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人生100年時代といわれる昨今、「100歳まで生きるとすると貯金はどれくらい必要?」「いまの生活を続けていて大丈夫?」など漠然とした不安にとらわれる方もいるのではないでしょうか。しかし、はっきりと思い描けない未来では、将来に備えて貯金したくても、なかなか貯金のモチベーションは保ちにくいかもしれません。世にいう「お金の達人」は、貯金をどのように考え実行しているのでしょうか。

2022年5月25日に発売された「人生がきらめく 簡単!『ムシカ式幸せ貯金習慣』」が都内の主要書店の棚をにぎわせています。本稿では、本書の著者でファイナンシャルプランナーの虫鹿恭正(むしか・やすまさ)さんに貯金に対する考え方や挫折しない貯金の方法、日々のお金の使い方、人生100年時代のためのお金の守り方などについて教えていただきました。

目次

  1. 貯金は恥ずかしいことじゃない。未来の自分のために、いま始めよう
  2. 何歳からでも始められる! 手取り20~25%の「先取り貯蓄」
  3. 貯蓄は、投資や保険を活用。保険は、「守りの資産形成」としても有効に
  4. 節約は「しんどい」ものじゃない。まずは支出の中身を仕分けしよう
  5. 貯金は、未来の自分を幸せにするもの
虫鹿恭正(むしか・やすまさ)
お話を聞いた人:虫鹿恭正(むしか・やすまさ)
FP業界生粋の貯金人(ちょきんびと) ファイナンシャルプランナー。愛知県一宮市生まれ、岐阜県育ち、川崎市中原区在中。現在、結婚14年目。 一児の父。年に約1200件以上の個別コンサルティングを担当。 資産形成、住宅購入計画、ライフプランニングなどに留まらず、「人生の夢実現を強く後押ししてくれる!」と着実に熱狂的なファンを増やす。 これまで、TV人気情報番組に準レギュラー出演のほか、日経新聞社や有名雑誌、メディア、金融機関、教育機関、大手上場企業からの講演依頼も多数。著書に「人生がきらめく 簡単!『ムシカ式幸せ貯金習慣』」(ベストセラーズ)がある。

貯金は恥ずかしいことじゃない。未来の自分のために、いま始めよう

みなさんは、貯金をどのようなものととらえていますか?一部で「貯金より投資すべき」「先にどんどん使わなければ入ってこない」という風潮もありますが、私は「日本人の美徳のひとつで尊敬の念を抱くべき行為」と思っています。

現代は、自然災害や新型感染症の流行、海外で起こる紛争や景気の波で先行きが見通しづらい時代です。人生においては「望まないターニングポイント」も訪れます。そのときに思い切った決断や方向転換ができるかどうかは、貯金があるかで決まると言っても過言ではありません。

かくいう私も現在に至るまで何度も訪れた人生のピンチを貯金に救われてきました。

今回は、2022年5月に出版した貯金のメソッドや私の人生哲学を盛り込んだ「人生がきらめく簡単!『ムシカ式幸せ貯金習慣』」から具体的な貯金方法やマインドのあり方のエッセンスをお伝えしていきたいと思います。

何歳からでも始められる! 手取り20~25%の「先取り貯蓄」

年齢に応じた適切な貯蓄額を聞かれることがよくあります。しかし収入や住む地域によって状況が大きく異なりますから、私はいつも収入(共働きの場合は世帯年収)の20~25%を「最初からなかったものとして貯蓄しましょう」とお答えしています。また会社の財形制度や金融機関の自動積立定期預金などを利用して「先取り貯蓄」をすることが大切です。

先取り貯蓄を続けると貯蓄額は、自然と適切な額になっていきます。これにより家の購入や転職、子どもの受験などのライフイベントを乗り越えられなかったり、家計が破たんしたりすることはまずありません。

「収入が少ないからそんな貯蓄は無理」とおっしゃる方も多いのですが、それはいまの生活が身の丈に合っていない可能性があります。もしそう感じた方は、この機会に生活を見直してみましょう。

