特集「不動産業界トップランナーに聞く アフターコロナ時代の経営戦略」では、各社のトップにインタビューを実施。新型コロナウイルス感染症が収束した後の社会における不動産業界の展望や課題、この先の戦略について、各社の取り組みを紹介する。

株式会社スタイルアジアンインベスター は、大阪府の一等地に ある優良物件に特化した不動産投資事業会社だ。大阪府は約30年ぶりに地価が上昇しており、新しい日本の顔として世界中から注目を浴びている。多くの人がまだそのことに気付いていない中、同社の代表・山本裕介氏は東京都での経験と知識、大阪府の人脈をいかし、価値が高まる物件を顧客に提供している。山本氏に「今、大阪府が熱い理由」やユーザーに向けたメッセージを伺った。

(取材・執筆・構成=丸山夏名美)

株式会社スタイルアジアンインベスター
(写真=株式会社スタイルアジアンインベスター)
山本 裕介 (やまもと ゆうすけ)
――株式会社スタイルアジアンインベスター 代表取締役

1977年生まれ45歳、東京都出身。「2020年以降勝ち続けたいなら大阪の不動産に投資しなさい(現代書林)」著者。
東京の新築投資用マンション販売大手にて11年、関西の中堅新築投資用マンション販売にて8年、営業本部長、取締役を経て独立。2019年より現職。東京と大阪両方の市場を併せて約20年経験し、東京での経験を生かした知見にて、現在は関西の中古投資用区分マンションに特化、再販事業、賃貸管理、生命保険販売など、行っている。
株式会社スタイルアジアンインベスター
資本金1000万円、2019年1月に創業。万博開催が決定した大阪の中心部の中古投資用区分マンションの販売を中心に賃貸管理、生命保険の販売などを手掛ける。また、ユーチューブ業界のTOPランナーの株式会社サムライパートナーズ代表取締役入江巨之氏も取締役として参画しており、今後業界へ新たな風を送り込むべく様々な仕掛けを展開している。

目次

  1. 株式会社スタイルアジアンインベスターの創業からの変遷について
  2. 株式会社スタイルアジアンインベスターの強み・コアコンピタンス
  3. 不動産投資業界に感じる課題
  4. 株式会社スタイルアジアンインベスターの未来構想
  5. 投資家や金融関係者、社会へのメッセージ

株式会社スタイルアジアンインベスターの創業からの変遷について

─会社の立ち上げからこれまでの変遷をお聞かせください。

株式会社スタイルアジアンインベスター代表取締役・山本裕介氏(以下、社名・氏名略): 弊社は、大阪の中心部にある投資用の中古物件、特に築浅(築年数があまり経過していない物件)に特化した不動産投資事業を行っています。

中古の再販だけでなく、賃貸管理・家賃保証などのフォローや、それらを一括管理するスマホアプリの提供も行っています。物件を購入したお客さまはその後の管理を非常に大切にされるので、購入後に管理しやすいサービスが重要だと考えています。また、大手生命保険会社の代理店もやっていますので、保険のお手伝いができることも特徴です。

2019年1月の創業当初は金融機関の開拓、仕入れ、人材確保という不動産投資業界で重要な3つの要素について、非常に苦労しました。しかし、物件の目利きやフォローアップ体制の強化もあって販売は順調に進み、今では金融機関も不自由なく利用できているので本当にありがたいです。

4年目に入ってお客さまの信頼をも得られるようになり、今期の売上は10億円を超える見込みです。また、来期はより多くのお客さまに価値ある物件をご紹介することで、15~20億円の売上を目指しています。

株式会社スタイルアジアンインベスターの強み・コアコンピタンス

─ 特徴の一つとして大阪の一等地にある物件を取り扱っていることを挙げられましたが、それを含めて貴社ならではの強みはどこにあるのでしょうか。

「仕入れの強さ」には自信があります。元々私は東京の大手の不動産会社におり、関西に来て12年目になります。東京での人脈と経験、また関西の人脈と土地勘もあるため、例えば相対売買(売り手と買い手が協議して契約を結び、互いに受け渡しの責任を負う取引方法)などで特別な仕入れがしやすいのです。実際に大手の不動産会社では入手が難しい、非常に良い条件の物件を多く取り扱っています。

今、大阪の中心地では少し前の東京と同じことが起こっています。私は2000年頃から不動産投資業界で仕事をしてきたので、どのような物件が伸びるかがわかります。不動産の価値は一般の方が持つイメージで決まるわけではなく、交通や立地の利便性を始めとする条件で決まります。しかし、それに気付いていない人が多いのです。

東京の不動産投資はすでにレッドオーシャンですが、大阪は今が注目すべきタイミングだと思います。最近は、大阪の面白さに気付いた東京のお客さまが増えましたね。

─ HPでは海外不動産も紹介されていますね。

はい。海外物件の投資に関心のあるお客さまの選択肢を広くするために提供しています。例えば、海外不動産を購入する目的で日本政策金融公庫から融資を受けるには、国内での投資経験が必要です。

