ダイバーシティ推進のポイントや進め方

上記のデメリットや課題を踏まえて、ここからはダイバーシティ推進のポイントや進め方について解説する。

会社と従業員が相互理解をしながら取り組む

会社が一方的に施策を打ち出すだけでは、形式的なダイバーシティに陥りやすい。例えば、PMIを意識して無理に女性管理職を増やすと、その人材のパフォーマンスを活かせなかったり、余計なストレスを与えたりするリスクがある。

前述のメリットを最大化するには、会社と従業員が相互理解をしながら施策を打ち出す必要があるので、協力体制の構築や情報共有にはしっかりと力を入れたい。

もともとの経営理念を意識する

ダイバーシティ推進では、経営理念とマッチした施策も意識しておきたい。

企業にとってのダイバーシティ経営は、あくまで競争優位性を築くための戦略である。社会貢献だけではなく、ビジネス的なメリットや利益が必要になるので、経営理念の達成と同時進行で取り組むことが望ましい。

そのため、まずは自社の経営理念やビジョンを明確にし、これらをベースに具体的な施策を考えていこう。

見直しと改善を徹底する

会社の従業員を取り巻く環境は、短期間で大きく変化することがある。新たな文化をもった人材が1人増えただけでも、コミュニケーションの取り方や社内の関係性は変わってくる。

そこで意識したいポイントが、各施策の見直しと改善を徹底する点だ。特に人事評価制度については、従業員ひとり一人の事情を加味した上で、日々調整していく必要がある。

ダイバーシティに関するQ&A

ダイバーシティ推進の計画時には、基本的な考え方や知識をしっかりと押さえる必要がある。ここからはよくある質問をQ&A形式でまとめたので、おさらいの意味も含めて最後まで確認していこう。

Q1.ダイバーシティとはどういう意味?

ダイバーシティ(Diversity)とは、直訳すると「多様性」である。ビジネスシーンにおいては、個人の属性(年齢や性別、人種、国籍など)に関わらず多様な人物を受け入れる意味合いで使われている。

日本では1980~1990年代に注目され始め、実現に向けた一歩として1985年に「男女雇用機会均等法」が制定された。

Q2.ダイバーシティの例は?日本ではどんな施策が多い?

ダイバーシティの例としては、女性の管理職やリーダーを増やす、定年年齢の引き上げ、外国人が働きやすい環境づくりなどがある。日本国内では、女性やシニア人材、障がい者、外国人労働者の雇用・キャリアアップにつながる施策例が多い。

Q3.日本が抱えるダイバーシティの課題は?

ダイバーシティを推進すると、社内にはさまざまな言語や文化、慣習が混在する。このように異質な要素が増えると、コミュニケーション障害などのトラブルを引き起こす場合が多い。

そのため、ダイバーシティ推進では多様な人材を増やすだけではなく、ひとり一人が活躍できる環境づくりも必要になる(※インクルージョンと呼ばれる)。

Q4.ダイバーシティの進め方は?

ダイバーシティを推進するには、多様な働き方を受け入れる仕組みをつくり、従業員がそれを実践する必要がある。また、気軽に利用できる提案制度やアイデア共有会など、多様性や能力が活きる場を提供することも重要だ。

Q5.日本のダイバーシティはなぜ進まない?

日本でダイバーシティが進まない要因は、日常で身についた「アンコンシャス・バイアス」と言われている。これは無意識的な偏見のことであり、例えばビジネス面では「代表や会長は男性が勤めるもの」といった男性優位の偏見が見受けられる。