見直しは「家計」「ご褒美」「生活パターン」「住宅費」の4つが基本ですが、生活パターンのなかに含まれる固定費は要注意です。すっかり消費の定番となったサブスク(サブスクリプションサービス)によって知らず知らずのうちに固定費が増えている可能性があります。

サブスクで設定されている価格は、高額な商品は売りにくいと感じた企業側が「毎月これくらいなら出費してもいい」という消費者の心理とふところ具合を徹底的に分析して導き出した数値です。利用中のサブスクサービスを5年、10年と使い続けたときに、どれくらいの額になるか計算してみてください。案外、必要な分だけを一括購入するほうが安くすむ場合もあるのではないでしょうか。

「手ごろだな」「安いな」と感じるものは、トータルで考えると高くなることが多い……。これは、しっかりと胸に刻んでいただければと思います。

貯蓄は、投資や保険を活用。保険は、「守りの資産形成」としても有効に

前章にて、収入(共働きの場合は世帯年収)の20~25%を「最初からなかったものとして貯蓄しましょう」とお話しました。ただ、実際にはまずは10〜15%から始める方もいらっしゃいます。生活水準に合わせて、徐々に割合をあげていき、最終的に20~25%を貯蓄に回せると理想的だと考えています。

では、その20〜25%の貯蓄はすべて銀行に預けておくとよいのか?というとそうではありません。銀行に預けても、金利は微々たるもので、お金が増えるわけではありません。iDeCoやつみたてNISAなどを活用し、金融商品へ投資するのがよいでしょう。

また、貯蓄型保険も有効です。貯蓄型保険に入っておけば、万が一病気になって仕事を辞めざるを得なくなり収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活できるだけのお金がおりてくる可能性が高いからです。

ただし、貯蓄型保険は保険料が高い傾向にあります。そのため「コロナ禍で収入が減ったため、保険料を下げたい」という相談を受けることがあります。そこで私が聞くのは「毎月出ていくお金を減らしたいのか」「トータルでかかる金額を減らしたいのか」ということです。

毎月の支払いが安い保険は、ほとんどが掛け捨てタイプです。「毎月出ていくお金を減らしたい」のであれば、掛け捨てタイプを選択するとよいでしょう。しかし、私がおすすめしているのは、貯蓄型保険に入っておくことです。なぜなら掛け捨てタイプは長期間払い続けても1円も戻ってこないからです。

保険の内容によっても異なりますが、貯蓄型保険なら、万一の際に将来の保険料の支払いが免除になったり、1~2年の闘病生活を強いられても、家計が回せるだけのお金が入ってきたりするものもあります。トータルで考えれば、安くつく場合があるのです。私は、これを「守りの資産形成」と呼んでいます。

保険は「貯蓄に保険をかける」という考え方で、トータルコストがゼロに近い、もしくはプラスになるものを選びましょう。くれぐれも目先の保険料の安さにひかれて「安物買いの銭失い」にならないように注意してください。しっかり選ぶなら専門家に相談するのがよいでしょう。

たとえば私も含め、FPが行う定期的なセミナーも開催されていますので、もし貯金や保険の選び方などに悩んでいる方がいれば、ご参加ください。

節約は「しんどい」ものじゃない。まずは支出の中身を仕分けしよう

「見直しや節約ってしんどい」という気持ちに陥らないように、満足感のあるお金の使い方を知ることも大切です。キャッシュレスが主流となった現代において、私たちはなかなか、お金の重みを感じる機会がありません。これによりお金の使い方が粗末になりがちで、使ったときの満足感も得にくくなっているのです。

そこで私がおすすめしているのは、週1回もしくは月1回、電子マネーの履歴やクレジットカードの利用明細を以下の4つに色分けすることです。自分の好きな色や管理しやすい色など何でもよいので、実際に色付けをして視覚化してみましょう。