投資経験があり、運用がうまくいっているお客さまは、よりハイリスク・ハイリターンの物件に関心を持たれますが、「すでにローンを組んでいるため枠がない」といった壁があります。そのようなお客さまに向けて、カンボジアやタイなどの投資向け中古物件をご案内しています。

国によって条件や必要な目利きが変わりますので、弊社だけでご提供するのではなく、信頼のおける日本法人のディベロッパーさんと提携して、責任を持てる物件のみを選んでご提供しています。

不動産投資業界に感じる課題

─ 不動産投資業界全体が抱える、これから解決すべき課題があればお聞かせください。

DXやメタバースなどの技術で補えるものと補えないものがあるのに、「技術を使って新しく見せればよいだろう」という風潮には疑問があります。

システマチックにすることを否定しているわけではありませんが、例えばネットで嗅覚や味覚がリアルに伝わらないように、不動産というリアルかつ高額なものの取引をオンラインや技術だけで完結することはできないと思います。

やはり、不動産は体感することが重要です。空間やさまざまなものとの距離、防犯、居心地など、自分で見て、感じないとわからないことだらけです。不動産は高いお金をかけて本気で買うものですから、体感することなく話を進めようというのは無理があります。

技術で簡素化されたものは一見便利に見えるかもしれませんが、詳細が隠されていたり、核心が見えなかったりすることが多いものです。お客さまは、購入した後で損をしないためにも気をつけてほしいですね。

株式会社スタイルアジアンインベスター
(写真=株式会社スタイルアジアンインベスター)

─ その課題に対して、自社で取り組んでいることがあればお聞かせください。

弊社は、お客さまに「計画実行力」があることをお伝えしています。ご購入いただいた物件が、当初の予定どおりに運用できるのか情報をお伝えしますし、その後のフォローアップもしっかりといたします。

先ほどお伝えしたDXやメタバースなどの技術だけで完結するようなサービスで起こりがちなのは、条件の認識の相違です。例えば「○○駅から徒歩○分」と書いてある場合、改札口によってかかる時間が変わりますし、同じ5分でも治安の悪い場所を通るのか、明るい商店街を通るのか、住宅街を通るのかでまったく異なります。「○○駅から徒歩○分」だけで判断してしまうと、その後の運用時に想定していたこととズレが生じます。

ズレが生じると入居者がすぐに入れ替わる、埋まらなくなるなどの問題が発生します。弊社はそのようなズレが起こらないように、情報共有を徹底しているのです。

また、ズレをなくすために「見える化」にも力を入れています。「360度内見システム」をいち早く導入し、入居者が入れ替わったら遠隔でもすぐに把握できるようにする、汚れた場所を確認できるなど、お客さまがいつでも物件の状況を把握できる環境を整えています。

株式会社スタイルアジアンインベスターの未来構想

─ 貴社の未来構想についてお聞かせください。

まずは今、本当に熱い大阪という地で、お客さまが価値を得られる物件をお届けすることです。今まで大阪は国内第二の都市とされてきましたが、空港で見ても羽田よりも関空のほうが乗り継ぎの多いハブ空港となっています。また、30年ぶりに地価が上昇しているという最高のタイミングです。弊社は、その中でも価値がぎゅっと凝縮していて伸び代のある一等地の優良物件を売買することができているので、まずこのエリアを固めていきたいです。

大阪が盛り上がった後は、京都、兵庫、愛知など周辺地域の優良中古マンションの販売を広げていこうと考えています。また、すでに薄利になっている物件が多いものの、知見がある東京の中古マンションの販売も地道にやっていきたいですね。

投資家や金融関係者、社会へのメッセージ

─ ZUU onlineは、金融や経済の情報を扱う専門メディアで、投資家や富裕層の方が多く閲覧されています。読者へのメッセージがありましたらお願いします。

お話したとおり、現在大阪はぐんぐん成長しています。この計り知れない経済効果は、世界でも注目されています。例えば、以前は外資系のホテルが初めて日本に進出する際は、ほとんどが東京でした。しかし、現在はアメリカやタイ、シンガポールなどの高級ブランドホテルが、日本初の拠点に大阪を選ぶケースが多くなりました。ホテルを例に挙げましたが、大阪は投資物件を含めて世界中から狙われているのです。

この事実をいち早く日本人、特に大阪に住んでいる人に知ってほしいですね。大阪府民は30年間デフレを味わってきたので、自分たちの土地が世界から注目され、価値が高くなるなんてあり得ないと考えています。このままでは、気付いた時には価値のある物件が外部の人のものになっていて、大阪府民は損をしてしまうでしょう。

大阪は現在本当に価値があり、これからも伸びていくことを皆さまに知っていただき、ぜひ動いていただきたいですね。