遊休地を持っていて土地活用を考えているオーナーもいるでしょう。賃貸住宅は専用駐車場があると入居者募集で有利になります。本記事では、100坪規模の土地に駐車場付き賃貸マンションを建築するプランを紹介します。

土地活用はなぜ必要なのか

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(画像=moonrise/stock.adobe.com)

土地活用が必要な理由は主に2つあります。1つは土地を所有している人が固定資産税を支払わなければならない税負担の問題です。所有しているだけでかかるので、土地活用しないと税金だけ支払い続けることになります。

土地に要件を満たした住宅を建築すると「住宅用地の特例」が適用されます。特例が適用されると、下表のように固定資産税の軽減措置を受けることができます。

土地面積住宅用地の種類課税標準額
200平方メートルまで小規模住宅用地6分の1に軽減
200平方メートルを超える部分一般住宅用地3分の1に軽減

例えば、800平方メートルの土地に一戸建てを一軒建てる場合は、200平方メートルまでは課税標準額が6分の1に軽減されますが、200平方メートルを超える部分は3分の1しか軽減されません。

これが居室4戸のマンションを建築すると、200平方メートル×4戸で800平方メートルすべてに住宅用地の特例を適用することができ、課税標準額が6分の1に軽減されます。建物を建てるなら一戸建てよりもマンションのほうが有利と考えてよいでしょう。

もう1つの理由は深刻化している空家問題に関するリスクがあることです。更地であれば問題ありませんが、古家付き土地の場合、2015年2月から施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に抵触するリスクがあります。放置した結果、著しく倒壊する恐れがあると認定された場合「特定空家等」とされ、強制的に解体される可能性があります。

特定空家等に認定された場合は、上述した住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が増加することになります。

建ぺい率と容積率を知っておこう

自分の土地を所有しているからといって自由に建物を建築してよいわけではありません。地域ごとに建ぺい率と容積率が決められており、その範囲で建物を建築しなければならないという規制があります。

建ぺい率とは、敷地面積に対して建築できる面積の割合をいいます。敷地面積いっぱいに建物を建てると、採光や通風、火災時の隣家への延焼で悪影響があるため、一定の割合で空き地を確保するように定められているのです。

一方の容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合をいいます。容積率が定められている理由は、地域の環境維持や、日照、通風を確保するためです。建築できる建物の規模を制限することで地域の居住人口をコントロールする目的もあります。

建ぺい率と容積率は用途地域によって下表のように区分されています。所有する土地がどの用途地域にあたるかは、立地する市区町村の都市計画課で確認できるほか、自治体のWebサイトで検索することも可能です。

用途地域建ぺい率(%)上限容積率(%)上限
第一種低層住居専用地域30・40・50・6050・60・80・100・150・200
第二種低層住居専用地域30・40・50・6050・60・80・100・150・200
田園住居地域30・40・50・6050・60・80・100・150・200
第一種中高層住居専用地域30・40・50・60100・150・200・300
第二種中高層住居専用地域30・40・50・60100・150・200・300
第一種住居地域60200・300・400
第二種住居地域60200・300・400
準住居地域60200・300・400
近隣商業地域80200・300・400
商業地域80200・300・400・500・600・700・800・900・1000
準工業地域60200・300・400
工業地域60200・300・400
工業専用地域30・40・50・60200・300・400

建ぺい率と容積率は以下の計算式で算出することができます。

建ぺい率=建物面積÷敷地面積×100

容積率=建物の延べ床面積÷敷地面積×100

また、建ぺい率・容積率については、下記計算サイトで算出できます。「建ぺい率・容積率から、建築可能な家の面積を計算する」という部分に入力することで、どの程度の住宅を建築できるかを調べることができるので便利です。

計算サイト:建ぺい率と容積率の計算

100坪ではどの程度の物件を建築できるのか

100坪の土地を所有している場合、建ぺい率と容積率によってどの程度の物件を建築できるのでしょうか。一例として、第一種低層住居専用地域(建ぺい率最大60%)にマンションを建築する場合の建築できる面積を計算してみましょう。

なお、低層住居専用地域では容積率の上限が200%ですので、建ぺい率・容積率を最大の場合でプランを考えてみます。

駐車場付きマンションにするには、あらかじめ住居部分に60坪、駐車場に40坪と割り振ってプランを練ります。この場合、駐車場を屋根付きにすると建ぺい率の計算に含めなければならないため、建てられる住居部分の面積が少なくなってしまいます。そのため、ここでは屋根のない青空駐車場にする前提で計算します。

【建築可能面積の計算例】
※100坪(330㎡)、建ぺい率60%、容積率200%

330㎡×60%=198㎡(建築面積)→ 60坪
330㎡×200%=660㎡(延床面積)→ 2階建ての場合330㎡×2、3階建ての場合220㎡×3

ファミリー向け55㎡(2LDK)の専有面積にすると660㎡÷55㎡=12で、12戸相当の面積であることがわかります。実際には共用廊下やエントランスなどの共用部分が必要なので、共用部分を延床面積全体の25%とすると、495㎡÷55㎡=9戸が妥当な戸数と考えらえます。駐車場用に空き地40坪を確保しているので、全戸駐車場完備にすることは可能でしょう。

このプラン例は第一種低層住居専用地域の場合であり、立地が第一種住居地域であれば容積率が最大400%まで可能な地域もあります。さらに多くの戸数を確保できるプランも可能なので、デベロッパーを兼ねた不動産会社と相談しながら、地域にあった物件の開発を目指すとよいでしょう。

専用駐車場があれば入居者を確保しやすい

マイカーを所有する入居者にとって、専用駐車場があるかどうかが物件選択の大きな要素になります。専用駐車場がない場合は、周辺の駐車場を別に契約しなければなりません。専用駐車場でも原則として駐車料金はかかりますが、敷地外の駐車場よりは安く借りられるのが一般的です。

オーナーが敷地外の駐車場と契約している場合は「駐車場あり」と表記はできますが、住居まで歩く距離が長くなるので、天候が悪いときは不便です。やはり敷地内に専用駐車場を完備したほうが入居者募集には有利でしょう。

先に紹介したプランのように100坪の敷地があれば駐車場付きのマンション建築は可能ですが、100坪以下になるとぎりぎり駐車場を確保できるか微妙になります。100坪以上の土地を持ったオーナーがマンションを建築する場合は、駐車場付きのプランを検討するとよいでしょう。

空室リスクが低い一棟マンション経営なら安定収益が期待できる

不動産投資で一番心配なのが空室リスクです。区分所有マンションでは1戸のみ賃貸している場合、空室が出ると家賃収入が途絶えてしまいます。不動産投資ローンを組んでいるオーナーは、預貯金を取り崩すか給与収入からローンを返済しなければなりません。

その点一棟マンションは、例えば10戸のうち1~2戸空室が出たとしても、残りの部屋は稼働していますので、空室の影響は少ないと考えらえます。

本記事では100坪の土地活用について紹介しましたが、どのような規模の土地でも相応しいプランを策定することは可能です。土地持ちオーナーであれば、所有する土地の面積に応じてどのような活用方法があるか、開発も行っている総合不動産会社に気軽に相談してみるとよいでしょう。

※本記事は土地活用の一例を紹介するものです。実際には土地の立地や形状、面積等によって可能なプランは異なります。参考程度にお考えください。

(提供:Incomepress



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