▽節約術の第一歩! ムシカ流・支出の仕分け方

  • 消費
  • 浪費
  • 投資
  • 志資(こころざし):自分以外の人のために使うお金

どんなことにお金を使ったかを色分けで視覚化してみると「最近自己投資してない」「人のために使えてない」といったことに気づきやすくなるでしょう。

「何にどれくらい使うか」は個人の主観なので、たとえ浪費が多めでも問題ありません。しかし自分がせっかく働いて得たお金が何も残らなければ、むしろ心は虚しくなります。これが「お金を粗末に使う」ということです。

色分けを続けていくと、一定額は自己投資したり、「人が喜ぶことに使おう」という意識が芽生えますし、次第に一番いいバランスでお金を使えるようになってきます。

こうした有意義なことに使うお金を私は「いき金(がね)」と呼んでいますが、いき金を使うことで、さらに人生の満足度が高まり、実り豊かなものになっていくはずです。

もちろん貯金も、自分の人生のターニングポイントを迎えたときやお世話になった親、応援したい人のために使えば立派な「いき金」になります。「人生の満足度を高めるものを貯める」と考えると、浪費せずに貯金をする意識がついてくるのではないでしょうか。

貯金は、未来の自分を幸せにするもの

最後に、とある例を紹介します。勤めていた会社が買収されて職場の雰囲気が180度変わってしまい、うつ状態で相談に来られた方がいました。転職してはどうかとアドバイスすると「貯金がないから仕事を辞められない」と言うんですね。さらにキャリアに響くから病院にも通えない、八方ふさがりの状態でした。

このエピソードからもわかるように、人生のターニングポイントは社会の変化によってもたらされることが圧倒的に多い傾向です。

何かが起こったときに人は「貯金なりの決断」しかできません。貯金があれば自分がピンチに陥ったり本当にやりたいことに出会ったりしたとき「次はあそこを目指そう」という決断ができます。

貯金は、永遠に使えないお金ではなく「未来における自分の心身のステージアップに使えるお金」です。相談に来られた方は、必死に100万円の貯金をつくって退職し、休養を経て、いまでは好きな仕事にまい進されています。

ファイナンシャルプランナーのなかには「お金は目的ではなく手段」「まずは目的を持ちましょう」という方がいますが、人生の目的や目標がある人は、実はほんの一握りの立派な人なのではないかと思うのです。

多くの人は、なんとなく「こうなりたい」という漠然とした夢や想い、あこがれを持って日々過ごしているのではないでしょうか。

その漠然とした想いで充分ですから、まずは今日から、それを土台に据えてみてください。そして働いて得たお金は「いま全額使えるお金」ではなく、これから100歳まで生きるために必要な分も入っていると考え、20~25%は貯金に回します。いつかその貯金が、未来のあなたのステージを押し上げ支えてくれるものになるはずです。

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書籍出版を記念して、虫鹿恭正さんが登壇するセミナーをオンラインにて開催いたします。「人生がきらめく 簡単!『ムシカ式幸せ貯金習慣』」のエッセンスはもちろん、著書では書けなかった内容もお届けする予定です。

詳細は下記リンクに記載していますので、ご確認のうえ、是非お申し込みください。

みなさんも貯金メソッドと貯金マインドを身につけ、貯金以上に大きな人生の幸せを手にしてください。

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※オンラインセミナーの受付は終了いたしました。

虫鹿恭正(むしか・やすまさ)
虫鹿恭正(むしか・やすまさ)
FP業界生粋の貯金人(ちょきんびと) ファイナンシャルプランナー。愛知県一宮市生まれ、岐阜県育ち、川崎市中原区在中。現在、結婚14年目。 一児の父。。
年に約1200件以上の個別コンサルティングを担当。 資産形成、住宅購入計画、ライフプランニングなどに留まらず、「人生の夢実現を強く後押ししてくれる!」と着実に熱狂的なファンを増やす。 これまで、TV人気情報番組に準レギュラー出演のほか、日経新聞社や有名雑誌、メディア、金融機関、教育機関、大手上場企業からの講演依頼も多数。著書に「人生がきらめく 簡単!『ムシカ式幸せ貯金習慣』」(ベストセラーズ)がある。
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