解説してきたように、どの資産形成にもメリット・デメリットがあるからです。メリットだけの資産形成はありません。そして、損失リスクのない資産形成もありません。
だからこそ、いくつかの資産形成を組み合わせて、経済やマーケットの変化に柔軟に対応しやすいポートフォリオ(資産の構成内容)を構築することが大事です。どの組み合わせがよいかは、ケースバイケースです。それぞれの資産形成の内容を学んで、ご自身にとってベストな選択をしましょう。
(提供:Dear Reicious Online)
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